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まさかのポンコツさで私の自己肯定感を上げてくれる彼氏

私は自己肯定感が低い。
どのくらい低いかというと、「自分はなんの役にも立たない穀潰しだ」と思っているくらいには自己肯定感が低い。そんなことない、なんて無責任に言う人がいたら「じゃあ私の存在価値を示してよ!!!ほらないじゃない!!!!」と怒り狂うだろう。

正直、人間としての生活がまず向いていないし、定期的に通院をしなければならない持病がある。働くといってもフルタイム勤務は無理だ。
今は毎日昼寝というか、寝落ちていて気づくと夜だ。
睡眠薬を飲んでいるはずなのにおかしな話だが、そのくらい疲労が溜まっているらしい。

さて、そんな私にも長年付き合ってくれている彼氏がいる。
彼とは18歳の頃から付き合っており、ほんの数年前までちょっとしたことでケンカをするようなカップルだった。

20歳でうつ病を発症した私は、それこそ二十代前半の頃は病状が不安定で急に寝込んだり、急に動けなくなったり、急に希死念慮で「死ぬ」と騒いだりを繰り返していた。ガチメンヘラもいいところだった。
対して彼氏もほぼ発達障害で間違いなさそう(診断が降りていないが自覚もある)で、人に寄り添って相手の気持ちを考えるということができなかった。おまけに天の邪鬼で負けず嫌いである。しかも自分の怒りが収まるまで怒るのをやめないし、何時間でも詰り続ける。
ぶつからない方がおかしい二人だった。

何度かケンカで死のうと思ったし、彼氏には死ねっていわれたけど、気づけばもう十年一緒にいる。年々、彼氏は性格も体も丸くなっていき、私はうつ病との付き合い方が上手になっていった。
それでも十年一緒に居続けられたというのは不思議な縁だと思う。

さて、そんな彼氏も一人暮らしをし始めて2年目だ。
私もだいぶ彼の家と自宅の行き来に慣れてきた。

そこでゆっくりと発揮され始めている彼氏の新しい能力の一つが「何故か私の自己肯定感をアップさせる」というものである。

もともと彼は愛情深く兄貴肌で面倒見が良かったのだが、発達障害っぽさから忘れっぽかったり、人の話をちゃんと聞いてなかったり、人の感情をうまく理解できなかったりといった特性があった。

会社の鍵を忘れたり、仕事用の携帯を忘れたり、自分のスマホを忘れたり、財布を忘れたり、ゴミ出しを忘れたりする。しかも結構な頻度で。今、大絶賛ペットボトルと家庭ごみのゴミ出しを忘れているところだ。いつかゴミに埋もれて死なないか心配である。
そして、男の人は普通なのかもしれないが、食事が適当である。料理できるはずなのに、コンビニ弁当や外食ばかりしている。だから2年で10kgも太るんだ。

私が彼の家に遊びに行くと、だいたい部屋に散らばった靴下やパンツを拾い集めて洗濯するところから始まる。
そしてなぜかペットボトルが捨てられないらしいので、これまた部屋に散らばった空きペットボトルを拾ってキャップとラベルを剥がして中を軽くゆすいで捨てていく。
やる気があれば、彼の家のすぐ近くにスーパーがあるので夕食の買い出しに行って簡単なご飯(炊き込みご飯とかCook Doとか)を作ることもある。
ゴミが溜まっていたらまとめて玄関に置いて、忘れず捨てるように前日の夜伝えたり、箱ティッシュなどの日用品が切れていたら買い足したりもする。

私も十分ダメ人間で自宅ではほとんど何もしないが、一人暮らしでこのポンコツさは不便だろうと思って一生懸命頑張っている。
そしたらだいたい私の好きな顔で「助かったよありがとう、好き」と言ってくれる。
なんだかそれだけで「あれ、私ってめっちゃ役に立ってるのでは?」と思ってしまうのだ。なんかすごく役に立っているのだ、この私が。

そして同時に思うのだ。「この人、私がいなくなったらちゃんと生きていけるのか?」と。

まぁ私がいろいろ考えてもどうしようもないことなので、ちょっとゾッとしてからいつも考えるのを辞めている。
本人に伝えると「俺がポンコツで良かったね(^_-)-☆」と言っていた。ポジティブなところは見習いたいが、おまえは本当にそれで良いのかと思った。

しかし、私レベルでもちゃんと人の役に立って生きていることに気づいたときはちょっと感動した。
自宅に戻るとまた役立たずに逆戻りだが、彼氏が「良いお嫁さんになるね」と褒めてくれるので、今のところはヨシとしておこう。

彼氏のことをフォローすると、痩せてた頃はジュノンボーイの市川知宏さんにそっくりだった。自称、賀来賢人さん似で、他称、三浦春馬さん似である。わからんこともないのがちょっとムカつくが、スタイルも悪くない。今は妊娠6ヶ月くらいのお腹である。健康に悪いから痩せてくれ。
中身は、一緒に飲んでた女の子に「遊ぶにはいいけど付き合いたくない」と言われたことがあるらしい。そうだろうな、と思う。良くも悪くも極端で個性的な性格をしている。なんか教祖とか向いてそうなくらいには謎の説得力と謎のカリスマ性を感じる。

なんでこんな人と付き合っているんだろう…と冷静になって思ってしまったが、残念なイケメンほど可愛い生き物はいないので、きっと必然だったのだ。


……彼氏さん、生活習慣病が心配なのでちゃんと痩せてください。そしてもう一度「三浦春馬に似てるね!」と言われてきてください。

彼女より

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