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わたしの読書の冬❄️

Bonne année 2023!!!

『青いパステル画の男』
✍︎ アントワーヌ・ローラン 著
⭐︎ 吉田 洋之 訳 ‌
"Ailleurs si j'y suis"
✍︎ novel by Antoine Laurain
⭐︎translated  by Hiroyuki Yoshida


「本物のオブジェは、持っていた人の記憶を抱えている」

⁡過去のローラン作品には、上手く行かない現状を何とか変えたいと願う人々が多く登場します。

⁡本作の主人公ショーモンもまた、夫婦関係に悩みを持つ骨董品コレクターの中年男性です。

⁡ある日、彼は、オークション会場で、自分にそっくりな男が描かれた肖像画に出会い、落札します。

⁡この青いパステル画の人物は誰なのか? 歴史を辿り答えに行き着いた先で、彼のもうひとつの人生が始まるのですが…

⁡わたしは、物語を読み進めて行く過程で、嘘に纏わる慣用句と諺を思い浮かべていました。

⁡「嘘も方便- Lies are also expendient」、「嘘をつかねば仏になれぬ」、「嘘つきは泥棒の始まり」…。

⁡嘘が招いた物語の結末。
それは幸福? それとも絶望? それぞれの読者へ解釈が委ねられているように思います。


本著はローランさんの処女作になります。当時、彼はパリの骨董品屋で働いていたこともあり、作中に骨董品の名前がズラリと並びます。その中には、骨董品コレクターとしても名高い?セルジュ・ゲンズブールのエピソードも。そして彼の名盤『メロディー・ネルソンの物語』から『メロディ』が流れるシーンでは「これはパリの物語なのだ」とパリへ想いを馳せるのです。


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