【エッセイ・ほろほろ日和2】潮騒を聴きながら・昭和52年~平成2年頃
■「この道」を爆走する私
同級生たちが高校に進学する頃、私は父親を説得し、県外にある日舞とバレエと声楽が学べる学校に進学しました。親戚宅に居候して通う学校は、野村先生から言われた「この道」そのもの。ここで結果が出せれば、母のことも、惨めな過去も全て帳消しになるような気がして、走り続けました。
卒業後、「家事と弟の面倒は、女のお前が見るのが当たり前」と父に諭され、一旦は家に戻ります。けれど私は、私を捨てることができませんでした。雑誌に掲載されていた、俳優・勝新太郎さんが