質を求めて時間至上主義に陥るとやがて般化し、量的になる ~ゆたかさとは~
夏~生木 多感 少年~
ゆたかさって何だろう
本当になんだろう
ゆたかさは他人との比較では感じられない
それはゆたかだと知るだけで生理的反応を引き起こさない
ゆたかさは絶対評価によって感じる
あの黒い飛行機はこちらへ来るのだろうか
そのとき心が満ちて、あふれるゆたかさに触れる
これがゆたかさなのか
五体満足に生まれても
戦争のない時代と国に生まれても
社会的地位が高くても
ゆたかだと感じられないときがあるだろう
ゆたかさは量ではかることができない
ゆたかさは絶対評価によって感じる
ゆたかさは絶対評価によって感じる
秋~果実 気丈 青年~
ゆたかさって何だろう
命がある、それだけでゆたかなのか
ああ、いそがしい
時間がない
私はゆたかだ
なぜならあの人よりも優秀だから
私はゆたかだ
なぜなら飢えに苦しまないから
私はゆたかだ
なぜなら身の回りには何でもあるから
これがゆたかさなのか
あの時よりも
あの人よりも
あの苦しさよりも
今の私はゆたかさに包まれているはずだ
ゆたかさを感じる
ゆたかさを感じる
冬~枯木 心恋 成人~
ゆたかさって何だろう
豊かさってなんだろう
何かが違う
豊かさを感じる人生だった
でも心が満ちていない
あの日の感触は一瞬だった
心ってなんだ
幸せってなんだ
ゆたかさってなんだ
わからない
虚構なのか
これがゆたかさなのか
あのときの手触りはよかった
あのときの心地よさはどこだ
あのときのゆたかさは何だ
ああ、懐かしい
今はもうそれだけだ
春~新芽 初心 老人~
ゆたかさって何だろう
時間にゆとりができた
空気がおいしい
月が丸い
汗がじわりと浮き出てくる
全身で感じるゆたかさ
ゆたかさは絶対評価によって感じる
今が楽しい
今が心地いい
今がゆたかだ
これがゆたかさなのか
ゆたかさは量ではかることができない
質は絶対評価によって決まる
宇宙は広がる
そして宇宙は広がる
熱が移動する
そして熱が熱となる
世界はそれだけだ
私はそれだけで満足だ
ゆたかさとは美しさだ
ゆたかさとは美しさだ
世界はきれいだ
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