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詩・ポエム

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【詩】青い薄化粧

起きてすぐの薄化粧 霞がかるあなたに触れる前 気付かないほどの青を混ぜて すぐにベッドに戻ると あなたの中に残ってる私がないかと 背中に耳をあてるの このまま泣いてしまえば勿体ないけど くしゃくしゃになった私に 大丈夫綺麗だよって笑って欲しい 電車の窓から覗く雨空が私の心と同じで あなたは哀しげな顔をするのに晴れ 雲は俯くばかり あなたの瞳の奥に潜む熱には気づきたくなかった 起きてすぐの薄化粧 きっと今日あなたを失う 気付かれないよう青を混ぜて どうして悲しい顔をし

【浪漫】眠りにつくための妄想指南

今日もまた同じ様な一日が始まる 明日も明後日もずっと続いていく 夢も見れないような毎日を過ごす そんな「眠れない夜」が大人にはあるらしい 子どもの頃には「眠れない夜」なんて無かった。大人になったとしても自分にはそんなことがあるはずない、それこそ夢のような話だと思っていましたよね。 さて、大人になった皆さんには日々圧しかかるストレスやイライラがあると思います。 人にぶつかって進むおじさん 横暴な客 親切な警察官に怒鳴る人 急な方向転換をするおばさん 狭い道で自分だ

【詩】水たまり

たくさんの考えを持つことはね、何より必要なことだと思うの。 もう、時間に埋もれるような私達でいられないから。 覚えておくべきことが多すぎて、ひとりになるとついまた難しいことを考えてしまう。 私の癖だってことはわかっているの。 目の前のことをすべて信じて、毎日少しずつ感じていた距離さえも、揺らいで見える時がある。 飾る言葉で変わらないままいる私達を眺めているようだけど、それは気づかずに通り過ぎた後になって現れるの。 感情の指輪に指を通すたび、落ちないようにと願うだけ

いちばん美しい冬

絵画のような太陽の下で包む手のひら 熱のこもった息は仄かに消える 終わらない回り道 途切れない光色 真昼の星が静かに時を進めていく 都市の喧騒が遠ざかり 君の姿だけ鮮明に焼き付く 眩しいほど なにより美しく 僕に手をひかれ君がゆっくり話す 言葉一つ一つが全身を鼓動させる 冬風に身を震わせてもまだ離れぬ心の温度 淡い雪 煌めく瞳 赤く染めた微笑み 僕の心を揺さぶる 舞い落ちる冷めた結晶が二人の距離を縮め 流れていく雲は街の光に滲みだす 刹那的な感情で動く世界で 地球

超短編小説 『息が白くなったよ』

今日は風も冷たくて、雪が降りそうだ。窓を開けると、確かに白い粒が落ちてきた。積もりそうな勢いのそれは、牡丹雪だ。 空を見上げていると、いつの間にか背後に立っていた彼女が、私の首筋に顔を埋めるようにして囁いた。 「寒いね。」 私はそっと振り返り、彼女の頬を両手で包んだ。そうして額を合わせると、彼女が嬉しそうに微笑みながら言った。 「あったかい。」 私は思わず吹き出した。「君の方がよっぽど体温が高いよ。」彼女は少し不満げな顔をしたが、やがて私と同じように笑い始

脳内デトックス

後頭葉から生まれた言葉を前頭葉介さず指に伝達 つまりは、パっと思いついた言葉を理性・社会性・計画・道徳無しに書き続けるだけ 競走馬のブランデー 大罪にしてご寛大 夕刊だけとる夜型人間 急な雨にも無問題 太古の達人 動脈パスタ 田中と言う字のテトリス感 連れて帰った本物と見分けがつかない彼女 「あたしのスクラップ見ませんでしたか?」 できたてほかほかのお墓 新鮮な男女 青春と香薫の皮を剥ぐ 生産者の顔がみえる野菜むいちゃいました ごめんねアジアゾウ 予約制青信号 

“Tagebuch geschrieben von einem Lügner”日記

2023年 9月30日 土曜日 の日記 夢日記 僕は中学生。この中学校には給食を食べる食堂がある。真向かいの席に成宮寛貴が来た。今日のゲストらしい。こんな機会は滅多にない。日頃思ってる事を伝えた。 「わ、憧れです!嬉しいなぁ!」 一緒に食べた給食は、白身魚の南蛮漬け。 日常日記 ・そんなに時間が無いし大した事もしてないので、今日は嘘をつく。 日常日記(Lüge) 改めて書くことじゃないんだけど、僕には霊体がみえる。これをいつも読んでくれているみんなには当たり前のこ

私について

あなたのつく嘘が好き。 わたしを笑わせてくれる優しい嘘。 好きって言ってくれないのも分かってる。 正直なところが顔に出ているわ。 器用で真っ直ぐなところも、不器用な意地悪さも、 わたしが聞いた時だけ照れて目を逸らす仕草も、 小さく聞こえてくる「好き」の言葉も、 全部、ぜんぶ、大好きよ。 「愛してる」は言わないで。 もっと聞きたくなるから。 あなたにつく嘘が嫌い。 あなたが笑うと嬉しいの。 あなたの笑顔が見られるなら、 そうしてつく私の嘘。 その目で見つめて。言葉で触

雲ひとつ風を感じながら

追い風に押される背中がくすぐったくて 横を向いてみた そよと鳴る風の音が 私だけに優しく聞こえた気がした 小さく息を吸って 大きく吐き出す ふわっと舞うスカートの裾 揺れる想いに似合う気がして くるりと回ってみた ふわっと吹く風の音 もったいなく大事に響いた気がして ふと笑顔がこぼれてく 今はまだこの先の風より 生まれた風を感じていたい

僕を突き動かすのは説明しがたい愛情だ。全力で自転車を漕ぎ風の中を駆け抜けるこの体は、これからどうなろうと知ったことではない。君の返事が求めているものとは違ったとしても、この期待や希望の感情は後悔を寄せ付けない。今でも笑えるよ。君を前にするとひどく臆病になってしまったあの時の僕を。

ひとりごと

冷たすぎる水は嫌い ぬるくなった水も苦手 それくらいいいじゃない わがままなんて言わないで ああ、また機嫌をそこねている これくらいいいじゃないか すこしからかっただけだろ 笑っていたいだけなのに 静かになっちゃったな でも好きよ  この時間も  また携帯ばっかりいじってる せっかく二人でいるのに 時間がもったいないよ どうして悲しそうな顔をしているの どうして怒ってるの いいさ すきにしてれば どうしてこうなんだよ もう暗くなってきた お腹すいてきたな ああ、

この電車に乗ったら

肩にかかる髪の香りに包まれながら 見えない愛に憧れていた 何も言わないふたりの声 電車の音で聞こえないふりをする 向かいの窓に映る君が 少し寂しそうで切ない こんな風にただ寄り添ってた日 気づけば少しずつ離れていった いつもよりも短い帰り道 手を繋いだらきっと離せないから いつもより君を見ていた

ひとつ確かなこと

見え隠れした心 僕だけのものだと思ってた ありのままでいた これが僕だと思ってた 問いのない答えに 変わっていく僕がいる 寂しい歌で満たしてく 悲しいくらいの幸せを 思い出すのは君の影と笑顔 そして声 朝と夕方の言葉 ずっと君でいてほしい この時のまま いまのまま 気まぐれな猫のように近づいてきて 毎日のように僕の心を奪ってほしい