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私の企業文化体験記‐GAPライク編‐

 濵桜コンサルティングの松田史子です。
 
「企業文化」という概念は
目に見えないものですが、
そんな目に見えない「企業文化」を
どのように習得し、体現していったのか

90年代後半、日本上陸間もない頃の
米国カジュアルアパレルブランド
「GAP」でのカルチャー体験の続きを
お話ししたいと思います。
 
 
「GAP」で働き始めた私の周りには
常にお手本になる先輩たちの存在が
ありました。
 
彼らのひとつひとつの言動、判断基準や
問いかけ、日々の率直なフィードバック
が、私自身の「カルチャー」への学びや
気づきとなり、成長の糧となりました。
 
GAPで働くメンバーには
全員共通の明確な指針がありました。
 
それは、GAP社の「価値観」「行動指針」
であり「GAPカルチャー」を
醸成するための土台となるものです。
 
「GAPらしい」か、そうでないか。
私たちはいつも意識し、考え、
仕事をしていました。
 
そして多くの場合
「GAPらしい」か、そうでないか
という観点で、フィードバックを
もらうことで、学んでいきました。
 
当時「GAPらしさ」という意味で
「GAPライク」(GAP LIKE)
という言葉がよく使われていました。
 
彼らは、お客様への接客や、挨拶や、
チームメンバーへの協力姿勢や、
ミーティング、売り場作り、商品管理など
あらゆる場面で
 
「今の、GAPライクだね」
「それ、GAPライクじゃないよね」
 
といった言い方で、私たちに、
GAPの基準を気づかせてくれました。
 
「OK!今の行動がGAPライクね!」
 
具体的なフィードバックとともに
もらった、その言葉によって、
私たちは「GAPらしさ」を体感として
覚えていくことができました。
 
「企業文化」のような
目に見えない概念を共有するためには
「共通のイメージ」を
可視化することが必要です。
 
この「GAPカルチャー」を体現する
先輩社員の言動、作り出す職場の空気、
そして目に入る全てのビジュアルから
 
「GAPらしさ」つまり
「GAPカルチャー」を
見て感じ、学べたことは、今でも、
とてもラッキーだったと思います。
 
ここでいう「ビジュアル」というのは、
従業員のファッションや立ち居振る舞い、
ロゴや商品や、店舗やオフィス環境、
その他、目に入るもの全てを指します。
 
ラッキーだったと思った理由は、
「GAP」はアパレルブランドなので、
もともと視覚的に学べる分量が、
かなり多かったのですが
 
ファッションや、立ち居振る舞い
だけでなく、売り場作りや、在庫管理等の
店舗環境についても、先輩社員たちが、
高いレベルで運営してくれていたことで
 
私たちは「あるべき姿」をそのまま
「共通のイメージ」として捉え、
手本として学ぶことができたからです。
 
目に見えない概念を共有するための
「共通のイメージ」が
もし、間違って体現されていたら
どうでしょう?
 
後から来たメンバーは
その間違いを共通のイメージとして
受け入れていくのではないでしょうか。
 
そして、そのまま、誰も気づかず、
そのイメージを正さずにいたとしたら?
 
当初のものとはかけ離れた
「共通のイメージ」をもった
「企業文化」が出来上がるのでしょう。
しかも、ほとんど、悪気なく。
 
目に見えないものを
共通のイメージとして捉えることは、
本当に難しいことです。
 
入社当時に、「GAPカルチャー」を
教えてくれた先輩たちも、
もちろん、完ぺきに理解できていた
わけではなかったでしょう。
(じっさいのところ、社歴は2年ほど
しか違いませんでした)
 
それでも、彼らなりに学びながら、
私たちに「あるべき姿」を見せてくれ、
教えてくれたと思っています。
 
毎日、毎時間、毎回、毎回。
 
彼らが、誠実に、「GAPライク」に、
熱のこもったフィードバックを与え
続けてくれたことが、私を含むのちの
メンバーのカルチャー体験となり、

日本に「GAPカルチャー」を
広げていくベースとなったのです。
 
「企業文化」は、
そこにいる「人」によって作られます。
改めて、初期メンバーの方々の熱意に
頭が下がる思いです。
 
 
この思い出いっぱいの
「GAPライク」の後日談ですが、

会社の成長に伴い従業員が増えた頃から
「GAPライク」の捉え方が、人によって
ずれてしまうため、私が辞める頃には
ほとんど死語になってしまいました。
(あんなに使っていたのに!)
 
「共通のイメージ」の共有というのは
本当に難しいものですね・・・
 
残念?
いえ、そんなことは当然と受け止めます。
 
なぜなら変化に対応することも
GAPのカルチャーだからです。
 
そうやって、
カルチャーは続いていくのです。

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