94話 ジャガからの提案①
バブル崩壊から始まった世の中の不景気は依然として収まる様子もなく、僕の会社も当たり前のようにボーナスなしの状態が続き、もはやそれに疑問すら持たなくなって行った。
僕のような商品開発の仕事は、企画やデザインなど何かと規定しづらい職務が多い為、当時は残業手当など無いのが当たり前だった。つまり好きでやっているボランティア仕事という見られ方だ。
以前なら、会社が残業代の代わりに残業の際の「食事代」を出してくれるのが普通で、繁忙期などは週の半分くらいはそれで夕食費をまかなえていたほどだ