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働き方改革とかいうけれど結局はハムスターなのだ


”人事って書いて「ひとごと」って読むんだよ。人事部は他人事としか思っていないんだよ”


こんにちは、ハマチです。

ハマチは現在の兵庫県での生活がとても気に入っています。
社宅になるのですが、職場からも駅からも近く、ちょっと電車に乗れば繁華街まですぐなので、とても快適に過ごしています。

名古屋の時も住みやすかったので、もしかしたら東京じゃなかったらどこでもいいのかもしれません。もう少し田舎だとどうなんだろう?


先日、名古屋時代の同僚からこんな相談を持ちかけられました。

「小学生の娘が義務教育終わるまで、できれば名古屋にいたい(転勤したくない)んだけどそういうのって人事で考慮してもらえるんだろうか?流石にそれは無理だよね。」

なぜ同僚がハマチに相談してきたかというと、ハマチは人事部に在籍していたことがあったからです。

詳しく話を聞くと、転勤しないのがベスト。最悪転勤ってなっても、自分は単身赴任の上で名古屋の社宅を家族に貸してもらえるのか(二重貸与)、ということが知りたかったようです。

ハマチは自分は人事に在籍していたけど、質問に関する業務の直接の担当ではなかったことを伝えた上で、自分の知る限りのことを伝えました。

「子供が私立の高校生という理由で二重貸与の事例はあったけど、義務教育だと多分認められないよ。」

ハマチの職場では早くて2,3年で転勤があります。(ハマチは名古屋2年でした。)一方で何年も同じところにいたままの人もいます。

同僚のお子さんは上の子が小学3年生、下の子が5歳。
可能性はゼロではないとはいえ、彼の要望通りになるのはかなり厳しそうです。

なぜそんなことを聞いたのか確認してみました。

「このままだとあと数年で転勤になると思うのだけど、子供、上の子がね・・・小学校の卒業遠足、知らない子ばかりのところで楽しめないじゃない。一生に一度の思い出だから精一杯楽しんで欲しいんだよね。」


胸が苦しくなりました。


ハマチは親が転勤職ではなかったため、生まれてからずっと同じところで育ってきました。同じ家、同じ友達。親友と呼べる人もいます。

たまに転校生が来たりしましたが、どんな子だろうか、仲良くなれるだろうか、などとドキドキワクワクしたものです。
しかし幼少期のハマチに、その転校生にとって転校という行為がどれだけストレスになっているかなんて想像できるはずもありませんでした。


ハマチの職場では、転勤が多すぎたあまりある人の子供が学校に馴染めず不登校になってしまったという話も聞きました。

家族を養うにはお金がいります。仕事なので転勤せよと言われたらしょうがないです。ですが、それで子供が辛い思いをしたら・・・。


期待していた回答を得られず、肩を落とす同僚に、ハマチは声をかけました。
「いい回答ができずごめん。お子さんのこと考慮してくれと言ってもね、人事ってさ、ほら、他人事だから。人事って書いて「ひとごと」って読むんだよね。」(改めて書くとひどいな)


同僚とはそのあと名古屋に家を買う、転職をする、など様々な展望で話が盛り上がりました。
その中で話題に上がったのは、「社内で一時的に転勤なし・給料減の立場になり、時期が来たらまた元に戻る」というもの。専門家ではないので現実的かどうかわかりませんが、人手不足な中、転職されるよりずっといいし、同じような悩みを持つ人も多いだろうから個人・会社双方メリットのある方法。

