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これは国宝級じゃない? と思った『黒釉兎毫斑椀』をトーハクで発見

1月2日に、さっそく東京国立博物館トーハクへ行ったのですが、正月だからなんでしょうね……とっても混んでいました。本日4日は、そろそろ仕事初めの人も多いので、先日よりも空いているかなぁと期待して、午後の遅い時間に再訪しました。

本日のターゲットは、特集『博物館に初もうで 兎にも角にもうさぎ年』でした(あと長谷川等伯『松林図屏風』もチラ見しておこうとも思いました)。

特集展では言うまでもなく、主に「うさぎ」にちなんだ、「うさぎ」が描かれた収蔵品が集められています。

その中で、器が好きなわけでもないわたしの心を鷲掴みにしたのが……

『黒釉兎毫斑椀』です。

黒釉兎毫斑椀こくゆうとごうはんわん』中国・建窯| 南宋時代・12〜13世紀・横河民輔氏寄贈

読み方が難しいのですが、「こくゆう・とごうはん・わん」です。博物館や美術館の、難読漢字ばかりを好んで使う風習って、変えられないものですかね? なんて思うのですが、要は「兎の毛のような(模様みたいな)斑紋の、黒いお椀」くらいの意味です。←専門家からしたら「ちげーよ!」ってことかもしれませんけどねw

詳細はパネルの解説に譲ります。

漆黒の釉(うわぐすり)の上に現れた銀色の細い 線条が、兎の毛のように見えることから、中国では兎皇盞(とこうさん)といい、わが国ではこれを穀物の穂の細い毛に見立てて禾目天目(のぎめてんもく)と呼んでいます。喫茶用の茶碗を大量に焼造した福建省の建窯の代表的な製品です。

解説パネルより

勝手に自分の好みだからなのですが、「これって国宝級なのでは?」なんて思ったのですが、重要文化財でも重要美術品でもないようですw

展示の仕方も、それほど「これすごいよ!」みたいな感じではなく、「その他にもこんなものがありますよ」的な感じでしたw でもね、わたしとしては「これは掘り出し物やでぇ!」と一人で興奮しながら、上から下からと角度や方向を変えて、この小さな器をジロジロと見ながら、写真でもたくさん撮らせていただきました。

この斑紋が、兎の毛のようだと言うんだそうです

なんでしょうね、わたしにはこの兎の毛のようだ言われるお椀の内外の斑紋がとても美しく見えたし、心地よく感じられたんですよね。はっきり言って、数か月前に静嘉堂@丸の内で見た『国宝 曜変天目茶碗』よりも、す〜っと感性にピッタリと合いました。

水平の視点から見ると、形も良いですね……なんて感じるのですが、無指定ということで、そこまで評価されていないのでしょうね。でもねぇ、やっぱりキレイですよ。上の写真だと、黒っぽい感じよりも白くなっている箇所が目立ちますが、これは白い台の色が反映されてしまっているんですよね。なぜトーハクは、この器が白く映る台を選んだのか、本当に謎ですw もしかすると、白い台にすることで斑紋がより見やすいから…などの理由があるのかもしれませんけどね。個人的には、この“黒”の色も美しさのポイントだと思うので、それが活かされるような台を使ってほしかったなぁ。

『曜変天目茶碗』を撮影した時にも感じたのですが、器の色を写真で再現するのって、本当に難しいですね……。深い黒色なのだけど、斑紋はしっかりと目で見えるんです。さらに微妙にキラキラと光っている……このキラキラ表現は、写真では本当にお手上げです(少なくともわたしのカメラでは…)。

どうにか、この器の良さを伝えられるような写真が撮りたくて、ずーっと粘ったのですが……ついに諦めました。あまりにも熱心に見たり撮ったりしていたので、「これはすごいものなんじゃないか?」と、他の人たちも熱心に見入ってしまって、そのたびに席を外していたので、上の写真を撮るのに何十分もかかってしまいました。ちょっと悔しい。

ちなみにトーハクで公式撮影されたものも貼り付けておきます。スタジオで撮影すると、こんな感じなんですねというのが分かりやすいです。

黒を強調して撮ると、斑紋が見えなくなるんですよね……(画像:トーハク画像検索より)
白い背景だとお椀の形がよくわかりますね。あと、少し紫っぽい黒なのかもな……(画像:トーハク画像検索より)

少し調べると分かるのですが、中国福建省の建窯で作られた『黒釉兎毫斑椀こくゆうとごうはんわん』は、日本にもいくつも残っているようです。トーハクにも複数個あるし、京都国立博物館にもあるし、そのほか私立美術館などにも収蔵されているようです。でも、トーハクの横河民輔さんが寄贈してくれたものが一番良い気がしますね(←まだ一つしか見ていないくせにねw)。だって、あの横河民輔さんの旧蔵品ですからね……間違いないはず!

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