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永遠の輝き、ですね。
ダイアモンドは超有名ですので、さぁて何の話が良いでしょうか。

◇←この形をなぜダイヤと言うのか

これは、結晶の形です。正八面体という、ピラミッドを上下に繋げたような形を、横から見ると◇なんですね。

これは、ダイアモンドが割れやすい方向でもあります。劈開(へきかい)、クリベージと言います。
◇←こういう綺麗な形で出てくると、無駄に削り落とすことなく💎←このような形、ラウンドブリリアントにしやすいのです。削り落とすのが少ないことを「歩留まりが良い」と言います。宝石は重さ(キャラット)で取引するので、原石からカット石にするまでに、出来るだけ重さを減らさないのが良いのです。

綺麗な正八面体で出てくることは少ないので、大きな原石はカットする前にまず「クリービング」という作業を行います。劈開の方向(クリベージ方向)を利用して、ざっと整える感じです。

ロンドン塔の宝物殿に、カリナンという世界最大の原石から切り出したダイアがありますが、クリーバー(クリービングをする人)が緊張のあまり気絶したという有名な話があります。事実ではないようですが、失敗したらクビが飛ぶと思ったら、極度の緊張状態にはなりますよね。

カリナンから切り出された一番大きな石は、王笏の上でキラキラと輝いています。最初に見た時は、ホームステイ先のホストマザーと一緒だったのですが、一方通行の通路を何度も見に行ったので、その日の夕飯の席で
「この子ったら、何回も見に行ったのよ!」
とパパと娘たちに言われてしまいました。彼女だって
「私はビクトリア女王の王冠が好きだわ」
って何度も見ていたのに。

当時は宝石学をまだ学んでいませんでしたが、歴史上の本物を見られるのは興奮します。この数年後にスミソニアンのホープダイアモンド(世界最大のブルーダイアモンド)を見に行くことになるとは、誰も予想だにしなかった……いや予想できたかも。

話を戻して、クリベージ方向は割れやすい方向ではありますが、よほどの割れや内包物でもない限り、ちょっとぶつけたぐらいでこの形に割れてしまうことはないので、ご安心を。

クリベージ方向ではない向きに切ろうとすると、1キャラットの石をダイアモンドカッターで切るのに数時間かかると授業で習った気がします。労力を少なくするためにも、クリベージ方向を生かすというのは重要ですね。
今はレーザーで切るのでもっと早いそうですが、アンティークのローズカットのダイアモンドなど見ると、これをカットするのにどれだけかかったか……ということに想いを馳せてしまいます。

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これはスピネルですが、ダイアモンドと同じ結晶の形で出てきます。
これがダイアモンドだったら無色でも買えませんし、レッドダイアモンドだったら家が買えるぐらいします。

数学的なラウンドブリリアントカット

💎この形は、トルコウスキーカットとも言います。
ダイアモンドの屈折率など光学的特徴を数学的に考慮して、入ってきた光が中で必ず2回反射してテーブル面(私たちが見る面)から出ていく、という素晴らしいカットを考えたのが、宝石職人でもあり、数学者でもあったトルコウスキーでした。

ですから、違う種類の石を同じカットにしても、ダイアモンドと同じようには輝かないのです。
(ルビーやサファイアをこのカットにすると、結晶の形が違うため、歩留まりが悪くなるのでしません。ゆえに、ラウンドブリリアントカットのものがあると、むしろ珍しいのでつい買ってしまいます。思うツボです。忘れなかったらサファイアの時にでも……)

ダイアモンドはなぜ固いのか?

これは、私が宝石学に興味を持ったきっかけの一つです。
ダイアモンドも鉛筆の芯も炭素です。ではなぜダイアモンドは、モース硬度10という宝石で最高の固さなのでしょうか。

それは構造の違いでした。

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これが鉛筆の芯とすると

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ダイアモンドはこんな感じ
(実際は1つの原子が4つの原子と結びついているので、手も足も!?)

同じ物質でもこんなに違うとは、面白いですね。

ダイアモンドの色

お店に行くと、4Cの説明をされると思います。
カラー(Color: 色)、カット(Cut)、クラリティ(Clarity: 内包物)、キャラット(Carat: 重さ)の頭文字です。

カラーはDからZまであり、無色のDからZにいくほど黄色が強くなります。
マスターストーンと見比べながらカラーを決めていくのですが、グレーがかった石の場合はグレーを外して見るという技が必要です。しかもGIA Japanの練習用のマスターストーンは1つおきのグレードしかなく、例えばDとFの間のEはこの位だろうと自分で補完しなければならないという……鬼ですね~。

その黄色味は、窒素によって起こります。ダイアモンド自体は炭素ですが、そこにごく微量な窒素が入ると黄色くなります。

全ダイアモンドの98%は窒素を含みますが、前述のカリナンはタイプⅡaという稀なタイプで、純粋な炭素が99.99%でで窒素の含有はありません。先に本物を見ておいて良かったです。ニセモノと見紛う透明感はそのせいだったのかも……と思いました。

ニセモノを見分ける

ニセモノという言葉が出てきたので。鑑別する時、ダイアモンドの最大のポイントは、類似石との区別でしょう。

鑑別の実習は、10石が1セットになったものを鑑別して、自分なりの答えを出したら先生のところに持って行き、全問正解したら次のセットに取り組みます。
この時、皆を悩ませたのが「ダイアモンド類似石セット」と「翡翠類似石セット」です。それぞれ、無色透明と緑色不透明の石、同じように見える石が10石ずつ入っています。

無色透明の方に大体何が入っていたかというと、天然/合成ダイアモンド、キュービックジルコニア、合成モアサナイト、YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)、GGG(ガドリニウムガリウムガーネット)あたりと、下が無色のサファイアで上だけダイアモンドが貼ってあるような貼合せ石(リングなどに加工してしまえば見分けにくいためです)でした。

類似石は屈折計では測れない高い屈折率ですが、別の方法で見分けは可能です。練習用の石ですから、どこかにヒントがあるものです。
私は幸い、手触りの違いがわかるようになりました。これは鑑別特徴ではなく、自分なりの体感ですので、わかってくれたのは1人だけでしたが。

長くなりましたので、この辺で。
やっぱり私は、宝石が好きみたいです。

↓ 文中に出てきたホープダイアモンドです。GIA本校の売店でこの本を見つけて即買いました。似た石が映画『タイタニック』に出てきますが、ホープはタイタニック号には乗っていなかったそうです。
"呪いの"、"血塗られた"などという冠をつけられることがありますが、こんな石を持っていたら、普通に狙われますって。

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