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求人広告制作におけるフリーランスと会社員の違い

なにもGW明け早々から「賃貸vs持ち家」とか「カーシェアvsマイカー」みたいな対立を煽るつもりはございません。どっちがいいかではなく、それぞれの良さというか相違点について語れればとおもいます。

そう、今回のテーマは求人広告クリエイターがフリーランスになるのと、会社員のままでいるのとでは何がどう違うのか、について。いつも通り関係ある人には興味深いけどそうじゃない人にはどうでもいい内容でお送りします。

まずはじめに求人広告制作者としてのデビューはどこでするか、という問題があります。これはほとんどの人が「版元」か「代理店」かのどちらかに分類されるのではないでしょうか。

版元とは文字通り、求人媒体を運営する会社です。リクルートやマイナビ、パーソルといった企業に入社し、なんやかやありながら制作部門に配属されるというスタートライン。

代理店はそれこそ星の数ほどある、大小さまざまな求人広告販売会社です。人材サービスの専門性を打ち出す会社と、わが社は総合広告代理店であるぞと風呂敷を広げる会社がありますが、中身はおんなじ。

さて版元か代理店のいずれかで5年から10年ほどキャリアを積んで、もういい加減ひろってもらった恩返しも済んだし、やることひと通りやりきったよねというタイミング。

選択肢も夢も未来も眼前に広がっているとおもって、まあ続きを読んでやってくださいな。

フリーランスを選ぶと

昔からそうなんですけど求人広告関係の会社って比較的縛りが多かったりするんですよね。朝は9時から全社朝礼!とか、日報の提出は必須!とか、日経新聞読んでないやつはクチ聞いてもらえないとか。

下手すると制作部門もスーツ勤務で、みたいな、かなりマッチョな風土だったりします。

あとなんといっても営業至上主義。数字が権力の象徴です。そういうところに息ぐるしさを感じているあなたがフリーの道を選んだ瞬間、めちゃくちゃ呼吸がしやすくなる。肩の力が抜ける。ビバ自由!

加えて版元に勤務していた場合、どうしても自社媒体以外の広告をこしらえる経験ができません。それもフリーになってしまえばクリアになる。それまで競合だったメディアで自分のクリエイティブを試せるんです。

代理店勤務だったとしても、新卒中心だったり転職専門だったり、ということがありえます。そこもなんなくクリアです。どこから仕事が依頼されるのかにもよりますが、クライアントのニーズにあわせた最適な媒体企画から携われるようになります。

つまり採用のかなり上流工程から自分の考えやスキルを発揮できる。これがいちばん大きいメリットではないでしょうか。

さらにいえば、関係者たちが期待することも「クリエイティブ」一本に絞られます。それまで社内の力関係やら成果に対する連帯責任、月末の数字責任みたいな「よくわからない」ものに足を絡め取られていたのであれば、評価対象がものすごく明確になるわけ。

クリエイティブにのみ集中できる環境って、いいもんですよ。

そして、これは実体験でもあるのですが、とっかかりの求人広告でクライアントの期待を超えるクリエイティブを発揮することで、その後の仕事が大きく広がることが往々にしてある。

ポイントはその企業のことを理解して、魅力を最大化することにあります。とにかく一度でも「こいつをウチの専属で使えたら」と思ってもらうことができれば、実にいい関係でその後もお付き合いが続く。

求人広告きっかけで、社員インタビューをはじめとする採用広報、さらに事例紹介など企業広報、そしてミッション・ビジョン・バリューといったインナーブランディングや事業方針、PRフレーズのワーディングなど、実は企業の中には隠れたニーズがたくさんあるのです。

ただ、誰に頼んだらいいのかわからない。社内には、その道のプロはいない。社員のリソースを集めて…というのも業績に跳ねるから困る。電通や博報堂はなんだか高そうだし、最近流行りのコンサル会社は話をやたら大げさにしそうでこわい。

そんなときに、ニコニコ笑顔でスンバラシイ求人広告を作ってくれるクリエイターがいたら、そりゃひと声かけるわけですよ。

求人広告を起点に採用コミュニケーション、果ては事業に関わる言葉全般に携わるチャンスがあるというのが、求人広告制作者がフリーランスの道を選んだ場合のいいところ、といえるでしょう。

