朝
アラームより先に起きる
隣で規則性のある寝息が聞こえる
起こさないようそっと身体をおこして
彼の顔を見つめる
私の一番好きな時間だ
時計は午前8時45分を指している
あと15分でそれぞれの一日がはじまる
ドアを開けた彼はきっと私のことを思い出すこともなく充実した一日を過ごすのだろう
私は彼のことを片隅から消すことができないまま会えない時間を惰性で過ごす
彼に出会ってから彼がいない場所で
息を吸うのがとても苦しいのだ
このまま全世界の時計が壊れてしまえばいいのに
なんてつまらないことを考えながら息をする
アラームがなる
朝が苦手な彼が設定した変な犬の鳴き声
私は急いで寝たふりをする
彼が起こしてくれるのを期待しながら。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?