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採用支援システム(ATS)の歴史っぽいもの

採用担当のみなさまが日ごろ利用してる採用支援システム(以下、ATS)。ASPとしてのサービス提供がスタートしてから20年くらいが経過していますので、ざっくり振り返りをしてみました。
なお、ざっくりした内容ですので暇つぶし程度です。

0.ATS前の採用管理

ATSが生まれる前、応募者や選考情報の管理はExcel・Access管理がメインでしたね。(マイナビ提供のATSも"ACCESS ONLINE"ですし)。私が初めて採用に携わったとき、秘伝のタレのように長年熟成されたAccessを目の前に、しばし茫然とした記憶も・・・
(とはいえ、知らないだけで一部の大手企業では何らかのシステムをオンプレで持っていたところもあったかもしれませんね)

そんな中で転機になったのは、2000年前後にRECRUIT BOOK on the Net(96年)やリクルートナビキャリア(01年)といったWeb媒体が誕生し、応募がハガキ→Webに切り替わったことかと思います。もちろんその前提となる90年代のPC普及があります。

さてここからは、時期別にATSの状況をまとめてみました。

1.初期(~2000年代前半)

初期に出てきたATSは、先に書いた通り就職・転職サイトのWeb化と同時期にASPとして登場してきたものです。売り文句としては業務効率化(ハガキ入力時代の終わり)・ホームページエントリー・マイページ機能あたりがメインですが、複数媒体の取り込み機能(半分人力)みたいなのも出始めてきました。

ちなみに複数媒体の取り込み機能、新卒媒体だと毎年微妙にデータ形式が媒体毎に変わることもあるため、サイトオープン前にそのデータを手に入れるために、よく営業の方々にお願いしてました。(あと学校名のデータベースも媒体ごとに微妙に違うのでいろいろとね・・・)

使い勝手はまあまあ分かりやすいのと、分かりにくいのと、絶望的に分かりにくいの3つに分かれ、今では後半の2つは完全に終了するか、完全リニューアルされてます。

※この時期にスタートしたATS
 括弧内は提供企業(当時)とサービススタート年です
・AOL(マイナビ/???)
・e2R(ウィルソンラーニングワールドワイド/2003)
・i-web(アトラクス/1998)
・D-Ware(ディスコ/???)
・J-posting(ジャパンジョブポスティングサービス/???)

2.中期(2000年代後半~2010年代前半)

初期ATSで問題のあった、UIやプロセス管理に変化をもたらしたのがこの時期に出てきたATSです。その中でもリクログは(恐らくソフトバンクBBの3000人採用を管理するために生まれたものが元になっていますが)、プロセス管理がいままでの検索条件やフラグで管理するものから一歩進んだ内容になっていました。

この時期のその他の特徴としては、ガイアックスが2007年に内定者SNS「フレッシャーズ」を提供しはじめたことにより、新卒向けATSでは内定者SNSまで提供範囲を広げるものが出てたこと(川下への拡大)。リクナビブログが始まり、マイページにブログ機能を追加するATSもありましたね(管理から情報発信ツールへ)。
流行りに乗ってブログを始めたものの、数回で終わったり、就活生に謎の上から目線の内容書いていてたり割と大惨事な気もしましたが、少しずつ情報発信のやり方も変わり、すでにこの時期にはマイページで動画説明会の開催も始まっていました。

加えて、某大手小売がATSを活用してキャリア登録制度(人材のプール化)を始めた記憶もあり、媒体で母集団形成して採用からの脱却が模索し始められた記憶もあります(とはいえ、その後仕組みはいったん中止になったはず)。

※この時期にスタートしたATS
・リクログ(ソフトバンクヒューマンキャピタル/2005)
・採用DR.(レジェンダ・コーポレーション/2005)
・JobSuite(ジャパンジョブポスティングサービス/2008)
・R-SHIP2(リクルート/2010)
・SONAR(インフォデックス/2012)
・戦略的採用システム(シーベース/???)

3.最近(2010年代後半~

有効求人倍率の上昇=採用難に合わせて、新しいATSが出てきたのが2010年代後半からで、UIがより洗練され、分析機能が標準でついたものも増え、またスクラム採用やリファラル採用に対応できような機能が追加(特化?)したものが出てきました。

プロセス管理の考え方としては、リクログ的なプロセス管理が主流になってきており、最近では新卒採用媒体についている採用管理システムも、元々のフラグ管理とこのリクログ的管理の中間形態みたいなものに変わってきているが、隔世の感がありますね。

最近の一番の特徴としては、システムを採用担当だけではなく、他部門の人も見ることを前提の設計されているところだと思います。面接官として権限が切り分けられていたことは昔からありましたが、担当求人の選考プロセス状態も閲覧できるような設定は、直近では標準機能に近い状態になってきましたね。

・HITO-Link( パーソルプロレス&テクノロジー/2015)
・HRMOS(ビズリーチ/2016)
・Talentio(ハッチ/2016)
・Refcome(リフカム/2016)
・HERP Hire(HERP/2017)
・MyRefer(MyRefer/2017)

4.最後に

今後も継続して、採用成功と効率化に向けたATSは色々と出てくると思いますが、この先に標準化される機能はこんな感じかな。
・Web説明会、面接機能
・Web面接内容に基づく自動評価
・レジュメの自動評価
・利用しているスカウトDBからの自動レコメンド

今後への期待値もありますが、最近のATSでさえ、その前の時代についていた機能がないものもありますね。正直なところ、通常業務レベルだけで見ても十分なレベルのものが存在しないと思っている老害なので、まずはその辺りから徐々に変わっていって欲しい気持ちもあります。

おしまい

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