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大学と企業の連携プロジェクトー観光拠点としての浜松町の未来を描く2ー

今回は、前回に続き、東京都市大学の坂井研究室(エリアマネジメント)北見研究室(マーケティング)の学生の皆さんによるまちづくり提案プロジェクトの特別レポートをお送りいたします。本レポートでは、上位2チームの提案内容の概要をお届け。学生の皆さんの柔軟な発想で描く浜松町の街の未来像を是非お楽しみください。
前回のレポートはこちら
今回のレポートでは最終発表で1位を獲得した井波さん、松井さん、對馬さん、鳥居さんのチームの提案をご紹介します。

フィールドワークを通しての気づき

まずはフィールドワークで浜松町の課題の分析からスタート。彼らがまず取り組んだのは、浜松町と羽田空港のオフィスワーカーと訪日外国人に対するインタビュー。インタビューの結果から「浜松町は国際都市に発展して欲しい」「日本文化を楽しめる街になって欲しい」「一度の来日では体験したいこと全てが堪能できない」「幅広いジャンルの日本文化を体験したい」などの声が聞かれました。

発表スライド「インタビュー総括」

こうしたフィールドワークでの気づきから、テーマを「日本文化」に設定。メインターゲットを外国人観光客に定め、日本文化を一度に体験できる施設をつくり浜松町を観光拠点としようという方向性にまとまりました。

"日本文化を一度に体験できる施設"

提案コンセプトは「つなぐ」。フィールドワークでの気付きをもとに、日本文化を一度に体験できる施設を構築することで、訪日外国人の方々が日本各地の文化をプレ体験できるような場所を作ろう、という企画です。現在の浜松町の課題である「羽田空港駅を利用する人々の通過点になってしまっている」「浜松町駅付近に滞在したくなる施設が少ない」の解決を目指し、外国人旅行者が立ち寄りたくなる施設をつくることを目指しました。

発表スライド「施設コンセプト」

具体的には、再開発街区内に新しくできる施設に日本文化が体験できる6つのブースを設置。ブースは「①食」「②和の空間」「③音楽」「④芸術」「⑤舞台」「⑥フォト」とテーマが設定されており、そこを訪れることでテーマに沿った日本文化を実際に体験することができます。この施設を目的に浜松町に立ち寄る外国人が増え、ここでの体験が日本各地への興味のきっかけを創り出し、さらには浜松町が国際都市として日本文化の発信拠点となることを目指したものです。このチームはコンテンツの企画のみではなく、社内にイベント運営部を設立して定常的にソフトの施策を運営することも提案しています。

発表スライド「ビジネスモデル」

インタビューの様子を再現する等、ユニークなプレゼン方法で事業者の心をつかみ、見事1位に選ばれました。

最終プレゼンの様子

日本文化の発信拠点になり得るという気付き

ここからは提案に至った背景や、学生の皆さんから見た浜松町の街についてお伺いした座談会の様子をご紹介します。

東京都市大学キャンパス内でのインタビューの様子

ー最初に、みなさんの所属研究室について教えてください。

對馬さん この3人はマーケティング研究室として一緒にやってきました。もうひとり、今日は不在ですが、鳥居くんはエリアマネジメント研究室で今回ほぼ初対面でした。
井波さん 毎年エリアマネジメントの研究室と合同で浜松町プロジェクトをやっているのは知っていたんですけど、今年は観光拠点づくりが課題と聞いてチャレンジしました。
對馬さん 坂井研究室からどういう人が来るかもわからない状態でたまたま集まったメンバーです。

「今回のプロジェクトはチャレンジでした」

ー今回の提案に至った背景や、提案まで苦労したポイントがあれば教えていただけますか?

對馬さん 浜松町について考えたときに、羽田とつながっているから外国人観光客をターゲットにしようと。それなら浜松町で日本文化を発信できればいいんじゃないかと考えました。
井波さん 最初は遊び心というか、こうやったら面白いんじゃないか、というところから入っていって。
松井さん みんなでポンポンとアイデアレベルから出しあって、そこから肉付けをしていった感じですね。提案するにあたっては考えなくてはいけないことがとても多かったです。費用の面だったり多くの関係者との調整だったり。
井波さん あと、プレゼンの仕方もギリギリまで検討しました。当日の集合1時間前にみんなで集まって、プレゼンの前半があまり魅力が無いよね、という話になって。どうやって聞き手を巻き込もうかと考えて、対話形式にしようということになって…プレゼンの方法は本当にギリギリで決めた感じだったんです。
對馬さん 折角提案するならアイディアだけではなく、それを継続させていくという観点も大事かなと思って、その点をプレゼンに盛り込んだ点も良かったかなと思っています。継続性を考えると、そういう部署を作った方が良いと考えたので、新しい部署の提案もさせていただきました。まさかここが刺さるとは思いませんでした。

「まちづくりは考えなくてはいけないことが多かったです」

ーまちづくりプロジェクトを通して、浜松町の印象の変化や期待することはありますか?

井波さん 提案する中で考えが深まったので、やっぱり浜松町には日本文化を発信する街になって欲しいと思いました。
松井さん 浜松町は平日はサラリーマンは多い街じゃないですか。休日は逆にそうした方々が減って街の印象も変わるので、平日と土日とでオン・オフが切り替わるような、テーマパークみたいに楽しめる街になったらいいなとも感じました。
對馬さん 羽田空港からの玄関口という特性もありますし、観光客の方々に立ち寄ってもらうことが大事かなと思いました。駅から徒歩でいける範囲に魅力的な場所がもっと増えればいいなと考えています。外国人だけじゃなくて観光客全体を呼び込める街になるといいなと思いましたね。

「穏やかで協調性のあるチームでした」

ー最後に自分達のチームを一言でいうと?

對馬さん 僕は「和」ですね。 
松井さん その心は?
對馬さん 「和」て色々な言葉に使われていますよね、平和だったり調和だったり。穏やかな感じもあって協調性っていう部分も持ち合わせて、この言葉が僕達のチームに合ってると思いました。
北見先生 実は前のチームも「和」って言った。
井波さん、松井さん、對馬さん えーっ!!
井波さん それ俺ら、もう言えないじゃん!
一同:笑

「浜松町プロジェクトをより良くしていきたい。」

今後の浜松町プロジェクトに期待すること

最後に、今回のプロジェクトに伴走くださった北見先生からいただいたコメントをご紹介いたします。

「このプロジェクトを通して学生が事業者目線を学ぶことができれば」

このプロジェクトでもっとガッチリ事業者と学生が一緒にやれると、さらにアカデミックなプロジェクトになるかと思います。現状はプレゼンすることに重きを置いているので、例えば一緒に調査させてもらうなどできれば良いかなと考えています。学生が事業者目線で何を求めているかを学ぶことができれば、よりこの浜松町プロジェクトが、事業者、学生そして浜松町にとってより良いプロジェクトになると考えています。

取材・文:齊藤宗英(Kプロビジョン)」/撮影:堀内彩香

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