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求人広告の「仕事内容」の書き方

求人広告制作に携わる方、の中でもとりわけ初心者の方に向けて毎週月曜日に更新している当noteですが、今回は求人広告の中でも要といえる「仕事内容」の書き方についてレクチャーします。

その前に長い余談を。

ついせんだって、お盆休みの最終日。近所のホームセンターにある『王様のお菓子ランド』に行きました。

ご存知ですか?『王様のお菓子ランド』

詳しくは運営会社のHPをご覧いただきたいのですが、問屋直売のお菓子専門店です。メジャーなメーカーから出ているおなじみのスナックから、聞いたこともないような珍しい駄菓子まで、豊富な品揃えが自慢です。

ここには本当にいろんなお菓子があり、アソート(詰め合わせ)などもお得な価格で売られているので職場でのお茶うけなどを求めて何度か足を運んでいました。

脱力感あふれるロゴもかわいい

その日もいつものように「どれにしようかな」と年甲斐もなくワクワクしながら店内をうろついていると。一人の店員さんが三人の就活生らしき女子に売り場や商品の説明をしています。

三人はリクルートスーツがまるで板についていない、いかにも初々しい感じの女学生さん。店員さんのほうはナチュラルメイクで姿勢正しい、とてもさわやかな印象の女性です。

こうなるともはや職業病ともいえるのですが、どんなやりとりをしているのか聞き耳立てたくなります。ぼくは変質者と思われないよう注意しながら、じわじわと四人のそばに近づいていきました。十分変質者です。

「そうですね、このあたりの商品は中におもちゃが入っているお菓子で、すごく人気なんですよ。小さい子どもたちが喜ぶし、じっくり選ばせてあげたいので陳列も低い位置にしています」と店員さん。

もしかすると未来の先輩になるかもしれない、店員さんの説明を頬を紅潮させながら真剣に聞いている就活生たち。

ぼくはそんなやりとりを眺めながら、こんなふうにつぶやきました。心の中で、ですけど。


そうだよ、このお店ではお菓子を販売してはいるんだけど、提供しているのはそれだけじゃない。子どもにとっての喜びや楽しさ、あと、大げさな言葉だけど夢みたいなものも売っているんだ。それはほんとうなんだ。

子どもの頃を思い出してほしいんだけど、おもちゃ付きのお菓子なんてそうしょっちゅう買ってもらえなかったよね。だけど、ここなら比較的手頃だから買ってもらえる可能性が高い。

もし一度でもここでおもちゃ付きのお菓子をおかあさんに買ってもらったことがある子なら、このお店に来ることがもうすでにイベントだよね。うれしいと思うよ。夢に見る子だっているかも。

そう考えると、夢を売るというのもまんざらきれいごとじゃないように思う。そんな仕事に就くかもしれないみんなはいま、素晴らしい選択をしているんだと自覚していい。

簡単に、最短で、最速で得しないと損だと考えている人が多い世の中で、お菓子を売る仕事は人気職種ではないかもしれない。でも、だからこそそれを選ぶことって誰にもできることじゃない。

だから、先輩社員の話を聞いて、自分の言葉で理解して、やりたいと感じたらがんばって選考を通過してほしい。そして来年なのか再来年なのかわかんないけど、いつかこの『王様のお菓子ランド』で先輩のように笑顔で活躍してほしい。

ぜったいにいい会社だと思うよ『王様のお菓子ランド』の会社。だってこんなに楽しそうに、一生懸命に就活生に自分の仕事を説明する社員がいるんだからね。願わくば、あなたたちの中からこの役のバトンを受け取る人がでてくるといいな。来年か再来年かわかんないけど。


と、まあ…

ほとんど妄想なのですが、こんなふうに思ったわけでした。あ、ちなみに『王様のお菓子ランド』ならびに虎屋商事株式会社さんとぼくとの間には一切の取引関係はございません。だいたい社名も知らなかったし。

ただ、今回お伝えしたかったのは、つまりこういうこと。

そう、求人広告における仕事内容の書き方の第一歩は、仕事の表層ではなくその奥に隠れている本質を捉えることなんです。

なかなか鈍い光なので磨いて磨いて、それでも出て来ないかもしれないけどなんとかがんばる。そしてようやく浮かびあがった本質を、できるかぎり魅力的なストーリーに仕立てる。

これに尽きます。

もちろん余談におけるぼくの妄想は頭の中での勝手な語りかけなので、このままでは仕事内容の体をなさないですよ。ただ、文章化する前にまずはこういった仕事の本質を捉え、輝く切り口を見つけることが大事である、といいたいわけです。

