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バーキーと呼ばれた私 ~20.信用できない~

 デリヘルで働きたかったがクリスに会う事を恐れ、カオリは昼間から営業しているピンサロ(抜き屋)で働く事にした。(当時の沖縄はピンサロも昼間から営業できた)
 この抜き屋がとても親切で、家バレしないようアリバイ対策もしてくれた。工場地帯にある倉庫で仕分けの仕事をしてる程にしてくれた。カオリは今日から倉庫で働くお姉さんとなった。

 あれからヨウスケとは半月くらい逢ってない。久々に逢いたくなったカオリは、恐る恐るヨウスケに電話をかけた。倉庫の仕事は昼過ぎからなので、午前中少しだけ会えるか尋ねた。営業職である程度時間の融通がきくヨウスケは、一時間くらいなら大丈夫と快諾した。久しぶりに対面したヨウスケは優しく凛々しかった。倉庫の仕事頑張ってるねと喜んだ。ヨウスケに褒められるのは何にも変えがたい喜びだった。カオリは我慢ができなくなり、人気のない空き地に車を移動させ、さんさんと輝く太陽の下で、ヨウスケの身体を激しく触り、舌を絡ませた。日中にも関わらず二人のボルテージは最高潮に達した。このままトップギアで突っ走る勢いだったが、ゴムが無かったので断念した。代わりにカオリが口で奉仕した。それだけでもカオリは大分満たされた。

「あれ?倉庫なのにこんな派手な格好で行くの?靴もミュールだし」
『あー大丈夫、制服支給されるから、そこで着替えてるー』

 カオリは口から心臓が飛び出そうなほど焦った。この日の格好は胸元がはだけた上着にミニスカート。遊びにでも行くような格好だった。バレたらマズイ。カオリは仕事帰りに小学校以来のスニーカーを買った。



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 それからヨウスケとは午前中会うだけの関係が続いた。前のように最後まではせず、いつもカオリが口で奉仕した。喉元すぎるまで奉仕した。しかし、ヨウスケはカオリの事を信用していなかった。カオリの過去を知ってるだけに、本当は変な仕事してるんじゃないかと疑われた。そしてある日、ヨウスケからいきなり別れを告げられた。

「ゴメン、もうカオリの事、信用できないから別れよう。一緒にいるとどうしても疑ってしまう」
『嫌!疑われる事なんてしてないよ?ちゃんと真面目に働いてるよ!』
「それでも信用できないんだ・・・ゴメン」

 こうしてカオリはヨウスケと別れた。季節はまだ初夏の候、皆が胸躍るこの時期にフラれるとは、なんとも惨めな気分だった。疑われる事と真面目でウザいのがかなりストレスだったので、実はカオリもどことなく別れたい気持ちはあった。しかし向こうから言われるのは捨てられた気がして、たまらなく嫌だった。別れてから何回かヨウスケに電話したが、電話を取る事は無かった。カオリは毎日悲しさで途方にくれていた。





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 カオリが寂しさに打ちひしがれていたところ、G中で一緒だったリエから電話がかかってきた。

「カオリ、久しぶり!アンナから聞いたよ〜、年下君と別れたんだって?」
『リエ〜!そうなの!誰か良い人いない?毎日寂しいよ〜』
「実は私も最近離婚したばっかなんだよね〜、来週一緒に遊ぼ?」

 どうやらリエも離婚していたらしい。リエは働き詰めで全然家に居れず、家庭の事は旦那任せだった。故に、子供は旦那が引き取る事となった。

 一週間後の平日、近場のファミレスでリエと再会した。久々に見たリエは昔の番長の面影はなく、スレンダーな美女に変身していた。そういえばリエの結婚式でも一人食ったなと思い出し、カオリは怯えていた。

 リエはキャバクラで貯めたお金を元手に、ネイルサロンを経営している。顧客も増え、人脈も広がり充実した毎日を送っている。

「来月ね、仕事関係で知り合った人達とビーチパーティーするんだけどさ、泊りで。カオリもこない?気晴らしにどう?」

 カオリは二つ返事でもOKした。寂しさを埋めるには絶好の機会だ。しかし親がお泊まりを許すのか?いや、カオリはもう家には帰らないつもりでいた。

にふぇーでーびる!このお金は大切に使います!