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2024年上半期に読んだ小説まとめ

お次は小説編。


『生きる』・『兄弟』

四十数年の時を経た今、老人が朗々と民謡を歌い、自らの過去を語る。激動の中国を生き続けた、ある家族の物語。

(ebooksjapanの紹介文から)

富貴の地主の息子で博打勝手三昧の穀潰し。嫁にもDVだらけのどうしようもないバカ息子が、ある日国民党と共産党の内戦に拉致されて三年間行方不明の状態となり、故郷の家族の元に帰ってから真人間になるも、激動の社会の中で何もかも失っていったが、愛は残っていたという(都合の良い)話として覚えている。

国民党と共産党の内戦、共産党支配の社会になってからの「食堂」や大躍進、飢饉などの描写が印象的。その後いろいろあって現代にこう続くのね、という時系列で現代中国全体像を把握するのに最適。

ドラマ『叛逆者』、泣き虫小林くんはこのあと続く苛烈な社会で大丈夫なのかしら……。

同じ作者の『兄弟』も前半だけ読んだけど、多数の書評にあるようにとにかく下品でした、笑。
読んだきっかけはP大(Priest)の『大哥』から。

『山の霊異記〜赤いヤッケの男〜』

フォロワーさんのおすすめがきっかけ。

面白かった。山の怪異ものとか好きなので。
怪異というと自然のものを思い描くが、本作は人(遭難者)のそれ。
寒く孤独な山で助けを求め続ける、あるいは自分と同じような境遇(遭難死)に引き摺り込もうとする孤独な魂による怪異。

文章が美しく、本当に山に登っているかのよう。

『炒飯狙撃手』

タイトル買い。
狙撃しながら炒飯作るのかと思ってました。ごめんなさい。

『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー』シリーズ

全5巻。

これもフォロワーさんから。
超絶面白かった! 小説編で上半期で一番面白かった。
ゲームのコミカライズ、でも後半はゲーム展開とは違うらしい。

あらすじ上手く言えないけど、とにかく「量子(クォンタム)の悪魔(デビル)の物語(サーガ)」なんだよおおお!!!「アバタールチューナー」についてはこれ以上はネタバレになるから言えないんだよおおおお!!!

未読の人に布教するためにまとめた、まったく物語がわからない人物相関図。

5人チームの中でとにかく一人だけ様子がおかしいやつがいて、読書中はとにかくゲイルゲイルばっかり叫んでいた。
自我が生まれたAIがプログラムに反して行動していくのがどうも癖(ヘキ)でして。
ゲイルのとった選択肢にも最後号泣しておりましたよ、ええ。

アバチュはいいぞ!!!!!😭😭😭😭😭

そして作者さんの後書きに全力で頷いていた。

「私はハッピーエンドが好きです。(中略)ただし、私のハッピーエンドは『登場人物たちみんなが納得して選んだ終末』ということを意味します」

(4巻あとがきより)

たとえば恋愛要素のある話だと、恋愛の成就、すなわち「こうして二人は末長く幸せに暮らしました」がハッピーエンドなのかもしれない。
だけど私もこの作者さん同様に「恋愛関係に限らずこうしたいと奮闘した意思」が成就されるのがハッピーエンドだと思っているので、一般的にはメリーバッドエンドやバッドエンドも、登場人物が選んだものなら、ハッピーエンドなんだよ。
だから偏屈だけど、変に視聴者感情を意識して「実は生きてました」「転生しました」なアフターなぞいらぬ!いらぬのだ!!!我はこの傷を抱えながら生きていくのだ!!!(おかしなスイッチが入った)

『容疑者』

元・軍用犬のマギーの賢い可愛いが止まらない

アバチュで負った傷を癒すために読んだ積読作品。

心と身体に傷を負った元アフガン軍用犬のマギーと、同じく心と身体に傷を負った刑事スコットが相棒となり、スコットが重症を負った事件を解決する話。

犬は神の生き物。犬は美しい生き物。
人は愚かでどうしようもないアホの生き物。
犬を愛せよ(愛さずにはいられない)。犬を讃えよ。犬と生きよ。
犬讃歌。

ただ……3年間ぐらいまったく懐いてくれない犬と暮らしていたので、任務や人間に忠実な犬の話を読むと、なんだか笑えて泣けて来るんだよ。
自分の犬の可愛らしさ、愛おしさに。
そしてまたペットロスを繰り返す。

中華作品

『橋頭楼上』

実体書版は装丁や付録が豪華!!! 世界観の再現に大満足!


