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フィクションだったりノンフィクションだったり。 フリーランス美容師、水商売、YouTu…

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フィクションだったりノンフィクションだったり。 フリーランス美容師、水商売、YouTube、配信

最近の記事

歩幅

彼は歩くのが早い 移動時間なんて無駄じゃん そういっていつも私を置いてさっさと先に進んでしまう 対して私は歩くのが遅い 遅れないように、早足で彼の横に並ぶ 少し無理して息切れしながら スピードを落とさない彼と 無理に早歩きする私 このまま歩き続けてもきっと私たちはずっと一緒には歩けないんだろう 歩くペースを落としてみたらやっぱり彼は先に行ってしまって一人になってしまった。

    • 快晴

      台風で荒れてたとは思えないくらいの快晴だ 眩しいなあ…とつぶやく 洗濯物を干しながら道路を見ると 三連休だからか、とても賑やかだ 鳥が鳴いていて雨の跡がキラキラしてる きっと自分の部屋だったら何も感じないしなんなら不快になっていただろう 彼の部屋にいると全てが明るく輝いてみえる 彼はあと少しで帰ってくる こんな話しても彼は「そうなんだ、よかったね」って共感も興味も持たない それでも伝えたい、今日はとってもいい天気だから

      • 鬱と自分と付き合っていく。前半

        私はHSP(こちらは自己判断) パニック障害、適応障害を持っている 鬱に関しては診断されていないから分からないが 中学生くらいから生きていくことに対し疑問に思っていた わざわざ朝起きて学校に行って部活に行き、塾へ行って 生きることに対して楽しみもなくてしたいこと、夢もない だからといって死ぬほどではないし 特別嫌なことがあったわけでもなくただただ面倒臭い そんな気持ちで大人になった そして生きる楽しみも見つけられないまま 大人になって死ぬほど辛いことがあった (ま

        • 恋愛とは

          会える日までを指折り数えて 耐えて耐えて 会った後はまた会えるまでのカウントダウン そんな恋愛ばっかりしてきたし 実際25になった今でもそれは変わらない 一つ変わったのは会えない時間も 会った時の幸せが打ち消してくれること 自分が一緒にいて一番笑顔になれる人と付き合うのが一番だ

          君の部屋

          久しぶりに彼の部屋にきた。 きっとあの頃より散らかってるんだろうなあ を、裏切らない見事な汚さだった 画面に夢中になってる彼を横目に 散らかってるものを掃除して 見違えるくらい綺麗にして帰った 後日、彼の部屋に行ったら全て元に戻っていた ああそうか 部屋が汚れてることも私が掃除していたことも 彼にとってはどうでもいいことで 気づいてもなかったんだなあ きっと私が出て行ったことも これから先 私が消えても気づくことはなさそうだ 少し泣いたけど 彼は画面

          君の部屋

          アラームより先に起きる 隣で規則性のある寝息が聞こえる 起こさないようそっと身体をおこして 彼の顔を見つめる 私の一番好きな時間だ 時計は午前8時45分を指している あと15分でそれぞれの一日がはじまる ドアを開けた彼はきっと私のことを思い出すこともなく充実した一日を過ごすのだろう 私は彼のことを片隅から消すことができないまま会えない時間を惰性で過ごす 彼に出会ってから彼がいない場所で 息を吸うのがとても苦しいのだ このまま全世界の時計が壊れてしまえばいいのに

          月が綺麗ですね

          とても有名な話で 夏目漱石は「I love you」を 「月が綺麗ですね」と訳した 二葉亭四迷は「死んでもいいわ」と訳した 後者を若かった頃の私は ひどく共感したのを覚えている 愛する人の為なら死ねる、と でも今はそう思えなくなった。 愛を伝えてこちらは死んで 相手は一生重りを背負うことになる それは愛とエゴを履き違えてる気がしてならない これはあくまでも私の持論だ 「I LOVE YOU」「好き」「愛してる」 いわゆる愛を伝える言葉が どうしてもチープだ

          月が綺麗ですね

          煙草

          ねえ、煙草吸いに行こうよ これは私がよく言う言葉No. 1だ それくらい一人で行きなよ、なんて言いながら 一緒にベランダに出て煙草に火をつける プランターの土に灰を捨てる彼に かわいそうだからやめなよっていうと これは土にとって栄養なんだよ、なんて笑った 嘘か本当か分からないけど そうなんだって私も笑う 彼の吸う煙草は私のよりずっと長くて それに合わせてゆっくり煙を吐く 首都高から聞こえる車の音 涼しくなった夏の夜、煙の匂い 心地よくて、このまま時間が止まればい

          上京

          25年間住んだ関西を出て上京した きっかけは何もない、ただの衝動だ 1週間で仕事を決めスーツケースに 最低限のものをつめて上京した なんか昔、こんな歌あったよなあとかぼんやり考えながら 富士山とか見えるのかなって外を眺めてたけど反対側だった 家もなくホテルを転々とした ウィークリーマンションを借りた 友達の家に居候した 家を契約して東京に自宅ができた 実家から送られてきたダンボール4つ スーツケースと8畳しかない狭い部屋で わたしの25年ってこんなにも何もな