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認知症・在宅介護|これから何ができるのか  ~まとめ

認知症は「治る」に越したことはないけれど、
それは難しい。

2018年、アメリカの一富豪がアルツハイマーの治療法を示した研究者に「4億円」の賞金を出すと公言しているが、いまだにその答えがない。

https://nakamaaru.asahi.com/article/12074188

アメリカでの実用化から、国内で薬が使われるようになるには、さらに10年以上かかる。

精神科医療に遅れた日本には、まだ先の話。



他にいま、とれるべき方法は・・・


施設|認知症デイサービスを増やす


通常の介護保険の「デイサービス」は、健康な一般人も入所できる。

職員2名、入所者40~50名。
他の自治体(市町村)からの通所もできる。

認知症対応のデイサービスは利用者を「認知症」に絞っている。

職員は4名必要、入所者も12名までの制限が付く。
さらに地域密着型の縛りが発生するので、
隣接していたとしても、他の自治体(市町村)では使うことができない。


効率がいいのは圧倒的に通常の「デイ」なので、
「デイ」ばかりが乱立する。

通常のデイサービスは健康な一般の利用者もいるので、
認知症の利用者に対し、

「うるさい、騒ぐな、追い出してくれ」などのクレームを出すため、
認知症の利用者は(職員が間に入ったとしても、行動を改善しようがないから)出入り禁止になる。


認知症の利用者が安心して利用し続けるには
「認知症デイサービス」をもっと増やす必要がある。

「認知症デイサービス」は、認知症患者しかいないので、
仮に「うるさい」などクレームが出たとしても、
別室に隔離して数分~数時間したら忘れてしまう。

行政も「認知症デイサービス」に追加の支援をしないといけない。

認知症デイサービスの不足は、在宅介護に押し付ける結果になり、
そのしわ寄せは家族に行く。



医療|通所施設の拡充


入院させるとなると、
ベッドに縛り付け、屋外に出さないようにするために
様々な策を講じなければならない。

薬漬けになった患者は抵抗力もなくし、より周囲の手がかかるようになる。通所で済むものであればそれだけ「自立」したまま生活を送れる。


自傷・他傷(自殺や暴力)を頻繁に行う人は、
病院に押し込めて投薬・拘束でもよいが、

ただしゃべるとか外に出ようとするというだけで
病院におしこめる必要はない。

そういう行動をしても問題ない「空間」を用意すれば済む話。



医療|重度認知症対応デイケアを増やす


医療保険で使える通所ケアとして、
医療デイケア(精神科デイケア)があるが、

アルコール依存症・ギャンブル依存症・軽度の物忘れも一緒に管理するため、通常のデイケアと同じ「他者からのクレーム」問題がある。

認知症の利用者に対して、「うるさい、騒ぐな、追い出して」と一般の利用者がいえば(職員が間に入ったとしても早晩)出入り禁止になってしまう。


重度認知症対応デイケアという、認知症に絞ったデイケアもあるが、
行っている病院が減り、ほとんどなく、地元民しか使えないなど制限も厳しい。

採算が合わないのか、一般の依存症患者も入れて
通常の「精神科デイケア」にしてしまっているところが多い。


認知症は通所しようとしても、
他者からのクレーム一つで追い出される状態だ。

あるいは極度の薬漬けにして
ろくにしゃべれないような状態にしないといけない。

重度認知症対応デイケアに助成金を出すか、
実施している病院を増やす、通えるエリアを拡充する、
などでもだいぶ家族の負担は軽くなる。


医療|患者の家族目線のケア

・患者本人の「命」を長らえる
・患者本人の「健康」を守る、

という視点でしか行動できない、頭の固い医者は不要。

認知症になると、一番辛いのは周囲の家族。
理不尽に自由を制限され、仕事ができなくなり、
人間関係が壊れ、メンタルを病んでいく

一番重要なのは「患者の家族」が楽になるケア。
それは家族にやりたいことをやらせるという意味でもある。

入院させるのがベストではないし、
在宅がいい場合もあるだろうし。
その場合も家族のメンタルを優先すべきであって、

家族に暴言を吐いたり、機嫌を取らせたり、
気を遣わせるような医者は不要。

紹介状くらい気持ちよく書くべきだ。

大学病院が紹介状がなければ受診しないところだ、
大学病院はかかりつけ医としての診療はしない、
くらいは医者の端くれなら知っているだろう。


医療|精神病院の入院「3か月」制限を撤廃する


昭和の時代は「老人病院」といって、

認知症が重い人、身寄りのない人は、
余生をそこで過ごすこともあったようだ。
医者の判断で入院させることもあった。

もちろんいいことばかりではなかっただろうが、
今のように子供に何もかも責任を負わせることもなかった。


3カ月で強制的に追い出す

再入院には3か月のインターバルが必要
同じ病院には再入院できない(できる地域もある)

などの縛りもなかった。
これは今の、国の助成金のせいらしいが。

3カ月を過ぎると一気に報酬が減るからというのが追い出す理由だそうだ。


受け入れ施設もない地域では、
症状が進んだ状態で、在宅介護になってしまう。

中には入院しなければ持たない
暴力・暴言がひどい人もいるが、

安易に3か月の入院を薦めずに、
責任を持った医療体制を整えてもらいたい。



医療|若年性認知症対応の病院・施設を増やす


認知症は

・アルツハイマー
・レビー
・脳血管
・前頭側頭(ピック)


