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Twilight of the country(Ⅰ~Ⅲ)

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series/たそがれの國(順不同) 今、黄昏に立ち向かわん!
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2017年7月の記事一覧

オーロラ

オーロラ

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 少女は暮れはじめた空の、その柔らかな色を見つめている。
 未だ少女と呼ぶべき年頃であるイリス・アウディオは、自身が主な拠点としている商業都市〈ルナール〉に点在する、街を一望できる高台の一つで、緩やかに吹き抜けていく風をその細い身体に受けていた。
 ——この世界には、高い建物が多い。
 そして、商いをするために所狭しと人が行き交うこの街には、他よりも更に、高さのある建物やそういった場所が多

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竜

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〈第三章〉
逆巻く現



 瞼を押し上げると、目に映ったのは見知らぬ天井の梁だった。
 アインベルはその剥き出しの梁をぼんやりと見つめ、それからゆっくりと自身の視線を彷徨わせる。
「——あ、起きた!」
 ふと、驚いた声が耳に飛び込んできて、少年は勢いよく寝台から飛び起きた。
「えっ……? 此処は——僕は、一体……?」
 呟きながらアインベルは寝台の上から辺りを見渡した。
 それなり

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道

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 宮廷の長い回廊。王都の賑わいは此処まで届いてくることはない。
 気の遠くなるほどに長い階段を上り、跳ね橋を渡った先にそびえる巨大な城こそ、王都〈アッキピテル〉を王都たらしめる所以である。そこには、〈ソリスオルトス〉を統治する歴代王家アッキピテルの一族が代々住まい、民のための為政を行ってきた。
 城門を通ってすぐ右手には、番人が辺りを常に見張っている望楼。その望楼から塁壁に沿うようにし

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虹

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 道の先に広がるのは深い緑。
 アインベルは震えて力の入らない脚を何とか前進させながら、まるで身体中から血を流しているかのように苦しげな表情をして、己の視界に立ちはだかる森を映していた。
「……」
 アインベルの、痛みを堪えるようにしてきつく噛み締められた唇から洩れるのは、途切れ途切れの吐息ばかり。
 少年は眉根を寄せ、憎々しげに前方の森——〝樹海〟を見やっては、その入り口を目指して使

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獣

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 周囲は深い霧に覆われている。
 その白に勝るとも劣らない毛並みをした葦毛の馬に騎乗している一人の騎士は、その馬の色よりも遥かに真白な長髪と、赤いマントをなびかせて音も立てずに息をした。
 馬の蹄が下生えをさくりと踏む音ですらも今は忌み嫌い、騎士は馬の足を止めると、湿った草の上に枝葉の揺れよりも静かに降り立つ。
 葦毛の馬は、騎士の命に従うようにしてぴたりとその場で動きを止めている。葦

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