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街で見かけたプロフェッショナル

昔から「プロ」という言葉に弱いわたしです。

なにかわたしに無理難題を押し付けたい、とおもっているあなた。めちゃくちゃ簡単です。依頼とセットで「プロとして」と言えばいいだけ。

納期が明日…でも「プロとして、やってくれますよね」でOK。予算が3000円…でも「プロとして、請けてくれますよね」でOK。どう考えてもこれ偽装請負だよねというSES…でも「プロとして、経験者集められますよね」でOK。マジか。やめてクレメンス。

それぐらいわたしにとって「プロ」か「プロじゃない」かは人間の価値を分かつといっても過言ではないほど重要なファクターです。

そんなわたしが街を歩いていて「こいつ…プロやな」と感心した事例を紹介いたしましょう。

プロのサッカー職人

と、聞いてすかさず「ケイスケホンダ」が浮かぶあなたはプロフェッショナル仕事の流儀見過ぎですね。

職人肌の同僚に「お前、ケイスケホンダやな」と言って「は?」とか言われたことあるでしょう。違う違うそうじゃない。京王百貨店地下の食品売場にはひとり、ガチに袋詰めのプロがいるんです。

ウチはブルジョアなので一回の買い物で1万円を下ることはないのですが、そうすると結構な品数になるんですね。しかし、どのような複雑な買い物をしても、その娘さんに当たれば1ミリの隙もなく完璧にパッケージングしてくれます。すごいんですよ。

プロのウーバーイーツァー

あれは明大前のお好み焼き屋でとん平焼きをほうばっていたときのこと。お店に一人のウーバーイーツァーが血相を変えて飛び込んできました。

彼が鬼気迫る勢いで店員さんに訴えていた内容は「お好み焼きがひっくり返っていてぐちゃっとなっている。これではお客様にご満足いただけない。このお店のブランド毀損にもつながりかねない。もう一枚焼いてほしい」という旨。

その迫力に店員さんも押されすぐに新しいお好み焼を焼くことに。受け取るや否やダッシュで客先へ走る彼。プロだな…と頷く一同でしたが、そもそもヤツのせいでは?

プロのばんばひろふみ

あれは間違いなくばんばひろふみだった。しかも、プロ中のプロ。

時間は早朝、4時半である。場所は有明一丁目。三沢が元気だった頃、ノアのホームだった『ディファ有明』があったあたり。

愛犬を散歩しているわたしの耳に、やけに伸びのある歌声が入ってきた。そしてその歌声はドップラー効果の如く、遠くから周波数を変化させて近づいてくる。その刹那「……ぉもぉいどおおりにぃ~…」わたしの真横を一台の自転車が走り抜けていった。

そのときわたしは確信したのだ。あれは「SACHIKO」を歌うばんばひろふみに間違いない、と。

プロのアル依症

いまでもいるだろうか、西池袋一番街を徘徊する彼は。

彼はどんなときも「菊姫」2合をオーダーする。その後は無言である。その店はご多分に漏れず一人一品制を取り入れていたことから、アルバイト店員は先輩にせっつかれて渋々オーダーを取りに行く。

すると彼は「むらちょこを頂戴」とボソリ一言。なんだか怖くなってアルバイト店員はお醤油皿を彼の座るカウンターに持っていく。それにしても醤油の符牒がむらさきであることを知っているなんて、通じゃないの。

ふと、他の客に気をとられてしばらく目を離し、そういえば…と思い出して彼を見るとそこに展開していたのは驚愕の景色。なんと彼、ポケットからやみくもに取り出した輪ゴムを醤油につけてかじっているではないか。

「お、お客さん…」アルバイト店員が声をかけるもひるむことなく、むしろニヤリと不敵な笑みをたたえつつ「これ、いつまでもなくなんない無限おつまみなんだよねぇ」

■ ■ ■

街を歩けばいろんなプロがいます。気が付かないだけです。ときにはブルートゥースのイヤホンを外し、スマホから目を離し、五感で街行く人をウオッチしてみませんか?


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