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「本は読まない」

 衝撃的な数字が出たもんだ。

 文化庁が17日に発表した「国語に関する世論調査」で「本は読まない」とした人が62.6%と、5年前の前回調査より15ポイントも増えたという。

https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94111701_01.pdf


 「本しか読まない」と言い表してもいいほどの“本の蟲”である私だが、「読まない人はまったく読まない」ことぐらいは知っているし、理解もする。

 しかし。
 
 やっぱりこれは「単なる娯楽・趣味の問題」ではないだろう。
 
 「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の著者で文芸評論家の三宅香帆さんは、今回の調査結果について毎日新聞紙面で「SNSの文章は短文で、文脈のない細切れな語彙が中心。長い文章を読むことは、自分から遠い場所への読解力や想像力を必要とし、自分にとってはノイズ(関心のない情報)となる知識も提供される。自分から遠く、ノイズとなる文脈を忌避している人が多いのではないか」とコメントしていた。「なぜ働いていると・・・」はさっぱり面白くなかったが、このコメントはいいぞ。
 
 昭和末期だったか、ある経営者がインタビューで「年に50冊以下しか本を読まない人は相手にしない」としていたのを目にして、大学の同期と目を見合わせながら「なるほど、そんなもんだよなあ」と納得した記憶がある。

 「本を読むこと」は、精神の支柱であり、人生の厚みであり、業務や生活の精度の担保である。どれだけ指導しても小学生程度文章しか書けない部下に接していると「ああ、本による彫琢をしてこないまま馬齢を重ねてきたのだろうな」とかわいそうになる。
 
 これからの日本と人類、どうなってしまうんだろう?
(24/9/20)

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