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リーダーはブレてはいけない

 来月行われる安倍元首相の国葬について、政府は「弔意表明を求める閣議了解を見送る方針」を明らかにした。
 

 安倍元首相については、宰相だった当時から国民の間に「好き」と「嫌い」がくっきりと分かれていた。それに比べて在任わずか1年間だった菅義偉氏の存在感の薄いことよ。安倍氏が憲政史上最長の宰相だったこともあるが、「悪名は無名に勝る」ということか。

 個人的には、長期政権による海外での発信力は明らかに国益にかなっていたと考えている。サミットの際に海外の有力紙に別人と取り違えられたというハプニングに象徴されるように、毎年のように首相が交代していた頃に比べれば、違いは明らかだ。

 銃撃事件が発生した日、私はとっさに「やはり国葬になるなんだろうな」と考えたほどなので、比較的早い段階で政府が国葬を決定したことには違和感を持たなかった。

 それが。

 その後「反統一教会キャンペーン」が続くなかで、世論調査で国葬への反対意見が増えてきた。今回の「弔意表明要請を見送る」も、それを受けてのものだろう。

 ブレている。そして、それが簡単に見透かされる。

 国葬を実施する=国をあげてかつての指導者を悼むことを決めたのであれば、賛否があろうともそれを貫くのがあるべき姿ではないのか。

 こんなに右往左往とブレていては、賛成派、反対派、どちらにも不満が残るだろう。それなら毅然としていた方がまだよかったのではないか。

 コロナの全数把握の見直しにしても、知事会に突き上げられて追認したようにしか見えない。こちらとしては「え?そうなったらもろもろ業務遂行の判断は何を基準にやればいいの?」と戸惑う気持ちだし、さっそく東京都の小池知事は全数把握を続けることを表明した。

 リーダーはブレてはいけない。

 方針が簡単にブレるような政府が、台湾有事や北朝鮮問題といった“本当の国難”にしっかり対応できるのか。国民にそう思われるだけで、落第点なのだよ。
(22/8/26)

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