など色々あるが、若年性(前頭側頭であることが多い)は症状も激しく、元気で、症状も波があり、周りの対応も他の認知症とは全く違ったものが求められる。

それに対して医療が平均的な老人性アルツハイマー(80代)に合わせているので、対応しきれていない。


専門家をもっと増やすこと、
そして患者の家族の負担を減らし、
税金の負担を少なくするため、

遠くの病院にも越境して「診察・通院・入院」できるように対応してほしい。


行政|在宅介護者に「経済的」な「支援」をする

大して大きな金ではない。

もし子供が介護放棄したり、逃亡した場合、
行政は「認知症患者」を路上に放り出すことはできない。

金額も決して安くはない。
若年性対応ともなれば、一日2~3万か。それ以上。


数万円の支援をケチった結果、それだけの損失が、
認知症患者本人が死ぬまで続くわけだ。


行政は「生活保護」を申請すればいいという。

だが認知症の親を連れて「アパート」に引っ越し(それができるのなら?)
車も手放し、バスと電車で、

親が死ぬまで生活保護を受け続けるのは「正しい」のか?

生活保護まで落ちると、そこから這い上がるのはとても厳しい。
生涯、税金に頼る、無力な存在になっていく。

介護者にも生活があり、仕事があり、子供がいる人もいる。
生活保護に落とさないで「経済的」に「支援」するのが最善だ。

家族がいない、身寄りがない人間にも支援をすべきだ。
親が一人残され、多額の税金で扶養する羽目にならないよう。

税金の「損失」を抑えるために。



行政|縦割り行政で誰も責任を取らない・・・


厚労省は県に、
県は保健所に、
保健所は市に、

市は包括に、
包括はケアマネに、、、

延々と無限ループのように責任のなすりつけをしている。

市の職員は数カ月~1~2年で変わってしまうため、
引き継ぎも満足に行われない。

制度がないなら「制度がないです」の一言で終わる。
それを作ることも、改善することもない。


国の助成金があるが、
それを市が支払いを拒む理由は、市町村が半分を持つから。

なので国の制度なのにもかかわらず、
少しでも福祉をカットしようとする。

市町村の予算を節約できるからだ。
でもその結果ケチった結果、

家族が介護を放棄したり、倒れたり、逃亡すれば、
老人を一人路上に放り出すことはできない。

なぜならそういう決まりだから。

認知症患者が血縁もなく、一人残された場合、
市町村の権限で有料ホームの「生活保護枠」などを使い入所させ、税金で扶養することになる。

金額も決して安くはない。
若年性対応ともなれば、一日2~3万か。それ以上。

今までよりもずっと高額で、無駄な税金を、死ぬまで使う羽目になる。

家族が生きている間に支援することが、結果として税金を節約できる。
それを理解しているのか。


行政|施設を「越境」して使えるようにする


認知症対応デイなどの「地域密着型」は
通所できる範囲が決まっていて、

しかも同じ自治体(市町村)に限られる。


隣接する市町村にあったとしても、
それが通える範囲だとしても使えない。

市町村を「越境」して「介護保険サービス」として
利用できるようになれば、選択肢が広がる。

今は市や県に「施設」がなければ「引っ越す」しかない。


行政|要介護度の認定を「認知症専門医」にさせる


要介護3以上の判定を受けないと、
特別養護老人ホームに応募できない

要介護の認定は書類上の審査で、
より厳しく審査する目的で、
小児科医や歯科医など専門外の医者に判定させる。

結果、実態よりも厳しく判定されて許可が下りない。


・徘徊を繰り返す=元気だ!軽い!
・朝から晩までうるさい=活動的!いいことだ!

若年性はもちろん、徘徊が多い人も要介護2で止まる。

そして要介護3の許可が下りる頃には
症状も進行して入れなかったり、
家族も失職・疲弊して手遅れになっている。

実態をより知っている
「認知症を実際にみている医師」か
「ケアマネ・施設関係者」に

要介護度の判定をさせるべきだ。
要介護度、介護保険の制度をこのまま続けるのなら。



マスコミ|認知症を煽る報道はもういい・・


認知症は怖い、介護は悲惨、先行き真っ暗・・

こういうセンセーショナルな報道ばかりして、
症状がこう出たら、具体的にどうするかという内容を伝えていない。

恐怖感だけが先走って、
お互い押し付け合いになっている。

モラルを失った国民性もあって、
逃げたもの勝ち

家族間でも我先に、と逃げ出して
残された一人(嫁、1人っ子、末っ子など)がやっているケースが多い

もう遊び半分で煽っていい状況ではない。

東南アジアの「安価」な人材も、
物価が上昇して給料の低い、未来のない日本にわざわざ来ない。

目当てにしていた外国人の介護人材も思ったようには来ないだろう。
税金も上がり、助成金もカットされて

介護業界は早晩崩壊すると思う。


在宅介護を否応なしに行うようになるので、
そうなったときに備えるのは情報だ。

制度を使うための手段。制度がないならその問題点。
どこを改善すればいいのか。

それをしっかり伝えてほしい。


「認知症はヤバイ!!!」


これだけじゃだめだ。



多くの人は、

認知症にならなければ関係ない、
介護に陥ったら「逃げれば」いい、

という状況で

お互いに疑心暗鬼になり、分断されている。

自分のことしか考えない生き方でもよいが、
もし自分が穴ぼこに落ちた時に、

誰も助けてくれない。

死ぬしかないということでもあるんだよ。




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~最終加筆:2021年9月28日





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