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パフューム。


いつの間にか、
見覚えがあるような、
ないような、
場所にいて。

あっ、と思ったら目が合っていた。


探していたよとか、
どこにいたのとか、
そんな言葉をかけられて。


なんで今だけ、髪一本まで、
はっきりくっきり見えるんだろうって、
頭のどこかで、思ってる。


どさくさに紛れて触れようとする、
君の長い指から逃れて。


存在をすり抜けた瞬間、
懐かしい、甘いエスニックな香りがして、
危うく振り向きそうになった。





裸足で、大きな公園を走り抜けた。


たくさん、こどもがいた。
その中を、何の違和感もなく、
しかし滑稽とも思いながら、
走っていく。


君が現れたからなのか、
全速力で駆け抜けたからなのか、
心臓が全身で鳴っているみたい。






暑くて、熱い。












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うたた寝という名の、
不思議の国へ落ちる、前。


すれ違った女性の香り。


嗚呼、そのせいだと氣づく。







初めてのお揃いは、香りだった。







今では目を合わそうにも、
顔もはっきりと、思い出せないのに。


香りとともに過ごした場面だけが、
ダイジェストで流れては、
行き交う人々に紛れて消えていく。






『…これだから、
香水のプレゼントは嫌いなのよ』






嗅覚と記憶。
結びつきの強さに苦笑。





懐かしい香りを、
冷めた珈琲の香りで、
消して。





悪あがきの、独り言。












flag *** hana




今日もありがとうございます♡






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