見出し画像

血球より小さい「ナノロボット」大量生産可能に(The Futurologist 1/28/19)


絶滅を過去の遺物に変える「ディエクスティンクション・エンジニアリング」、「土食」、大量生産に成功した「ナノロボット」、温暖化から地球を守る「ソーラー・ジオエンジニアリング」を取り上げます。


今日の1面

未来を予測する学問「未来学(futurology)」、グローバル課題、未来技術に関するタイムリーで重要な話題を掲載します。


絶滅を過去の遺物に変える「ディエクスティンクション・エンジニア」

遺伝子編集技術CRISPRの誕生は、世界に衝撃を与えた。そしてその衝撃は、さらなる技術発展と共に大きくなるばかりだ。

ある遺伝子編集技術研究者たちは、人間の手によって絶滅に至ったリョコウバトの再生を目指している。

CRISPRを用いて、どこにでも存在する鳩の遺伝子を編集することによって、リョコウバトの再生が可能になるかもしれないという。

研究者によれば、リョコウバトの存在は、北米の森林の発展に置いて欠かせない役割を担っていたという。再生は、単純な科学的好奇心ではなく、環境保護が目的というわけだ。

このように、既に絶滅した生物種を再生させる工学的取り組みを、「De-Extinction Engineering(ディエクスティンクション・エンジニアリング)」と呼ぶ。

絶滅種の再生にはDNAの編集に加えて、ウィルスを生物種の体内に投入する必要がある。

研究チームは、この障害を乗り越えるために、DNA編集を簡単にする遺伝子をもつ全く新しい鳩を育成している。

今後20年以内には、絶滅種の再生が安定的に可能になり、絶滅が過去の遺物になるというから驚きだ。

人類の発展によって絶滅に至った生物種は数知れない。今日もまた、一つ二つとかけがえのない生物多様性が失われていっている。

しかし、生き返った生物たちは、絶滅中に進化した環境で生きていけるのか、不和を引き起こさないのか、懸念は残る。

参照


「土食」がタンパク質危機を救う

昆虫、植物タンパク質由来肉、細胞培養肉。

現在、様々な方法を用いた代替タンパク質ソリューションが開発されている。

人口が爆発的に増えるに当たって、タンパク質の奪い合いが発生する可能性が背景にある。

また、既存の畜産業は水と土地利用の観点から非常に非効率であることに加えて、動物愛護意識の向上も、このムーブメントを加速させている。

そしてまた、新たな代替タンパク質ソリューションが誕生した。

「土」である。

フィンランドのスタートアップ Solar Foodsは、土のミネラルを栄養に成長する微生物からタンパク質を抽出する方法を開発している。

一度土を採取すれば、その後何度でも微生物を増殖出来るようになるという。

もし成功すれば、他のどんなソリューションよりも環境負荷を下げられるとSolar Foodsは意気込んでいる。

しかし、課題は存在する。

スケーリングだ。

現在Solar Foodsは、一日に1kgのタンパク質しか採取できないという。

これでは、数人分しか賄えず、人類は土に還ることになるだろう。

今後の技術発展を期待したい。


参照



血球より小さい「ナノロボット」大量生産可能に

(image credit: Scientific European)

マサチューセッツ工科大学の研究者が、血球(10マイクロメートル)よりも小さいナノロボットの大量生産技術を開発した。

ナノサイズの"ロボット"の中には、電子回路が存在しており、データを集め、記録し、アウトプットを出すことが可能である。

非常に薄いにもかかわらず頑丈なことで様々な用途に活用されるグラフェンが自然に破砕していくプロセスをコントロールする点が大量生産の肝だという。

"Syncell(合成細胞の意味)"と名付けられたナノロボットは、プロトコル次第で多様な働きが期待できる。その一つが、血流モニタリングだ。

血流に混じって体内をめぐることで、病気の発見が可能になる。

同様の効果は、ガスパイプラインの監視などにも応用が可能なだけでなく、軽くて丈夫な新素材の発明にも繋がる可能性がある。

ロボットによる人類の侵略は、我々がSF作品で描くような戦争ではなく、体内からじわりじわりとやってくるのかも知れない。


参照


「ソーラー・ジオエンジニアリング」は温暖化の救世主になれるか

火山の噴火が起きると、周辺の気温が下がることをご存知だろうか。

火山灰が宙を舞うことで、太陽光が反射して上空に戻されるのが理由である。

この自然現象に目をつけたハーバードのプロジェクトThe Stratospheric Controlled Perturbation Experiment (SCoPEx)が、今年、大規模な実験を行おうとしている。

100gの炭酸カルシウムを積んだ風船をいくつも飛ばし、破裂によって上空20kmほどの高さに散布する実験だ。

火山灰同様の結果が出れば、0.6度の気温低下が見込めるという。

しかし、根本となる原因の対策とはならないこの取り組みを批判する声もある。

あくまで緊急時の一時的な対策として捉えられるべきであろう。


参照


今日の1枚

未来を予測する学問「未来学(futurology)」、グローバル課題、未来技術に関する象徴的な写真、図解画像、動画を掲載します。


(Image credit: Isotopic System)

ルンバではない。

なんとこの小さな機械は、立派な人工衛星である。

開発するのは、宇宙ビジネススタートアップ Isotropic Systems Inc.。

同社によれば、同社の技術によって電子回路の95%、電力消費の90%を削減できるというから驚きだ。さらに、10,000機も売れれば、価格は$300-400まで落ちるという。

これだけ低価格な人工衛星が誕生すれば、世界の局地がインターネットで繋がる日もそう遠くはないだろう。


今日の言葉


私は、AIが司るこの管理システムが、開かれた社会よりも、全体主義政権にアドバンテージを与える可能性を特に不穏に感じている。 

-ジョージ・ソロス

パーソナルデータを用いて信用評価を行う中国政府の制度について、稀代の投資家ジョージ・ソロスが語った一言です。この制度に限らず、個人の自由を拡張するはずだったインターネットが映画「1984」に描かれるような監視社会をもたらす懸念は、近年高まりを見せています。利便性と引き換えに個人情報の重大性から目を逸らし続けることは、やがてあなたの自由を奪う可能性があることを忘れてはいけません。



今日の未来学



【デルファイ法】

未来に関する同一のアンケート調査を多数(数千名)の専門家に対して繰り返し、回答者の意見を収斂させることで、未来を予測する手法。

2回目以降のアンケートでは、前回の調査結果を回答者にフィードバックする。

回答者は、全体の回答傾向を見ながら、回答を再検討するので、最終的に意見が収斂する。

(SlideShare p15参照)


その他のニュース

新説: ブラックホールは、宇宙を重力で繋ぐ糊の役割を果たすダークマターが発する光輪によって生まれた


イーロンマスク、規制団体がTeslaの自動運転リモコン機能を承認したと発表。遠隔からの呼び出しが可能に。


英国大学UCLが、3Dナノプリンティングのコストを98%下げる技術を開発


髪の毛の幅に10個並べられるほど小さい流体回路を3Dプリンターで設計可能に。体内移植への応用に期待。


メスのマウス2匹から、マウスの出産に成功

https://www.cell.com/cell-stem-cell/fulltext/S1934-5909(18)30441-7







この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?