会社員を選ぶと

では一方で、転職なりもとからいる会社に居続けるなり、会社に所属する道を選んだ場合はどんないいことがあるか。

いま、どんな環境にいるか、で変わってきますが、版元にいるのであれば一度ぐらい代理店を経験してみてもいいかもです。一方で代理店から版元に移るのも必ずやプラスに働くことでしょう。

いずれにしても、会社員を選んだ場合の大きなメリットは「安定」です。

なんだ安定だなんて月並みな…と思うなかれ。安定、だいじですよ。

いざフリーランスになると、一本あたりいくらぐらいで引き受けないと生活が成り立たない、利益が出ない、という問題に直面します。

ゆえに、ついギャラの交渉で高めの額を張ってしまい、契約に至らないあるいは単発で切られる、はたまた期待値調整に失敗するなんてことも起こりかねません。

その点、会社員であれば大きく稼ぐことは難しいかもしれませんが、どんなに案件が少ない月でも食うにこまることはない。これが精神衛生上どれだけプラスに働くかは、やったことがない人にはわかりません。

そして、その上で、ぜひトライすべきは最近のトレンドでもある「副業」です。

会社に属していながら、自分のスキルをさらに磨く意味で副業としてフリーランス的な動きを認めてもらう。長年の貢献と信頼があればこそなので、それまで適当こいてたハッタリ野郎には適用されませんが…とにかく所属している会社の仕事は従来通りこなします。その上で、自分でクライアントを開拓する。

開拓の仕方はいろいろあります。SNSを活用したり、余裕があればペライチなどを活用してランディングページ的なものを作ってみたり。

最初のとっかかりとしてランサーズやクラウドワークス、ココナラといったプラットフォームを試してみてもいいですね。

もちろん本業とバッティングしないよう注意が必要です。だけどそこさえクリアできればかなり自由に動けるはず。

そのためにも心がけたいもうひとつのポイントは、副業では求人広告以外をやるということ。

いわゆる媒体に載せる広告をつくるのではなく社員インタビューをはじめとする採用広報コンテンツや、ミッション・ビジョン・バリュー、あるいは事業方針などのインターナルコミュニケーションを仕事の中心に据えるのです。

ん?それだとフリーと一緒だって?

そうですね、一緒です。

だけど採用広報やインターナルコミュニケーションを手掛けるとき、会社員であることがほんの少しアドバンテージになります。特に年季の入ったフリーランスと比べると、圧倒的に有利と言っても過言ではないでしょう。

どういうことか。

それは、会社員であることで会社員のリアルを日々体感しているから。

目に見えない上下関係の圧や、声の大小、ポジショントークの有無とその奥に潜む真意、結局だれがキーマンか…そういった会社員生活を取り巻くミノフスキー粒子的なものに塗れることは、企業内で流通させる言葉を選ぶときのひとつの触角となりうるんです。

非常に微差です。ほとんど気づかないぐらい細かい差異です。

ただ、その僅差で「なるほどさすがですね!」の言葉を引き出してきた(もしかすると勘違いかもしれないのですが)我が身のこれまでを振り返ると、やっぱり、ぜったい、そこには会社員クリエイターであることがプラスに働いているとおもうのであります。


と、いうことでフリーランスにはフリーランスの良さがあります。おなじように会社員には会社員ならではの利点があります。ともすればフリーランス礼賛に走りがちな世の中ですが、現実はぜんぜんそんなことありません。

ぼくも5~6年前からなぜフリーにならないのか?キミは逃げているんだよ、要するに勇気がないんだな、などなど界隈ではいろいろ言われてきましたが、うーん、特にはっきりした理由はないんですよね、会社員でいることに。

ただ、ひとつ言えるのは今でも十分自由にやれているし、だったらもうしばらくはこのままでいいんじゃね?ということです。

自由を担保しているのが信用だとしたら、それをみすみす手放すことはないんじゃないか。

フリーだろうが会社員だろうがどっちも一緒で、どっちも一生懸命やらないと、そしてどっちも工夫を重ねて取り組まないと、それなりのモノにはならないんですよね。

がんばりましょう!

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