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開催は2月8日(木)で、一部の講演は後日配信されるとのことで、取り急ぎ登録したのが1月。先行して視聴できるミニセミナーもありました。

会場+オンラインのハイブリッド開催だったので、東京国際フォーラムに暇なら行ってみようかなと思いましたが、案の定、思ったのはその時だけでした。この日は外出していたのに、帰りに有楽町に寄るという選択肢に気づかず帰宅しましたし。

㈱ワーク・ライフバランスの小室さんの基調講演は見逃せません。これをライブで視聴してから出かけました。小室さんは以前ラジオで知って、確か録音ファイルも残っていたはず(2016年でした)。

産業カウンセラーの講座で、リクルート出身の方とご一緒したことがあり、それはもう残業が多かったとおっしゃっていました。それで、
「ワーク・ライフバランス社がコンサルに入った時の取組みで、一番残業の多かった人(部署?)が一番削減できたのでしたよね」
と当時の取組みを聞いたこともありました。それが、その2016年の番組で例に挙がっていたことでした。

小室さんのお話がためになって楽しいのは、データがしっかり整っていて説得力があること。情報量がもの凄く多くてメモしきれず、1週間ほど遅れて配信も始まったので、もう一度視聴しました。

日本人はもっと寝ろ。

乱暴にまとめると、そういうことなのでしょう。

バブルの頃は人口ボーナス期と言って、働き手が多かった時代。そのような時代は、体力のある男性が働きまくり、女性は家事・育児に専念するという分業の仕方が最も効率が良かったそうです。

今は人口オーナス期と言って、働き手と高齢者の数が逆転しています。そういう時代は、勝ち方がボーナス期と真逆になるそうです。これ、90年代にはもうハーバード大の研究で明らかになっていたそうな……。

働く人がいない時は、集中力と倫理観で差がつくのだとか。その担保になるのが睡眠だということです。

睡眠時間についてはまだ諸説あるなというのが私の印象ですが「6時間までは身体の疲れが取れ、それ以降に脳の疲れが取れてくる」と聞いたら、6時間以上寝たくなるではないですか。

睡眠不足の上司ほど、部下に侮辱的な言葉を使うという論文があるそうです。40~50代で6時間以下の睡眠だった人が認知症になるリスクは、そうでない人の1.3倍というデータも。

恐ろしいのは、睡眠不足で「他者のSOSに気づかなくなる」こと。寄付大国米国でも、サマータイムが始まった月はこれまでより睡眠が1時間少ないような感じになるので、寄付額が10%減るのだとか。如実ですね。

睡眠時間とGDPの相関関係も明らかだそうで、1人当たりのGDP額がOECD38か国中31位の日本で、睡眠時間を1時間増やすとGDPが倍になるのだとか。
(私自身はGDPで豊かさを測ることには疑問を持っていますが、一つの指標として)

インターバルが有効だ。

インターバルは、勤務終了から次の勤務開始まで11時間空けることです。シフト勤務にはもう適用されていますよね?やってますよね?ね?

インターバルによって残業できない時間が出てきます。これで睡眠時間を確保するわけです。今まで、残業時間に頼りすぎていただけなのです。残業できないと、なんとかして効率化しないといけません。

なるほどと思ったのが、企業がなぜ内部留保を溜め込むかというと、これまでのやり方では残業代がどれだけになるかわからないので、それを恐れて留保していたのだそうです。インターバルによって残業できる時間が減り、上限の残業代もわかりますので、その分で基本給が増やせるわけです。

そんなこと言っても……と感じる方のために、実例が用意されています。

採用に困らず、出生率も増加するぞ。

取り入れた中小企業の例では、月の残業時間が1.2時間にまで減り、出生率が4.5倍に。残業代が3,500万円ほど浮いたので、全額を賞与で還元したそうです。

小室さんの研修を全員が受け、講演直後に感激した社長が「残業ゼロ」宣言をされたそう。メンタルヘルスもそうですが、トップのメッセージって大事なのですよね。

この仕組みが上手く回り出してからは、採用に困らなくなったそうです。トップのメッセージと、従業員が生き生きと働いていること、がポイントでしょうか。

この会社だったか、実際に産んだ方々にインタビューしたところ
ちゃんと帰ってくるのだったら、2人目、3人目もありかな、と」
だったそうです。男性の育休取得率も100%、平均取得5か月!

産後うつにも触れられていて、出産のホルモンバランスの変化により産後2週間から1カ月半の間に起こるので、その間に男性が育児休業を取得するのは、母子2人の命を守るために有効なのだ、と説いていました。

フランスの実例も挙げられていて、法改正で「短時間の人を雇ったら社会保険料を補助する」「週あたり35時間働いたら正社員ね!」としたら、出生率がぐぐっと上がっていました。グラフを見せられると一目瞭然です。

日本は今まで、労働時間に対する規制が甘かったわけですが、これについても「あまり規制せずに各企業に任せてきたことで、日本の生産性は上がりましたか?」。そんなわけないですよね。

そして、欧米諸国に比べて、時間外手当の掛け率も低いです。日本は1.25倍のところ、他国は1.5倍~1.75倍、休日に至っては2倍のところも。安い労働力という考え方、もうやめましょう。

女性活躍。

「だって女性が管理職になりたがらないじゃないか」
という、よくある意見については
「管理職になりたくないんじゃないんです。いま目の前にいる管理職のようになりたくないだけなんです」とバッサリ。そうそう。

日本人女性の武器は「教育水準が高く」「健康」なのだそうですよ。既に優秀な女性はどんどん海外に出ていて、このままだと帰ってきませんよ、とも警鐘を鳴らされていました。留学したお子たちも、現地で就職して帰ってきませんしね。


相変わらず、お話がお上手だわ!と2回聴いても思いました。
「目の前にいる管理職のようになりたくない」については、思い当たることがありました。

ある企業に管理職レベルで転職した時、上司が言ったこと。
「ウチの会社の女性管理職は、こういう言い方したらナンだけど ”男みたい” なんだよな。是非はなえみさんに、後輩女性たちのロールモデルになってもらいたい」

ほどなくわかりましたよ。”男みたい” な働き方をしないと、女性は認めてもらえない会社だってこと。一応成功したベンチャーと言われても、中身は昭和で多様性なんてナシ。

”こういう会社なので辞めました” のロールモデルとなりましたとさ。めでたし、めでたし。

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