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伝えたいことが全く伝わってなかった話

(記事の内容はハンドメイド系でECサイト立ち上げている個人の方には参考になるかもしれませんが、それ以外の方には全然参考にならないお話かもしれません)

オンラインストアをリニューアルしました。
きっかけは、アパレル関係の仕事をしている古い知人に、最近こんな事やってるんだけどどう思います?と私たちのオンラインストアへの感想を聞いたことへの返信でした。

具体的な内容は差し控えますが、それは自分たちが伝えたいと思っていたメッセージが1割も伝わっていなかった=ちゃんと伝わるような構成になってなかった、ということを如実に示すような内容だったのです。結構青天の霹靂でした。

要は販売に使っているプラットフォームの志向やマーケティングに合わせたビジュアルでは、お客様に伝えたいメッセージや自分たちが重要視している考えは全然伝わらないし、今後ブランドとして成り立たせていきたいのにそれってどうなの?って事です。


リニューアル前はこんな感じ


元々Creema(ハンドメイド系マーケットプレイス)での販売からスタートしたHALAKA。

Creemaは特集に載る事が全てで、検索して直接来るお客様は少なく特集経由での流入がほとんどかと思います。Creemaの特集を見るとわかりますが、基本は白ベースで明るく、特集ページを作った時に統一感が出るようなものが基本的に選ばれます。売れないと手数料取れないCreema自体がマーケティングの結果から構成してる訳で、まぁ、そういうのが選ばれるよねっていう感じの写真です。テーマ設定もビッグワードが基本です。

HALAKAはその傾向(&うっすらわかってくる作品をピックアップする特集担当者の好み)に方向性をあわせた写真で商品ページを作ったこともあって、毎月それなりな頻数で特集に載るようになり、個人でやっている始めたばかりのハンドメイド商品としてはまあまあな売上が立つようになっていました。

その後マーケットプレイス自体への疑問や販売ルートが1本化されることへのリスクヘッジとしてオンラインストアを立ち上げ、当たり前のようにそれらの写真を流用して運営し始めました。つまり写真も説明文もCreemaというプラットフォームでの集客に特化した方向性のままです。

ニュートラルで主張が激しくなく、綺麗にわかりやすく、なんかそれっぽいアイテムとか写ってたりする良く見る類の商品写真たち。そして季節的なビッグワードに基づいて機能的な部分の説明を重視した商品説明・・・。

冒頭に書いた知人のフィードバックでやっと気付いたのですが、言われるまで、それらの良くある写真と説明でも自分達が伝えたいことは伝えられてる、と思い込んでいました。自分がコマーシャルフォトグラファーだったこともあって、商品写真はそういうものだ、ECサイトも基本そういうものだ、という先入観もあったかと思います。今やただ綺麗な広告的写真は最早機能していないというのはフォトグラファーとして散々体験してきて解っていたはずの事だったんですけどね。


結果、誤解を生まないための情報の提示はあるけどそれ以上のことはほとんど伝わらない、何がやりたいのか良くわからないオンラインストアになってしまっていました。モール型ECに出品している訳でもないのにも関わらず。

HALAKAはデザイナーとパートナーが二人で運営している小さなブランドです。大手と競争したい訳ではなく、スモールビジネスとして独自性を持ってお客様にファストファッション的な消費活動とは違う体験をしていただくことを目指しています。ただ売れれば良いという考えもありません。

でも、ビッグワードを基準にした平易な写真に情報ばかりの説明文を付け加えたページで、何が伝わっていたのでしょうか。きっとお客様は他店との価格差くらいしか目につかなかったのではと今となっては思います。信頼していたけるブランドとして認識していただく事も難しかったかと。

リニューアル後はメッセージや感情を伝える事を重視する方向にシフトすることにしています。最早誰も信じていない綺麗に取り繕った絵とスペックを語った情報のみではなく、等身大のビジュアルと個人的な思いをベースにした文章を組み合わせる。そして嘘っぽいただ売るための広告としてではなく、リアルな生活の延長にあるアイテムとして想像していただけるような伝え方を目指す。

もちろん、それによって溢れてきてしまうお客様もいるとは思います。ただ、主張が無いところには好き嫌いも出てきません。好きになってくれるお客様が増えることを願い、今後はリスクをとってビジュアル・ストリーテリングを重視したサイトにしていこうと考えています。
(ビジュアル・ストリーテリングに関しては下の記事などがとても参考になります)
https://insights.amana.jp/article/27955/
https://jp.ign.com/cedec-kyushu-2021/56595/feature/cedeckyushu-2021


リニューアル後はこんな感じ


現状トップとaboutは更新しましたが、ほとんどのまだ商品写真や説明文は古いままです。でも、マーケティング的なこうするべきという思い込みから離れて方向性を今一度考えて言語化&ビジュアル化した結果、いつも迷いがちな今後の作っていく商品自体の方向性もちょっとだけ明確になった気がしています。

ブランド名もAtelier HALAKAからAtelierを取り、HALAKAとしました。Creemaのようなハンドメイド推しのプラットフォームでは元のままでもOKだったと思います。ただ、今後目指していきたい方向とはちょっと齟齬があるように感じ、Atelierという単語が醸し出す素朴感やハンドメイド感を消すべきだと考えました。

説明文の方はまだ全然で、正直写真よりもこっちのほうが難しそうに思ってます。国語はほんと難しい・・・。


今のHALAKAは良く言えば色々な方向性がある、悪く言えばバラバラです。
でも、ここからヴィジョンが見えるブランドに少しずつ近づけれればなと思ってます。個人的には今回の知人から頂いたフィードバックでかなり前進出来た気がしてます。
お客様に実際のところ、どの様に伝わるのかは今後見極めていかないといけませんが、暫くはこの方向性で色々とトライしていくつもりです。






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