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スターバックスとバックオフィスは違う。親切心や丁寧さが無駄な作業を生んでいる。


他人がやっている仕事を紐解いていくと、とても残念で言いにくい事象に出くわすことが多々あります。品質に拘る日本人ならではなのか、親切心から生み出された無駄な作業の数々。自分の首を自分で絞めているようにも見えてしまうような作業工程です。

作業を作った人は本心から親切心で時間を割いています。
このデータがあればAさんは助かるだろう。このデータをこういう風に変えておけばBさんはわかりやすいだろう。

こういった作業を生み出す人達は、決まって日頃から業務効率化(ラクをすること)を意識していない人達です。自分の作業時間をいかに少なくするかというところに興味がない。残業をたくさんして、頑張っていると自己満足してしまう。そんな人にとても多い事象です。

新人OさんはAさんが作業を忘れてしまったので、忘れないように新たなデータを作成することを思いつきました。今までになかった作業なので、作成時間は丸々マイナスとなります。それでも本人は「Aさんが助かるから」と何の悪気もなく、むしろ親切心で作業を行っていました。

業務経験を積まれた方なら何がよろしくないかすぐに察しがつくと思います。そもそもAさんが作業を忘れてしまったものをフォローするのはOさんではありません。ミスが起きた原因を究明し、ミスを起こさないように対策すべきはAさんです。また、経験が長い方なら嫌な予感がすると思います。Aさんのためと始めた作業。数年後、Aさんがまた同じミスを起こした時、Aさんはきっとこう言うでしょう。「あなたがデータを送ってくれなかったから」こういう事故はあるものです。
「最初から送らなければよかった」私もそんな経験があります。

じゃあ、新人Oさんが思いついた親切心は悪なのか?

ちょっと視点を変えてみましょう。
最近スターバックスへ行って驚きました。フローズン系のドリンクを頼んだ時、オプションを勧められたのです。追加トッピングというやつですね。悩んでいると店員さんは「ほとんどの方はこちらを追加されます」と一つのオプションを勧めてくれました。それならば、とそのオプションを頼みました。50円くらいでした。美味しかったらしく、子どもはとても喜んでいました。

この場合。スタバの店員さんは行列が出来ているレジで時間を費やしてまで人気のオプションを勧めてくれました。50円のオプションです。利益が出るわけではないのは明確です。それなのに勧める。勧めた先にあるのは、オプション追加作業が加算されること、そして顧客の満足度が上がることの2点です。スタバの店員さんは時間を費やしてまで、お客様の顧客満足度を引き上げました。その後、お客様は美味しかった上にわざわざ人気メニューを教えてくれたお店にまた足を運ぶわけです。

とても素晴らしいサービス精神であり、素晴らしい営業戦略だと思います。

さて、同じことをバックオフィスでやるとどうなるでしょうか。
「先輩、このデータにはこれを追加しておくのでこの改善策のヒントにしてみてください。」「出張中のようだからCさんとDさんには資料をメールしておきます。」

いろいろと思うことがあると思います。
当然ケースバイケースではありますが、まずその作業の目的は何でしょう。
スタバとは違い、相手の満足度を高めるためにやっているのであれば即やめましょう。私達バックオフィス要員は最短で目的に辿りつく努力をしなければなりません。曖昧な目的のために時間を割くべきではないのです。

例えば、上司が明確な目的を示し、そこに辿りつくためのアイデアなら提案すべきです。自分が新しく思い付いたアイデアを指し示す為の挑戦でもそれは付加価値の創造課程なのでどんどんやるべきだと思います。ただ、やみくもに普段のルーティンワークを目的なく増やすことは賢明ではありません。スタバの店員さんは売上を増やすことが目的です。売上を増やすにはCS(顧客満足度)を高めることが必要なのです。対してバックオフィスは目的が正反対であることが殆どではないでしょうか。原価低減、コストリダクションです。そのために必要なのは無駄の削減に繋がる目的地であり、誰かの満足度ではないのです。

家計の節約術でよく言われるのは、投資なのか消費なのか見分けることです。ルンバや食洗器、乾燥機を買うことは投資です。チョコレートを買うことは消費です。

普段のルーティンワークを効率化して、新たなアイデアに着手する(付加価値の創造)のは投資です。普段のルーティンワークに何の目的もなく作業を追加するのは時間の消費(無駄)です。

結果として、この親切心を繰り返してしまった人の作業は枝葉がとても多くなります。真っ直ぐに伸びた幹があるはずなのに、その周りにいつしか沢山の枝葉が生い茂っています。その作業工程を聞きながら幹がどこにあるのか、幹がある理由は何だったのかを確認しながら枝葉を切り落としていくのです。そんな剪定作業が業務効率化の作業工程であり、習慣づける必要があるのです。その為には、周囲の人達と作業工程を見直す機会を持つことだと思います。意図的にそういった場を持たなければ、属人化しているのと同じで表面上は見ていてもわかりません。その枝は誰のため?どこが管理すべきもの?そこから伸ばすのが最短?別の視点を入れてあげるだけでも枝葉は綺麗に落ちていくきっかけとなるでしょう。

本来なら褒めるべき親切心が仇となっている現実は悲しいものです。それでもバックオフィス要員であれば、スターバックスの店員さんと同じ思考ではいけないのです。目的に最短で近づくには。その視点を第一に日々業務に取り組みたいものです。


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