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#56 変味(へんあじ)を販売する理由

2014年から2016年にかけて、赤城乳業が「ガリガリ君リッチ衝撃3部作」と呼ばれる、変味(へんあじ)の棒アイスを立て続けに発売して、話題になったのを覚えてますでしょうか。その3部作とはコンポタージュ味、クレアおばさんのシチュー味、ナポリタン味。前2作はヒット商品となりましたが、ナポリタン味は味が不評で売れない失敗作となってしまいました。

これに端を発したわけではないでしょうが、2017年ごろ様々な大手メーカーが変味を出して盛り上がりました。カップ焼きそばの明星一平ちゃんがショートケーキ味やあんこ団子味を出したり、ぺヤングがチョコレート味を出したり。赤いきつねならぬ「甘いきつね」なんてのもありましたね。私はぺヤングのチョコレート味は食べたことがありますが、「まぁ二度と食べないな」と思った記憶があります。

なんで変味売るのだろう?

それにしても食品メーカーは、この変味(へんあじ)商品をなんで販売するんでしょうか

まず思い浮かぶのが話題づくりです。テレビCMも頭打ちになり、「地域限定」「季節限定」の目新しさも最近では失われてしまった感があります。そこで奇抜なアイデアによって話題づくりをして、SNSでの拡散を目指すのが商品販促として手っ取り早いのではないでしょうか。変味は購入するのに一定の勇気が必要です。誰よりも先に購入し食することができれば、SNSで勇者になれるかもしれず、話題の拡散性は高いです。


変味商品は既存ブランドの利用が行われます。メジャーなフレーバーがあればこそ変味も作れるからです。ガリガリ君はソーダ味、ぺヤングはソース焼きそばがあるからこそ、変味に冒険ができます。変味商品で話題を作れば、既存ブランドにもさらに消費者の目が行く効果もあります。

話題に乗っかって変味に挑戦 
 → 変味美味しくない…
  → 王道フレーバーが食べたくなる!
    → やっぱり王道フレーバーの方が美味しいと再確認 

…のような流れが消費者のなかで起こることにも期待しているのではないでしょうか。

そしてさらにメジャーフレーバーはトップバリューやセブンイレブンなどでPB(プライベートブランド)化しているので、変味は棚(売場)を確保するのにも大切な役割を果たしています。特にお菓子類。ポテトチップスはすでに塩味、コンソメ味、ノリ塩味の3定番はPB化しているので、みかん味、牛乳味、コーラ味のような変味を出すことによってメジャーフレーバー以外の売場の確保を狙っているとも言えるでしょう。


アイスのお話に戻って

先に挙げたガリガリ君ですが、発売もとの赤城乳業はアイスを皆がワイワイ食べるコミュニケーションツールと捉えているそうです。赤城乳業の企業ロゴの上についているタグラインは「あそびましょ。」。そんなことからも、ポリシーを見て取ることができます。

今では当たり前になっていますが、棒アイスのソーダ味が青いのは赤城乳業が初めて採用したとのことです。食品で青色を使うのがまだタブーだった時代に率先して採用するのがやはりすごい。言われてみればソーダの色は透明です。ガリガリ君は今まで120種類以上のフレーバーが作られたそうですが、その中でも一番の定番商品になっているのがまたすごいですね。


そんななか、私が昔から思っていることがあります。なぜ甘くないアイスって世の中にないんだろうかと。アイスって基本的に甘いですよね。砂糖が全く入っていない緑茶とか、烏龍茶とか、ブラックコーヒーのアイスを作って売ったら売れないでしょうか?今でこそ当たり前のようにペットボトルのお茶が売っていますが、伊藤園が初めて缶入りの緑茶を売り始めた頃、「こんなの売れるわけがない」と言われていたことは有名です。なのでお茶味の甘くないアイスもワンチャンあるのではないかと思うのです。

今までそのような商品が全くなかったわけではありません。2001年に森永乳業から「氷結茶」という名前のアイスが発売になったことがあるようですが、今では見る形もありません。この「氷結茶」は「アイスの実」くらいの粒アイスでした。甘くないお茶のアイスを粒アイスではなく、棒アイスで作ったら売れるんじゃないかなぁ。そのまま食べてもいいですし、お茶に入れて冷やすことに使ってもいい。飲み物の味が薄くならなくて済みます。

アイスのターゲットは子供がメインと考えると「甘さ」というのは重要なファクターかと思います。しかし温暖化が進み夏は暑さが厳しい中で、高齢者だったり、一般のサラリーマンあたりをターゲットにしたらヒットしそうなきもします。



追記:今回イラストの背景に昔懐かしい駄菓子屋を描いてみました。キャラクターで結構隠れてしまったのでここにキャラクター無しイラストを上げておきます。


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