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三島ワールドを発見。  何故、金閣寺が好きなのか

こんにちは。

伊丹空港の本屋「HMV&BOOKS SPOT 伊丹空港」に、前衛的且つ懐古的な一角が。

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三島由紀夫先生のコーナーが大々的に作られていました。決して大きな本屋さんではありませんが、これは凄い!!。

没後50年とのことで、『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』の映画が放映されたり、名高い作家が解説を書いた小説の新装版が販売されたりと、三島先生の盛り上がりをひしひしと感じます。

僕も三島由紀夫先生の本を愛読し、文学的な影響を受けています。丹念に練られ、そして棘を出す流暢な日本語には、敬服します。

先生の作品の中でも特に「金閣寺」が小説です。

特に、好きな場面。

金閣寺で修行する吃音症の主人公が、京都の暗い街中を歩いていると、艶やかなハイヤーが現れ、その中に女が乗り込んだ。その後、老師が現れ、女が乗るハイヤーに、乗ろうとした。

・・・私も避けるわけには行かなくなった。しかし動顚して、口から言葉が出ない。声を発しないうちから、吃音が口から煮立っている。とうとう私は自分でも思いがけない表情をした。というのは、何らその場との繋がりなしに、老師に向かって笑いかけたのである。
 こんな笑いを説きあかすことは出来ない。笑いは外部から来て、突然私の口もとに貼りついたかのようだった。だが、私の笑いを見た老師は顔色を変えた。
「馬鹿者! わしを追跡ける気か」・・・ 『原文』

あくる日、叱責のために呼び出されるかと思っていたけれど、無言の放任の拷問が始まった。


僕は修行をしていたわけではありませんが、大学時代に武道系の運動部という、わりと閉鎖的な環境で過ごしていました。先輩やOB等が絶対的に物事を進める環境です。ですから、金閣寺の主人公の老師への感情と、僕が部活の上級生や先生に向けていた眼差しが、作中で交差することがありました。
そういった酷似点が、三島由紀夫先生の金閣寺を好きな理由だと思います。

金閣寺を出発点にて、三島由紀夫先生との文学の旅はスタートしたわけです。


本屋では、未読の『サド侯爵夫人 わが友ヒットラー』を購入しました。
久しぶりに読む戯曲ですので、楽しみです。

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花子出版    倉岡


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