求人広告のコピーライターは、どこに勝ち筋を見いだすべきか
まいど!毎週月曜日に求人広告制作関係者へのみ向けて書き散らかしているよもやま話です。
この12月、みぞうゆうの忙しさに見舞われています。と、いうのも緊急事態宣言によってとまっていた取材仕事が一気に動き始めたからです。もうくる日もくる日も取材、テープ起こし、構成、ライティング。ひと晩寝かせてから推敲。そうこうするうち提出した原稿の修正依頼。そして入稿。なんとなくラップっぽくなりました。
じゃあこんなnoteなんか休んじゃえばいいじゃんと思いますよね。でも、そういうわけにはいかないんです。
世の中には素晴らしい文章を書く人がいます。
初noteでいきなり数百いいねを得る人もいます。
そういう一流のひとたちが目に見えないところで努力されていることをぼくは知っている。だから八流のぼくがサボっている場合じゃないんです。
サボっている場合ではない八流のぼくができることはなにか。
それはひとえに続けること。それぐらいしかないんです。だから必ず月曜と水曜はnoteを書く。燃えるゴミの日は書く。そう決めた以上は、そうなのです。
と、いうわけで今日もはじめます、求人広告クリエイターの話。今回のテーマは求人広告のコピーライターが勝ち筋を見つけるとしたら、どこなのか。という話です。ヤング求人クリエイターは目をかっぽじると痛いので、気をつけて読みましょう。オールド求人クリエイターは「ほっ」としたり「しまった」と後悔してみてください。
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まず求人広告クリエイターについて簡単に整理しますね。デザインもコピーも、なんならイラストや写真も撮れるマルチクリエイター一派とその道一筋に生きるエキスパート一派に大別できます。
マルチクリエイター一派は悲しいかな器用貧乏という病に陥り、気づけば求人の世界から去っていたりします。逆に長く求人に居続けると今度は潰しがきかない中途半端な人になったりします。
エキスパート一派のデザイナーはことごとく求人を踏み台にしてステップアップを図ります。多くはデザインプロダクションに新天地を求め、仕事の幅を拡げます。まれにDTPの世界に足を踏み入れベテランのチラシ職人となるケースも。
ただ、2021年12月の時点で求人広告の代理店や版元でデザイン専業で活躍されているプロのクリエイターはほぼいないのではないかとにらんでいます。絶滅危惧種です。
なぜかというと版元の施策により極端にクリエイティブ要素が排除されているからです。
それでもなお東京デザイナー学園卒業生の受け皿として機能しているのですが、その受け皿でイラレやフォトショ、XDといったアドビのなんたるかを学んだ東京デザイナー学園卒業生はもれなく見切りをつけて制作会社に移ります。
結果、求人広告制作の世界にはプロのデザイナーがいないという生態系が確立されるのです。
一方で同じくエキスパート一派でもコピーライターは一定サイズ以上の求人広告において必要な存在として認められることが往々にしてあります。
ある水準の分量を越える文章については営業が根性でなんとか形にしようにも限界があるのでしょう。それでも書き手が確保できなかったからか、ときどき絶望的な日本語で掲載されている求人広告を見ることがあり、求人広告ウォッチャーをほのぼのとさせてくれます。
ということで今回フォーカスするのは、求人広告クリエイティブ最後の砦といっても差し支えないかもしれない、コピーライターです。
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ようやく本題。
求人広告のコピーライターが見出すべき勝ち筋はどこか。
まずおすすめしないのは、文章力を磨き上げようと血眼になることです。
いい大学を出て、新卒で求人広告のコピーライターになる人のうち、結構な確率で見つかるのが「文章を書くのが好き」なタイプです。それはそれで悪いことじゃありません。文章力はないよりあったほうがいい。
ただ往々にして「文章を書くのが好き」なタイプの方は文章を書くことがスタートでゴールになっちゃうんですよね。
