見出し画像

トルコで引っ越しのために家探し・番外編・管理人のおじさん


*シリーズで書いています。1はこちら ↓

私たちがやって来ているのをベランダからででも見ていたのだろうか。
引っ越し前に新しく借りる4階の家の中を掃除しようとアパートに行った日、階段を上がっていくと管理人のおじさんが3階の自分の家の玄関前に立っていた。

*管理人さんとの一件はこちら ↓

「Hoş geldiniz!!(ホシュ ゲルディニズ・いらっしゃい!!)」

歓迎ムードで迎えられて、何だか拍子抜けた。
こちらは、管理人のおじさんに何かひとこと言いたい!!でも何と言おうかと悩みながらやってきたのに。

さらによく見ると、顔色がよくない。数日前に心臓発作で倒れたというではないか。

そんな状態でも、とても嬉しそうにわざわざ出迎えてくれた管理人のおじさんには、もう何も言う事ができなくなってしまった。

いそいそと挨拶をして4階の家を掃除しに行く。

引っ越し後は、家の貸主さんが車で一時間程かかるところに住んでいるので、家の最初の修理などを自分たちで業者に頼まなければならなかった。
だが、知っているところはない。良い業者はないかと管理人のおじさんに尋ねてみると、いろいろと手伝ってくれた。

そんな中、管理人のおじさんの強引さに助けられた一件がある。

クーラーを取り付けた後、電気工事をしてもらうために電気屋さんを頼んだが、家に来てすぐに、「この工事は今日すぐにはできない。また後日出直す。」と言われた。

トルコで「次」と言われるといつになるのかわからない。私たちだけだとそこで諦めてしまうところ、管理人のおじさんは言った。

「できる、できる、大丈夫。今からやってくれ。」

「いや・・・でも・・・。」

と渋る電気屋さんを促して作業を進めさせる。
電気屋さんのお父さんと管理人のおじさんが知り合いらしく、電気屋さんは渋々作業を始めた。

そして、何故この作業を後日に回さなくてはならなかったのか、ほどなくして作業は終わる。

いつ工事に来るのか、来ると言ったけど本当に来るのか?と言う事にやきもきしないで済んだことに感謝する。約束を守ってくれる日本と違い、業者とのやり取りは本当にストレスだ。

管理人のおじさんに、

「ほら、問題ない。出来ただろう。」

と言われ、苦笑いする電気屋さん。
こちらは助かったが、管理人のおじさんの強引さは敵には回したくないな。

こんなこともあった。

ある日、主人の自転車がなくなった。

自転車はアパートの入り口に入ったところにあるスペースに置いている。自転車置き場はない。アパートの入り口は鍵がなくては入れない。(扉をきちんと閉めないと鍵がかからないので、鍵がきちんと掛からず扉を押せば開くこともよくある)

誰かが持って行ったかも?

管理人のおじさんの所に行く。
チャイムを鳴らすと、管理人のおじさんは留守で、奥さんが出てきた。
自転車がなくなったことを伝えると、

「あぁ、主人が借りるって言っていたよ。」

との答え。

盗られていないならよいのだが、心配するから一言声かけてから借りていってくれる、管理人のおじさん。

自転車はたまにしか使わない。たまたま気付いたけど、もしかして今までも何度か勝手に借りていっていたかもしれない。

ありえそうだな。

私のお父さん、と呼ぶには年齢的に違うな。トルコでは、年上の人に対しては「〇〇兄さん」という呼び方をするので、実際には「〇〇兄さん」と呼んでいるが、感覚は「近所のおっちゃん」だ。

お父さんが料理人だったという、料理上手な奥さんの料理もよく持ってきてくれる。管理人のおじさんにとって奥さんの料理は自慢らしい。

「これはトルコ料理の〇〇と言うんだ。美味しいよ!」

それらの料理を毎回美味しく頂いている。

管理人のおじさんの印象は強引でアクのある人だったが、その印象の部分も少し残しつつ、付き合ってみると味のある、気の良いおじさんに変わっていった。そして今では、付かず離れず、良い関係を保っている。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?