晴れ女

葉桜、銀杏の若緑、柳の枝の先も鮮やかな緑に。
若葉雨と言うのにはまだ少し早いけれど、今日はそんな若い葉にも静かに雨が降っている。


わたしは基本晴れ女で、お出かけの予定の日は曇っていても降ることは少ない。
とはいえ、随分前にJリーグの試合を見に行った日は雨だった。
上半身から膝くらいまではフード付きの応援しているチームの合羽を着ているのであまり濡れないけれど、スニーカーを履いた足は、スニーカーの中までぐしょぐしょ。
ぐしょぐしょのままチャントを歌い応援したけれど、スニーカーの中までぐしょぐしょというのは、小学生の頃以来だった。


SNSの友人に雨好きがいる。
通勤以外は雨に濡れるのを厭わない。
傘は滅多にささず、雨を浴びるのが心地よいという。
雨男で、お出かけすると降るという。


雨は誰でも苦手なものと思っていたわたしにとって、雨が好きというのは新鮮な感覚だった。
雨の中を歩けば今まで味わったことのない世界が開ける？
俄然好奇心がむくむくと。
でも、靴の中が濡れるのは嫌なので、小降りの日用にレインシューズに見えないお洒落めなレインシューズと、本降りの日用にいかにもレインシューズらしいレインシューズを買った。
傘も気に入ったものを新調した。
これで雨対策は万全。
いつでも出かけられる。


でも、あれ以来Ｊリーグ観戦も他のお出かけも雨は降らない。
晴れ女だからね。
今日もお出かけの予定はない。
じゃ、窓の外を振る雨を眺めながら、過去や未来に意識のタイムトラベルでもしましょうか。
振り返れば、傘がぶつかって挨拶したという恋の始まりがあったような。