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中途半端な“匿名”に意味はあるのか?

 29日付朝日新聞社会面に不思議な記事があった(14版)。

見出しに「柔道元五輪代表に逮捕状 暗号資産投資詐欺の疑い」とある。当然ながら「お、誰だ?」と思って記事を読むが、本文には「会社役員の男(58)に対し、逮捕状を取った」「男は柔道日本代表として、五輪への出場経験もある」とだけで、実名を報じていない。

はて、名前を出さないことにどれだけの意味があるのだろう?「現在58歳」「男性」「五輪出場経験がある」を条件に調べれば候補者はそんなに多くないだろう。そこまで開示しながら、その先の特定は避けるのか。

しかしもしこの男が“元五輪代表”でなかった場合、記事として紙面に取り上げたかどうか、ニュースバリュー的には微妙なのではないか。それなのに“寸止め”で匿名にする意味がわからない。

ちなみに「千葉 元五輪 暗号資産」のキーワードで検索すると実名で報じている他社の記事は山のように見つかり、連行される姿をとらえた映像を出しているテレビ局もある。

もちろん「他社が報じている内容」を自社の判断に影響させる必要はないから「ひとはひと、うちはうち」であるべきだ。

しかし、朝日新聞は結局のところ「元五輪代表だからニュースにします。でも名前は出したくないから、ご興味がある方は他社でどうぞ」というように見えてしまう。朝日を購読している読者からすれば、納得しにくいのではないか。
(24/2/29)

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