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③ブルース・セッション編

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小説『僕はハーモニカをポワ〜ンと鳴らす』の〈③ブルース・セッション編〉です。注意)以前、エッセイ『ハメルンのベンド』をお読み頂いていた方にはブルースセッション入門編からホストバン… もっと読む
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記事一覧

81話 初めてのBar①

出会いというのは本当に不思議なものだ。 路上でのハーモニカ演奏を通して「ストリートは弾き…

82話 初めてのBar②

セッション演奏の開始時間には、店は参加するお客でほぼ満席になっていた。当たり前のようにギ…

83話 初めてのBar③

緩やかに流れるジャジー(ジャズっぽい)な流れを含むスローなブルースの伴奏に、僕はそっと自分…

84話 ゴジラ対、悪ゴジラ①

しばらくして彼は、キレた時には言葉より先に刃物が出ていそうな印象の妙に甲高い声で、僕に向…

85話 ゴジラ対、悪ゴジラ②

仲の悪い「大常連さん」と「サングラスの彼」は共にボーカルだったので、一緒のステージでセッ…

86話 第三の勢力

最後に呼ばれたのは「ボンさん」という50代くらいの男性で、それまでのセッションには1曲も出…

87話 ハイレベルなセッション①

季節は巡り、年をまたいでも、バブル崩壊から依然として止まらない会社のリストラが自分の目の前まで迫って来ていた。僕の働くフロアへも、お世話になっていた上司や中堅どころまでが、次々に自主退社の挨拶をしに回って来た。 同僚達の誰もが、仕事ではあまりむやみに笑わないで過ごすようになっていた。 かつての私用電話や、アフターファイブの飲み会なんていうのもすっかり無くなり、ただ黙々と働く日々。いやいや参加させられていた社員旅行ですらも、今では懐かしいほどだった。 リストラをしいられていた

88話 ハイレベルなセッション②

入店から数分、僕はこのお店のセッションがどの様にハイレベルなのかを、マスターから直々に教…

89話 ハイレベルなセッション③

「君、どう?大丈夫?」と僕に聞いて来たギター・ボーカルの参加者は、常連さん風の振る舞いを…

90話 お世話役ジャガ

サックスを持っているという事は、この男の人もやっぱり今夜のセッションデーの参加者なのだろ…

91話 ビギナーコーナー①

ハイレベルなセッションデーは、その後もセットメンバーを変更しながら続いて行き、いつまでも…

92話 ビギナーコーナー②

ビギナーだからヘタなのか、ヘタなままだから、ビギナー扱いなのか。お互いがお互いを信頼しよ…

93話 ダブル・ハープ

マスターが提案した「ダブル・ハープ」とは、呼んで字のごとし、2人のハーモニカ奏者での演奏…

94話 ジャガからの提案①

バブル崩壊から始まった世の中の不景気は依然として収まる様子もなく、僕の会社も当たり前のようにボーナスなしの状態が続き、もはやそれに疑問すら持たなくなって行った。 僕のような商品開発の仕事は、企画やデザインなど何かと規定しづらい職務が多い為、当時は残業手当など無いのが当たり前だった。つまり好きでやっているボランティア仕事という見られ方だ。 以前なら、会社が残業代の代わりに残業の際の「食事代」を出してくれるのが普通で、繁忙期などは週の半分くらいはそれで夕食費をまかなえていたほどだ