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【最終報告会】ティントラボ『伝わらない記憶のプロセス 』④~

全国・世界・地元から、福島県浜通り12市町村にて芸術家が滞在制作をする「ハマカルアートプロジェクト」(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業))。

その採択プロジェクトのひとつ、三塚 新司 さん(ティントラボ)による
・『伝わらない記憶のプロセス』
につきまして、三塚さんがこの12市町村(東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う避難指示等の対象となった12の市町村)内において、どういったプロジェクトを実施し、現地活動、および制作物が出来上がるのかまでをシリーズでご紹介します。

今回は最終回、プロジェクトの最終報告会の様子をお伝えします!

・ハマカルアートプロジェクト 最終発表会
 2024年2月20日(火) 15:00~ 於:コススタ(双葉郡富岡町)


アオスバシの制作スペース 描きかけの絵は鹿島区の町が一望できる景色

三塚さんはこのプロジェクトのための制作活動を、南相馬市小高区のカフェとコワーキングのスペース「アオスバシ」の2階の一部屋を借りておこないました。

ところが、前回のレポートの中でご紹介した、大熊町のAさんの思い出「裏山から見た町の景色」を描きはじめた三塚さんは、帰還困難区域を含む地域の景色を描くことの難しさを感じたそうです。

実は他の方にインタビューをした際、南相馬市鹿島区の山の思い出を聞き、鹿島の町が一望できる景色を描いたそうですが、鹿島区は所用で通過する際などになんとなく町の雰囲気がつかめるものの、大熊町は雰囲気をつかむことが難しいと感じたそう。


中央の一回り大きい絵が、大熊町の「裏山から見た町の景色」

三塚さんの滞在制作は、当初予定していた1月30日から2月14日までの日程を超え、2月20日のハマカルアートプロジェクト 最終発表会の直前まで延長されました。

・ハマカルアートプロジェクト 最終発表会
 2024年2月20日(火) 15:00~ 於:コススタ(双葉郡富岡町)


登壇発表される三塚さん

各プロジェクト代表者らによる登壇と成果発表の中で、ご自身の滞在制作、及び所感について発表なさった三塚さん。

実は三塚さんのお父様が原子力研究に関わったこともあり、ずっと福島県浜通り12市町村に来たいと考えていたこと、それなのにいつの間にか浜通り地区の報道を見なくなってしまったこと、それらが「伝わらない記憶のプロセス」というプロジェクトに転化されたことなどをお話くださいました。

三塚さんにとっては今回の最終発表によってプロジェクトが終わるのではなく、今後も引き続き制作を続け、作品が完成したあかつきには再び12市町村を訪れ、インタビューを受けてくださった方々の記憶の風景と、三塚さんが想起した風景の絵の違いについてお話を伺いたい、とのことでした。

展示としては、滞在中に制作された絵画複数点、及びインタビューに際して収録された映像記録が展示されました。


最終報告会での展示風景


展示には、滞在中に制作された絵画複数点と、インタビューに際して収録された映像記録が展示されました。

発表後の三塚さんから話を聞くと、「結局、自分が代弁出来るのは、自分自身がかつて原子力に憧れたということだけで、作品制作を通じて、そのことへの謝罪や言い訳をしようとしているのかも知れない」とお話してくれたのが印象的でした。


三塚さんが千葉の自宅へ戻ったあとに描いた作品 国道6号線から原発方面へ向かう道だそう

以上で、三塚さんのおこなってきたプロジェクト『伝わらない記憶のプロセス 』のレポートは最終回となります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!