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忘年会でやれ

 春は出会いと別れの季節である。テレビも改編の季節で、番組が終わったりアナウンサーが交代したりすることになる。

 不愉快なのが、出番が終わるアナウンサーの挨拶だ。こちらはお前の感慨や異動先なんかに興味はない。貴重なニュースの時間をそんなものに費やすという悪弊はいつから始まったのか。送別会でやればいい。

 似たようなものを書籍でも発見した。

日本経済新聞社編「藤井聡太が勝ち続ける理由」。藤井さんが八冠を独占した王座戦をたまたま主催していたことに盛り上がりまくって出しちゃった本である。
 
 内容は面白い。山口女流二段(えりりん)との対談の再録では多彩な一般人からの質問が藤井八冠のお人柄を垣間見せてくれたし、プロが王座戦を解説する章は、棋譜がさっぱり読めない私でも藤井さんの凄みが伝わってきた。藤井さん本人が第1局を解説した章もあって、ファンにはたまらない。

 それでも第2章の記者座談会がいだだけない。

 写真キャプションで「怒涛の連載も一段落したところで座談会」とか、いちいち内輪の話がウザくてドン引きである。そもそも読者は記者ひとりひとりの詳細な経歴なんかに興味はない。あまつさえ記者のデカい1ショット写真を3枚も載せるくらいなら、座談会の聞き手のえりりんも1枚は載るべきだろう。見識を疑う。忘年会でやれ。

 内輪の話題、感慨が商品にダダ漏れすることのみっともなをマスメディア各社はもっと自覚してほしい。カッコ悪い。
(24/3/25)

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