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エッセイ 子供のころの、ひもじさを思う

「ひもじさ」とは、ひどくお腹が減ることだ。

昭和の時代。
僕の子供時代。

テレビはまだ、カラーになったばかり。
テレビゲームもないし、ビデオもないし、
携帯電話もない。

テレビで覚えているのは、
「8時だよ!全員集合」。

毎週欠かさず、見ていた。
見ていないと、学校がつまらない。
友達との会話がつまらない。

普段は夜8時には寝なさいと言われてた。
だから、「全員集合」以外の夜8時過ぎの
テレビは知らない。

そのはずなんだけど、記憶の中では、

「Gメン’75」のオープニングは覚えてる。
滑走路に登場するメンバーが横一列で歩く。
流れるテーマ曲。今でも耳に残る曲。
でも、ここまでしか見れない、

「特捜最前線」。
これも遅い時間にやっていたので、
リアルタイムでは見ていない。
再放送で見たと思う。
挿入歌の「私だけの十字架」を一度聞くと、
耳から離れない。
チリアーノの歌唱が何とも言えない
哀愁を誘う。

夕方5時になると、アニメの再放送を
繰り返し、流していた。

「巨人の星」
「ルパン三世」
「ジャングル黒べえ」
「悟空の大冒険」
「魔法使いサリー」
「もーれつア太郎」
「いなかっぺ大将」
「マッハGOGOGO」
「ハクション大魔王」

覚えていないけど、他にもあったと思う。

5時から「巨人の星」、
5時半から「ルパン三世」みたいに、
放送していて楽しみにしていた。

でも、こうして並べてみると、
今では放送できないものばかり。

『不適切な表現』でひっかかるものが多い。
「ルパン三世」は今でも再放送している。
すごい。

夕方5時枠というのは、
当時は人気がなかったのか、
アニメ以外もドラマとか、再放送ばかり
だった。

夕方6時になると、外国アニメを再放送してた。
「チキチキマシン猛レース」
 (ケンケンがシシシシっと笑うやつ)
「冒険少年シンドバット」
 (出てこいシャザーン。マジックベルト。)
などなど。

夜7時はニュースの時間で、
子供はテレビが見れない。
ニュースを見ながら、ご飯を家族みんなで
食べる。

日曜日の7時半からの「世界名作劇場」
だけは見ることができた。

「アルプスの少女ハイジ」
「フランダースの犬」
「母をたずねて三千里」
「あらいぐまラスカル」
「トム・ソーヤの冒険」

見ていたのは、このくらいまで。
そのあとは見ていない。

ご飯を食べ終わると、すぐお風呂に入って、
夜8時には寝かされる。
これが、僕が小学校のころのテレビ事情。

楽しみはテレビだったのに、
見れる時間帯が限られてた。
それでも楽しかった。

学校から帰ると、宿題なんてせずに、
まず外で友達と遊ぶ。
だけど、夕方5時前には家に帰る。
アニメをみたいからだ。
結構、生活のリズムがきちんとしていたんだ。

外での遊びといっても、駄菓子屋にいく
お金もないから、
大抵は、カン蹴り、タカ鬼、鬼ごっこ、
ケイドロ、など、
お金がかからない遊びだった。

どれも、鬼の役(一人)と
逃げる役(大勢)に分かれる。
鬼になると、ずっと鬼。
これは今では成立しない遊び。

鬼になる子は、いつも違うけど、
その日はずっと鬼のまま。

例えば、カン蹴りだったら、
鬼はカンを地面に書いた円の中に立てて、
守る。

隠れている逃げ役を見つけて、
「だれだれ見つけ、ポコペン
(地方によって違う)」
とカンに足を置く。

足を置くときに、まちがえてカンを倒して
しまうと、せっかくつかまえた逃げ役に
逃げられてしまう。

逃げ役をつかまえると円の中に閉じ込める。
全員の逃げ役を捕まえると鬼は交替になる。

でも、鬼が逃げ役を探しに行っているスキに
別の逃げ役にカンを蹴られて、
全員に逃げられる。絶対に鬼は終わらない。

ひどいときは、鬼が探しているのに、
みんな家に帰ってしまったり。

暗くなっても誰も見つからないので、
その鬼の子は泣いていた。

(その子は僕だったりする。
あとでみんなに聞いたら、もう終わったと
思ったと平気でいうんだ。ひどい。)

昔の遊びは、結構、残酷だ。

ボードゲームもあったけど、
お金持ちの子しかもってない。

人生ゲームは楽しかった。
僕の家にはなかった。

だから、他の友達と一緒にその子の家に
行って遊んだ。
(僕はその子とは仲が悪かったりする。)


楽しかったのは小学校の、この頃。

毎日友達と遊びまくっていた。
ケンカもたくさんした。

勉強は、まったくしなかった。
みんな似たような感じだったと思う。

楽しかったけど、困るのは、お腹がすくこと。
今みたいなお菓子なんて、当時はないから、
いつもお腹がすいていた。

たまにお金をもらうと、
(といっても20円~30円くらいかな)

駄菓子屋にいって、5円のアメとか、
ガムとか、10円ドーナツとか、

(紐を引くクジになっていた。当たりは
大きなドーナツ。でも、当たった人を
知らない)

10円のソーダジュースとか、

(甘いだけの色水。舌が青くなった。)

30円あれば、結構買えるのだ。

それを食べても、お腹の足しには
ならないんだけれど、
満足していたと思う。

楽しいけど、ひもじい、そんな昭和だった。


当時を思い出しながら、書きました。
間違いがあってもご容赦ください。


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