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ザクロ

「買って!!」
「え〜???」

この時期になると、いつもこの会話が繰り返される。

秋が来るとトルコの八百屋ではザクロが並び始める。ザクロの木もあちこちで見かけ、開花時期はオレンジの花が咲く。子供が小さいときはよくザクロの木から花を取って、友達のお母さんから実が成らなくなるから取らないでと注意されていた。

ジュース、ソース、酢、種子油、お茶、スイーツの飾り・・・。

ザクロはトルコではポピュラーなフルーツ。
また、たくさんの種子が包まれていることから、繁栄や豊かさを表す縁起の良い果物として雑貨や模様によく使われている。その中でも、そのままザクロの形をした花瓶のコロンとした感じがかわいい。

私の子供はザクロが好きだ。生でそのまま食べるのが。

でも、理由があってザクロを買うのを渋ってしまう。出始めは値段が高いからまた今度、とか言って誤魔化すけれど、旬でお手頃価格になり買ってと言われても、「う〜ん、また今度ね。」と言ってしまう。

私が初めてザクロを知ったのは小学生の時。

友達がお弁当と一緒に持って来ていた(よく考えると、学校にザクロを持ってくるのもなかなかすごい)。ちょっともらって味見してみたけれど、へぇ〜、という感想で終わったように思う。

そんな感じでザクロとは縁がなかったけれど、トルコで初めてザクロの実を取り除く作業をした。そのザクロは自分で買ったのではなく、子供が小さい頃、一緒に散歩していたときにリンゴでもくれるかのように普通に近所の人にもらった。

もらったは良いけど、どうやって食べるのかわからない。ネットで調べる。まず、つんつんとなっている部分から下に1cmくらいの所を横に切り取る。白い筋がそれぞれのザクロの部屋の区切りになっているからそこに切れ目を入れていく。切れ目を入れて開いたら、水の中で実を取り除いていく。そうしないと、ザクロの赤い汁が飛んでくる。結構、ザクロの中には実が詰まっている。それを潰さないように取り、水から上げて完了。私には粒を気を付けて取り除くこの作業が微妙にめんどうだ。

子供は初めてザクロの実を食べてから大好きになった。それから秋になると冒頭の会話が繰り返されている。

毎年たくさん食べていたら実を取るのも上手になるかもしないけれど、まだちょっとめんどくさいが勝ってしまうので買うのを渋る。でもこの前、ザクロを渋々買って、久しぶりに実を取り除いたとき、去年よりは上手になったかもしれないと思えた。

今年は、いつもよりザクロを買ってもいいかも。


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