面白かった!!2024年に読んだ小説で一番目に好き!!!アバチュと同じく1位!
(いいのよ、一位が二つあっても🙂)

BLどころか恋愛的な要素はまったくないけど、愛に溢れた話。

ここからネタバレするけど、義理の父親に性的虐待され、進学校に自分と違う名前で入学することになり、同級生からいじめられ、実の母親からはネグレクトされた少女。

透明で「そこにいない」自分を見つけてくれたのは、義理の父親の娘。
そして一癖も二癖もあるネット小説の読者たち——という話。

「そんなに辛ければ、誰かに助けを呼べば良かったんじゃない?親元を離れても、警察に逃げ込んだりして、なんとかなるんじゃないの?」

(翻訳はnote用にだいぶアレンジしてます)

と発言する寝そべり族の大学生、HN「大官人」。
それに対して反論するネット小説家、HN「我老公紙片人(ダーリンは二次元)」

「あんたらに教えてやるよ。なんであの子が逃げもしないし、反抗もしないのかって?それはあの子があんたらみたいな『ちゃんとした環境』で育ったんじゃないからだよ。そういう子は、殴られたり馬鹿にされたりするのは、全部自分が悪いと思ってんだ。逃げたり反抗するのは、他人が悪いって思えて初めてできることなんだよ。
あの子が誰かを非難したことがあるか?母親にちょっとでも優しくしてもらえただけで、怒られても将来は稼いでプレゼントを贈りたいって思うぐらい、どうにかして振り向いてほしいって思ってんだよ。だから母親の愛情がなくなったなら、違う『愛情』を探し求めるしかない。義理の父親は『母親』を奪った人物であると同時に、『第二の母親』なんだ。そんなんで逃げる理由があるか?もし逃げたなら、自分は汚れた存在だって認めることになってしまうじゃないか」

(同じく翻訳はnote用にだいぶアレンジしてます)

チャットルームではとにかく口が悪く誰にでも喧嘩をふっかけるネット小説家や、ネット小説を馬鹿にしている自称インテリの編集者、子育て中の元記者、モラハラ気味の警察官など、ネット小説読者たちのやりとりがとにかく面白く、また読ませるものだった(翻訳は大変だったけど)。

この話で思い出すのが、おそらく河合隼人で読んだ内容。
「患者が治っていくときには、ものすごい偶然が起こることがある」と。(一字一句は正確ではない)

ネットセレブや自殺倶楽部を巻き込みながら公開した日記風のネット小説を投稿し、義理の父親をXXしてやろうかと行動を移す間際にネット小説読者たちが語りかけるクライマックスは本当に、P大、あんたって人は……という隠れた良作。

あと、読んだのは晋江文学城だけど、今年の春頃に実体書も発売されている。
唐果の日記の付録で、「的地得」の誤字校正(多分聶凱かな?)が入ってるの、ほんとファン心理わかってる感があって良き。

有志翻訳(ログイン限定。晋江がVIPになれば消します)

『大哥』

これも実体書を入手

義理の兄弟、妹、おばあちゃん一家のほんわかファミリーストーリーかと思えば、実は右手に鉄パイプカチコミ烈伝。

大好きなP大作品なんだけど、あんまり刺さらなかった。

前半は貧乏家族の兄ちゃんが広東のファイトクラブに金稼ぎになったり、拾ってきた(というかエサやったらついて来て居座った)義理の弟は弟で妹を変質痴漢から守るために鉄パイプ握りしめたりする狂犬烈伝。この辺は結構面白かった。

後半は都市開発で立ち退きになって大きな家に引っ越しし、兄も半グレで経済ヤクザみたいに(多分)働きながら、弟はアプリゲーム開発で一山あて、妹はモデルになっている。いつもの「そんなうまいこと進むかよ」という冷ややかな目で読んでしまった。

しかもBLなんだけど、BがLするきっかけが、ヤケクソになった兄ちゃんが「俺、アニキのこと好きなんだ」って気持ちを寄せてきた弟に絡みつく(たしか)というのが、ちょっと安直に思えてのう。

GPT翻訳で速読みしてたから間違って覚えてるかも。

『鎮魂』

簡体字版。

キター!!!俺たちの鎮魂キター!!!
邦訳版にないプロローグと第1章を簡体字で自力で読み(よく頑張ったね!)、邦訳で2巻の続きをGPT4.oで読んだ。

いたいけな鬼をたぶらかす崑崙君は悪い大人です🙂

大哥はともかく、P大作品(少ししか読んでないけど)の、過去から未来を見通すミステリアスな人物(※)がなんとなく気になるように、神農の存在がどうにも気になる。
神農の番外ください。
そして薬鉢おじさんは可愛いw


※『天涯客』の葉白衣、『七爺』の判官と南疆の大巫師(烏渓の育て親)、『殺破狼』の了然(?)

その他

『純白悪魔』

晋江文学城の画面

まだ!3章までしか!読めて!!ません!!!😭😭😭

『残次品』

まだ!5章くらいしか!読めて!!ません😭😭😭

以上!

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