違う違う、そうじゃない。と鈴木雅之も唄っています。求人広告における文章はあくまで情報伝達手段のひとつ。ゴールは人を応募へと導くことであって、名文美文を紡ぐことでもなんでもないわけです。
まずこの時点で本質的ではありませんね。
しかもちょっと世間を見渡せば、極めてすぐれた文章力の持ち主が結構います。勝ち筋ってのは、それで喰っていける道ってことですよね。となるとその人たちとも戦わなきゃいけないわけで。しかもその人たちは類稀なる文章力を持ちながらなお、人に語るに値する物語を有しているんです。
それでもどうしても文章力を、肩を並べて競いあいたいなら舞台は求人広告じゃないほうがいいと思います。もっと長文のコンテンツ、ロングインタビューとかブックライティングのほうが磨いた腕が活きるんじゃないかな。
勝ち筋とするにはいまいちですね。おすすめできないです。
では業界理解、職種理解をとことん深めるのはどうか。
一見素晴らしいような気がするんですが、残念ながらこれもいまいちと言わざるを得ません。もちろんさまざまな業界を俯瞰して見ながら全体像を把握したり、あるいは職種ごとに傾向と適性タイプなどを押さえるというのは決して悪いことではありません。
しかしそのスキルが活かせる分野、領域は果たしてどこにあるのか。ちょっと考えても思いつきません。巨大企業の人事の総元締めにでもなるならば、なきにしもあらずでしょうけど、それ、目指している自分の姿ですか?
求人広告の世界ではめちゃくちゃ重宝しますよ。でもそれ以外ではほとんど価値が認められないスキルはやはり、勝ち筋とはいい難いでしょう。
採用市場における相場観は果たしてどうか。
採用市場における相場観というのはなにか、といいますと、ひらたく言ってしまえばその案件が採れるか採れないかわかるということ。
要は採用難易度を瞬間的に計測する力です。これは企業のイメージやポジション、知名度、業界のアップダウン、職種属性、応募資格のハードル、給与をはじめとする衛生要因の組み合わせで変動します。
どうだ!なんかすごそうな力じゃないですか!?
しかし、このスキルも求人広告を作るときにこそ必須といっていいものですが、それ以外のフィールドで活かせそうにない。あえていえば、さまざまな変動要素を組み合わせて何らかの傾向を捉える力は付きそうですけどね。
と、いうことで結論。
求人広告のコピーライターにとっての勝ち筋とは、企画力である。
企てる力ですね。もう少しわかりやすく言うとアイデアです。ある事象をどうやって伝えたら人に新鮮な発見を与えられるだろうか。ある出来事をどういう角度から切り取ると、倍音のように広がって響き渡るだろうか。
単なる描写や言語化力ではなく、意味を圧縮したり、違う領域から持ってきてつなぎあわせたり。そうすることによって課題を解決する。これ、立派なアイデアですよね。
この企画力を磨きあげていけば、きっと求人広告をやっている中でも頭ひとつ抜ける仕事ができるだろうし、求人広告から離陸したあとも存在価値を認められるクリエイターになれるはずです。
飲食店やサロンのネーミングも、ラジオCMのシナリオも、企業のミッション・ビジョン・バリューの策定も、Webサイトのコンテンツ編集も、採用広報の仕事も、自社リソースを組み合わせてのサービスづくりも。これらすべて企画力がないとできないことばかりです。
どうかヤングのみなさん、求人広告をつくるときに文章でなんとかするのではなく、企画で課題を解決する癖をつけてください。企画力のつけかた磨き方はひとそれぞれですが、昨今はとてもいいお手本となる書籍もでています。
たとえばこんな。
尊敬する編集者の松永光弘さんの手による、企画=アイデアについての対談考察です。いわゆるクリエイターだけでなく、建築家やシェフからも答えを引き出そうとしている点が非常に面白く、また勉強になります。
この本についてはまた読了後に『広告本読書録』にて紹介しようと思いますので、そちらもぜひご一読ください。
そんじゃーね(既視感)
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