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「ゆるして~」
「えー、ゆるさない」
などとふざけて言うことはあっても、日常では使ったことがありません。

許すという行為や、その時の感情がよくわからないのです。
許す、許さないという判断をしなければならない事を、幸運にも今までされていなかったのかもしれません。

それが、映画『エル ELLE』を観た時に、少しだけわかったような気がしたのです。主演は私の好きなイザベル・ユペール、フランス映画です。

ゲーム会社の社長で、広い家に一人暮らしのミシェル(イザベル・ユペール)は、突然侵入してきた覆面の男に襲われるが、何事もなかったように掃除を始める。
元夫、恋人、隣人、部下──疑わしい人間が複数。警察には届けず、自分で犯人捜しを始めるミシェル。警察に届けなかった理由の一つは、39年前の事件だった。

復讐劇でもなく、襲われた悲劇的ヒロインの話でもありません。なんと形容したら良いのかというと……やはりタイトルの通り「彼女」の話なのだろうと思います。

コピーの通り、衝撃的です。その衝撃が収まってくると、じわじわと"赦し"という言葉が浮かんできました。

あんな事件があったというのに、鍵は替えたものの防犯対策はなんだか甘いまま。犯人がわかった後にもその行動をするか?と思う場面があったのですが、それをわかってやっていたのだとしたら……。
自由に飛び回っていると思っていた孫悟空が、実はお釈迦様の手の中からは出ていなかったみたいに、どこか全体がわかった上で泳がせているようにも思えたのです。

それから、犯人と近い関係だった人の言葉。それはその人の信仰からの、まさに"赦し"なのでしょうけれど、その言葉を聴いた時に、ミシェルもそうだったのかも!?と思ったのかもしれません。

「解釈は観客がするものだし、観客もその解釈が正しいかなんて確かめる必要はない」と監督も言うので、私はこういう解釈をして勝手に"赦し"という言葉を思い浮かべましたが、映画仲間の感想は全然違いました。
大団円!勧善懲悪!といかないところが、フランス映画の好きなところでもあります。

この映画で、第89回アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされました。
この回は、イザベル・ユペールか、ナタリー・ポートマン(ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命)が良かったです。

以前、清水ミチコさんと三谷幸喜さんがやっていた、日付が変わる前の15分位の番組を聴いていました。それをまとめた本が何冊か出ていますが、その中で
「許そう。しかし、忘れない」
という名言を紹介するくだりで
「許さない。でも、忘れちゃう」
とどちらがいいのかな?と言っていて、私は後者かも~と思ったこともありました。

でもまあ、回想記憶が弱いので、どう思おうと忘れてしまうのでしょうね。
強い感情を、そのまま持ち続けるのも疲れそうですし。

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