見出し画像

最初から「いい仕事」しようとするな

今回は求人広告制作者の中でも新人、特に新卒入社組の方限定です。

限定です、とか書きながらふとおもった。

このnoteを読んでくださる方の中に該当者っているのかしら。もしかしたら、もしかしなくても、いないんじゃないか。

心配になったので新卒だけじゃなくて、この春から新しいチャレンジをはじめた方にも向くようにアレンジします。でも基本は新卒向けです。

なので、もしあなたの周囲に求人広告制作関係者21新卒の方がいたら、シェアしてあげてください。そうしてくださるととてもうれしいです。

■ ■ ■

今年から求人広告制作の世界に入った新人のみなさん。生きてますか?生きてますよね。まあどんなミスしようが号ズレしようが誤字脱字しようが、死ぬことはないです。もしそんなことでいちいち命を落としていたらぼくなんか何回転生していることか。

そろそろ5月病(あるのか?)も抜けて、仕事もじわじわ動き出して、小さい案件なら担当させてもらえたりするころではないでしょうか。あるいは先輩といっしょにリモート取材をしたり、営業の商談に同席なんてこともあるかもですね。

ぼくの好きな言葉に「ゆっくり行くものが遠くまで行く」ということわざがあります。

どうしても、最初のうちって、いい仕事をしようと肩に力が入ってしまいますよね。これは新卒に限らず。この春から転職して新しい環境でリスタートを!というひとにもいえます。

あるいは社内で部署が変わる、ミッションが変わる、ポジションが変わる。そういうときに当てはまるかとおもいます。

でも、過去たくさんのコピーライターを見てきてわかるのですが、だいたいスタートダッシュでアクセル全開にしすぎる人って、コケちゃうんです。派手に。

とくに一発目の仕事がまぐれ当たりでもホームランになっちゃったりすると、たいてい二発目がない。ないまま数年くすぶることもあるし、最悪そのままリタイアする人も見てきました。

ある人は新人研修時のワークがものすごく出来が良かった。あまりにも頭ひとつ抜けていたので、それは評価しますよね。周囲も羨望のまなざしを送っていた。本人はひたすら恐縮していたけど。

彼は鳴り物入りでデビューします。周囲は研修ですごいコピーを書いたヤツ、という目で見てきます。ある先輩は「研修ってマグレもあるからな」と厳しくあたり、ある先輩は「どれどれ、お手並み拝見」と斜に構えて向き合います。

そういう環境の中で自分を見失わず、しっかりと基本に忠実に仕事を遂行することができるか。少なくともぼくはできないし、できる人をみたことがありません。イチローとかオオタニサンといった歴史上の人物は別ですよ。

当然、その彼も肩に力がガッチガチに入って、まったく持てる能力を発揮できません。それが一発目の仕事だけでなく、二発目、三発目といつまでも続くのです。

これがいわゆるいきなりスランプというやつです。

いきなりステーキはおいしいからいいですけど、いきなりスランプはちとやっかいです。

想像してみてください。最初っからスランプって。そもそもどういう状態がフラットなのかもわからないので、出口が見えないに等しい状態です。これはしんどい。仕事が嫌になってもおかしくない。

周囲もなんとか彼を救おうと手を貸すのですが、一度ハマった沼からはなかなか這い出せません。なにより抜け出すのを邪魔するのが、彼自身の「一度うまくいった」経験です。しかもそれが研修だったという悲劇。

ふつうの(というのも変ですが)コピーも、求人広告のコピーも、共通しているのが自分が一度掘った穴を埋めて別の場所に穴を掘ることが難しい、ということ。人間は一度考えたり通った道をどうしても離れがたいんですね。

それがコピーの視点を増やせない原因なのですが……成功体験にも同じことが当てはまります。小さな、もしかしたらまぐれ当たりかもしれなかった成功が、その後の成長を阻害する要因になってしまう。

結局その彼はコピーライターとしては中途半端に終ってしまいました。しかしその後、部署異動ののち獅子奮迅の活躍をし、社内外に名前を知られる存在になったので、本当に良かったとおもっています。

ま、プロセスにはまったく興味がないタイプの会社からすると「ハヤカワって人を育てる力ねーなー」って評価になるだけなんですけど、背景にはこういうことがあるんですよね。

■ ■ ■

いま、仕事が本格的にはじまりだして、あるいはそろそろ新しい環境にも慣れて、はたまたいよいよ期待を背負って大舞台に、というステージに立っているあなた。

まずは、三振しちゃいましょう。バットを思い切り大振りして、なんならすっころんでもいいでしょう。

そうすると、頭の中がクールになって、肩の力が抜けるとおもいます。

いいんです、いい仕事をするのは3ヶ月後でも、半年後でも。なんなら一年先だっていい。最初にいい仕事をしたばかりに、それを超えられなくなるより、少しずつ確実にできることを増やしたほうがいい。急いで行って、途中でリタイアするよりもずっといいです。

最初からいい仕事を、というプレッシャーに圧されて、努力の方向を間違えたり、逆にうまくいかない仕事のことを呪ったり恨んだり環境のせいにするなんて、最悪です。

ゆっくり行く者が、遠くまで行く。

求人広告をつくる仕事も、ゆっくりと、遠くまで行けたほうが面白いし、奥深いし、一生食えるスキルになるとおもいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?