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「すごく猫猫しいにおいがした」2024年11月10日の日記

今日の日記は
【羽のない猫】
の1本で構成されています。

・初めまして。“きどあいらく”の名前で執筆活動しています。毎日、日々の内々を書き綴った日記を更新してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。この日は17時間ほど眠り、自分でも何をしたのか、自分が何者であったかさえも分かっていない(覚えていない)ので、嘘の話で綴ります。


【羽のない猫】
今朝はとてつもなく寒かった。唇が凍えてイの音しか発音できないほどに。そのせいで私は朝食を食べるのにいつもの三倍もの時間を要したし、家を出る時には吐く息こそ白くなかったものの指先の感覚などは完全になくなっていた。

雪国出身だから寒さには強い方だと思っていたんだけど……寒い! 僕は身震いをしながら靴箱から革靴を取り出す。そしてそれを履き、玄関を出た後にもまだ残っている冷たさに思わず声が出る。

「むあうあう」

すると目の前にちょこちょこと駆け寄ってくる一匹の猫。毛並みの良さや体型を見る限り家猫だろうな、僕を見上げる瞳がキラキラしている。きっと帰るおうちが分からなくなってしまったのだろう。

だけどそんな哀愁漂う状況だというのにこの猫は僕の足下にすり寄ってくるどころかぴょんぴょん跳ねている。どうしたんだろうか? あぁなるほど、そういう事か。きっとこの仔もこの気温の低さだから暖かい場所を求めているのだ。そう考えた僕は猫をひょいと抱きかかえてみる。ふわっとした感触で気持ち良い。

しかしそんな風に思うのも束の間、僕の懐にいる子は突然暴れ始める。慌てて抱え直してみると今度は大人しくなってくれたものの少し不機嫌そうな顔つきだった。

多分これは抱っこしてほしかったんじゃなくて遊んでもらいたかったんだろう。僕は猫に言いきかせる。

「これは抱っこ遊びだにょ」

すると満足げな表情を浮かべて小さく鳴き声をあげる猫。猫を優しく地面に離し、僕は再び歩き出したのだが相変わらず足元ではじゃれつくような動きが見える。それならいっそと思い僕は立ち止まる事にする。猫は転がるような形で地面をコロコロ。まだまだ遊び足りないようだ。

まるで小さい子みたいだと微笑ましく思っていると不意に冷たい風が吹く。すると猫は飛び起き、一瞬のうちに走り去って行ってしまった。

なんだかさっきより寒く感じるような気がする。



今日はここまで。それではさようなら、おやすみなさい


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