自分の将来をしっかり考えて働き方を選択できる・・・まさに働き方改革。
こういう選択肢があってもいいなと思いました。


しかし一方で名古屋の彼の悩みが羨ましくもありました。

ハマチは独身、もちろん子供はいません。
家に帰ってもおかえりって言ってくれる人もいません。

どこに行こうが、それは同じです。
会社側からしたら異動させるのにリスクを心配しなくて良い人間かもしれません。


******


ハマチが人事部にいた頃に担当していた業務の一つが「雇用保険の給付関連業務」でした。

定年退職されて嘱託として働く方の給付金や、育児休業を取得される方の給付金の申請手続きをします。

育児休業・・・。ハマチより後に入ったあの子、入会時から美人さんと評判だったあの人・・・書類上ではありますが、名前を見て「あ、お母さんになったんだな。おめでとう。」と思いを馳せたものです。

ハマチの仕事は他にもあり、なかなかに忙しい日々を人事部でも過ごしました。大きな人事異動がある3月から4月にかけては、家に着くのは日付が変わってからなんてこともありました。

日々業務に追われて疲れきっている中、育児休業給付金の手続きは正直邪魔でしかありませんでした。
しかも不運なことに給付金の金額が見えてしまうのです。


「あ・・・働いていないのにこんなにお金もらえるんだ・・・いいな・・・」


若かりし頃のハマチが抱いていた育児休業者に対する印象なんてこんなもんです。

やれ育児休業者の手続きだと言って仕事に追われた時間を婚活や合コンに充てられたら、ハマチはお嫁に行き遅れる事はなかったのかも・・・。そんなことを考えたこともありました。

昔は、制度もこんなに煩雑じゃないし、何より女性の多くの方が結婚を選んでいたし(お見合いとかもあり)、とにかく「お互い様」だったと思います。

あれ、おかしいな、ハマチに返ってくることないな・・・これ・・・。
全然お互い様じゃない・・・・。

え、子どもを育てるのは大変だし、休みじゃない。酷いこと言うなって?
子供育てたことないから、大変さはわからないけど、こっちだって疲れ切っている中給付金の通知書見たら愚痴の一つでもこぼしたくなるんですよ。思うくらい自由にさせてくれ。

育児休業取るなとは言わないし、そんなこと一切思わない。むしろどんどん活用していくべきだと思う。でもその裏で手続きしたり、仕事を肩代わりしている人間がいることは忘れないでほしい。

「予定より早く保育園に入れそうなんですが、ギリギリまで休業したいんです。どうしたらいいですか?」とかいう制度の背景を無視したバカなことは聞いてこないでくれ。


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子どもを持つ働き人に対して、嫉妬とも羨望とも言えるなんとも言えない清濁併せ持った感情を持っていたハマチ。

最愛の家族の幸せのために考えを巡らせる彼の姿がすごく眩しく見えました。彼のこの戦いはどのような結果になろうともものすごい経験値となって彼に降り注ぐだろう。

ですが、眩しく見えるが故に、影も色濃くなります。


もし働き方改革とやらで、彼が名古屋に残る選択ができたとしましょう。

「じゃあ、彼が行くはずだった転勤先に人を送るのはやめよっか!」
とはなりません。
代わりに誰かが行かなくてはならないのです。

誰かの人生を守ったがために、誰かの人生が狂うことになる。

そんなこともありうるのです。

でも働き方改革がなければ、守れたはずの誰かの人生が今まで通り狂うことになります。
彼のお子さんは新しい環境に馴染めないまま卒業遠足に行くことになるかもしれない。

何が正解かわからない。

だから人事は「ひとごと」になるのです。
一人一人の事情を自分事にしていたら自分たちが壊れてしまう。


会社員なんて所詮歯車。ケージの中のハムスター。ハム車。

育児休業も働き方改革も、ケージの中に回し車増設とか水飲み場が綺麗になったとかその程度のものなのかもしれません。

ケージにいることは変わらない。回し車をうまく使って快適に過ごせる者もいれば、うまく使えず、こんなものない方が良かったとボヤくもいる。

そんなもんなのかもしれません。


さて、こうなるケージの外が気になりだします。
回し車とかそういうつまらないことを考えずに済みそうな世界が広がっております。自由に見えるけども果たして・・・




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