エターナルチャンピオンとしてのわたし。


マイクル・ムアコックはご存じであろうか?
いや、別に知らなくても生きていく上で何も問題はないのだけれど。
1939年生まれのイギリスの作家であり、編集者でもある(今も編集者かは知らないけれど)。代表作であるエルリック・サーガ(シリーズものですよ)は、日本でいえば柴田錬三郎の眠狂四郎にも似た(この類似性については井辻朱美先生が言及していたはず)、従来のファンタジーから見れば異端の主人公を据えた名作であります。ダークなファンタジーが好きなら「まぁ読んどけ」と言える作品なので、気になった方は手に取って下さい。あと、柴田先生の『血潮笛』もぜひ。

さて、同じ作者によるエルリック、ホークムーン、エレコーゼなどなどのシリーズは時代や世界は異なれど、法と混沌と天秤という3つの力(?)に振り回される(そして主人公は別シリーズの主人公の転生だったりする)、エターナルチャンピオン・シリーズと総称されたりします。

(T)RPGでもエルリックの世界を舞台とした大変救いのないゲームはあるのですが、今回語るのは別のゲーム。同様に異なる時代、異なる世界線(便利な言葉ですね)で繰り広げられる勇者の冒険を描いたゲーム……となると『ゼルダの伝説』になるわけですよ……話が飛びすぎかもしれないけど、なるんだよ!

1986年にファミコン・ディスクシステムで発売されたこのゲームは、当時ファミコンとディスクシステムを持っていた友達にちょっと遊ばせてもらうぐらいで終了し、本当に挑戦するようになったのはDSの「夢幻の砂時計」からなのです。

そんな中途半端な触れ方をしていたゼルダの伝説なのだけど、Wiiのスカイウォード・ソードでがっつりと心を持って行かれてしまったのです。幼馴染みのゼルダが大変可愛らしく(容姿だけではない)、お互いに憎からずと思っているのが透けて見えるのだけど、それを少し外すのがまたよくて……。
けれど、そんな微笑ましい期間もやがて終わり、ゼルダはリンクの前から姿を消してしまいます。と、いうことでゼルダがいなくなった時のリンクとわたしの気持ちを追体験するためにWiiかWii Uを買ってプレイしてみて下さい。いや、プレイしろ!

………
……………追っかけたくなったでしょ?

リンク(わたし)はゼルダを追うのですが、当然ながらそう簡単には会えません。今にも途切れそうなゼルダの痕跡を辿りながら危険をくぐり抜け、ようやく目的地にたどり着くのですが、そこにはゼルダの姿はなく……ただ、ゼルダが己の責務を果たそうと必死になっている痕跡を見つけ、「今度こそは」とコントローラを握りしめて冒険を続けたくなるのです。

危険を顧みず己が責務を果たそうとするヒロイン、というのは現時点での最新作、Breath of the Wildでも見られますし、ゲームに夢中になった度合いからいえば圧倒的にBotWに軍配は上がるのですが、「心に残ったゲーム」としてはスカイウォード・ソードを挙げたい。平穏な日々をもう一度もたらしたい、と強く思うのはスカイロフトで朗らかに笑っていたゼルダ、なのです。

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