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ぬいぐるみを抱いて眠る夜【つれづれ綴り帳】

私は夜が怖い。


あまり自分の病気について話すことはないのだけれど、私は12歳の頃から複雑性PTSDという病気を患っている。

かんたんに言うと、トラウマの病気。丁寧に説明するのに飽き飽きするぐらい、この病気について調べ、本を読み漁り、分析と行動を繰り返した。1日の大半をメンテナンスに費やしたうえで、体調は健常者の50%くらい。

まあぐだぐだ書きましたが、眠れなくてつらいということ、ぬいぐるみを抱いたらよくなったよ、という話です。

夜が怖い、と書いた。そう、今でも怖い。10年経った今でさえ。

実の兄からの性的虐待、という事実は、文字として指が生むことはできても、けして私の頭の中からは消えてくれない。洗剤のボトルを洗わずに詰め替えたときみたいに、うんざりするほどこびりついてる。

兄が行為に及んだのは夜だった。布団の中だった。トラウマのせいで記憶にぽっかり穴が開いてるから、何年何月に始まって何年何月に終わったかの記憶なんてない。

それでも、物心ついたときから布団に入ることは、ビルから飛び降りることと同じだったし、平気で入れたときはなんらかにハマってハイになってたときだけだった。

酒、アルコール、SMプレイ、リストカット。あらゆることに夢中になって、一時忘れ、また思い出す。

このループから抜け出したいまは、床につくことはできる。が、大きな穴にゴミをどさどさ捨てるみたく、夢という穴に不快なものが入りこんできてしかたない。

悪い夢、怖い夢。

おなじみの場所。家を出る。走らなければ。

無事に依存行動をやめ、健全な生活を手にしたと思いきや、また夜に牙を剥かれる。

そんな私を助けてくれたのは、ぬいぐるみだった。

たいそうなぬいぐるみコレクターである知人から譲り受けた、くまのぬいぐるみ。白くて、毛がふわふわしてる。名前はキヨスケ。歌人の藤原清輔からとった。

ある夜、なんとなしにキヨスケを抱いて寝た。そしたらなんと、その日はとてもいい夢を見ることができたのだ。

…以来、私はキヨスケといっしょに寝るようになった。

この方法の難点は一つ。眠りの浅さはそのままのため、夢の記憶と現実の記憶がごっちゃになること。

誰かに会って話さないと、自分の感覚が曖昧になり溶けてしまうような感覚に襲われる。あなたにはわからないかもしれない。また、眠くなってきた。

私がこうして書き残すこともまた、自分の輪郭をたしかにするための作業なのだ。それは読者という受け皿がないと流れ出てしまうとろとろとしたもので。

ああ眠い眠い。乱文失礼いたしました。これを読んでくださった方に、幸あれ。


願わくば、同じ病気の方に届きますように。

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