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もはや日本は「豊かで幸せな国」ではない【感想文】「日本化におびえる世界」太田康夫

世界ではもはや、「日本化」イコール「低迷する社会・経済の代名詞」になっていることが衝撃。日々のニュースを消化しているだけでは見過ごしてしまうレベルの分析が素晴らしい。日本の病巣が「デフレ、少子化、生産性の低さ」であることをまざまざと示して、「二ホンハ、モウ、ダメダ!」を連呼するだけではない説得力がある(6/4には「出生数が過去最低」との報道も飛び込んできた)。「日本化におびえる世界(欧米)」と「ますます深刻化する日本」がごちゃごちゃと入り乱れているところは残念。もっと理解しやすい構成にできたはず。

もはや日本はかつて羨ましがられたような「豊かで幸せな国」ではない。まずこのことを認識して成功体験を捨てないと、将来は真っ暗闇だ。筆者がラストに掲げる処方箋はかなり遠大な理想論とみえる。いまの日本にはもはや短期に実効性があがる手立てなどは存在しないことを、かえって浮き彫りにしている。

それにしても80年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと持て囃されたことが別世界の出来事のよう。そりゃあ目の敵にされた訳だよね。いまのアメリカが中国に抱く懸念も、軍事や政治体制の問題は違うものの、あの頃の日本の相似形と受け止めることもできるのか。
(21/6/4)

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