ちなみにこのわずかな時間の妄想の中にすでにターゲットとなる人物像も含まれていますね。

仕事の広告を生業にする以上、こういった他ではまるで潰しの効かないスキルこそぜひ身につけ、磨き続けていくべきだと思います。

未経験者には5W1Hで

では実際にどう書くか、という話。これはその仕事の経験のあるなしによって大きく異なります。とはいえ内容はいたってシンプル。

【未経験者向けの仕事内容】
未経験者募集の場合は、その仕事ができるだけ具体的にイメージできるように書くことです。そのために必要なのは5W1H。「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」がわかるように書きます。

その仕事は「いつ」「どこで」やるのか。「誰が」はもちろん本人ですから求人広告の場合は「誰に」が正しいかもしれません。要はお客は誰なのかですね。そして「何を」するか。「なぜ」についてはいまどきの言葉でいうところのパーパスだったりするので、仕事内容でなくてもいいでしょう。そして「どのように」これが一番大切な項目になります。

この5W1Hはいま紹介したように全て揃ってなくても大丈夫です。ただ「どこで」「誰に」「何を」「どのように」するかはマストですね。

そしてその仕事に必要な道具があるならば全て書き出したほうがよりイメージしやすいでしょう。典型的な一日の流れなどもわかるのであれば併記することで、どれぐらい忙しい(大変そう)かがつかめるはずです。

注意すべき点は専門用語は使わないことです。ただしシズル感演出の観点からあえて使う場合はカッコ書きで解説してあげるとより親切ですね。

経験者には難易度が伝わるように

一方、その仕事の経験をお持ちの求職者が対象の場合、未経験向けと違って微に入り細に入り説明する必要はありません。彼らはそれなりに現場をわかっているわけです。

ただし、だからといって箇条書きでサラッと書いておけば大丈夫、というわけでもありません。やはり経験者には経験者に刺さる書き方というものがあります。

【経験者向けの仕事内容】
まずなんといっても求めるターゲットがどれぐらいのスキル、あるいはキャリアを持っているのかを明確にすることからはじめます。その線引きができたら、入社後に任せる予定の業務を端的に表現していきましょう。

入社時から数カ月間のミッション、環境に慣れてからのミッション、さらに成果を出してから任せていきたい将来のミッションやポジションといったように時系列で書いていくとステップアップのイメージもつけやすいはず。

未経験者と違うのは専門用語もオッケー、という点ですね。むしろある程度専門用語を散りばめて理解度を図る必要があるともいえるでしょう。

注意すべきはその用語の定義が一般的かどうかを握ることですね。会社によっては独自の解釈で言葉を動かしている場合があったりします。コミュニケーション不全につながりかねません。

また一日の流れなどは必要ありませんが、ターゲットによっては特異点は明記してあげるほうが親切です。たとえば有形商材の営業経験者に無形商材の仕事を任せるような場合、あるいはBtoCの業務経験者にBtoBを、という場合。「営業」という括りは同じでもやっていることは全然違うケースもありますからね。

そして、できればその仕事の難易度が正しく伝わるような配慮があると尚良しでしょう。ゆえに経験者募集の際には特に、仕事の厳しさについて触れるべきだと思います。

最終的には仕事の魅力で決まる

言うまでもありませんが、求人広告を見る読者というのは仕事を探しているわけです。そして会社の数だけ仕事があるといっても言い過ぎではないでしょう。必ず微差が生まれます。そこに魅力も根付きます。

つまり求人広告の魂ともいえるのが仕事内容なのです。ここをおろそかにしてやれキャッチだ、ボディだ、画像だと作り込んでも仏作って魂入れずということになります。

しかし世の求人広告を眺めていると、どうもここがおろそかにされているように感じずにはいられません。

中には「ああ、仕事の説明は面接で細かくやるから」という逃げを打つ採用側がいたりしますが、ぞんざいな仕事内容の求人の場合、面接にまでこぎつけない可能性があるということを小一時間ほど詰めてやりたいです。

また作り手も「どうせどこの仕事も変わんないんだから」という職務放棄な輩がいると聞きます。っていうか実際にいます。ベテランとかに多いのがやっかいです。

もしこのnoteを見ている採用側の方でこんな業者にあたってしまった方がいたら、ワタシニデンワシテクダサイ。スタイリーばりにマトモな仕事内容を書かせていただきます。

以上になります。

次回は求職者にとって最初の関門ともいえる「応募資格」の書き方になります。ワタシニデンワシテクダサイドゾヨロシク!

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