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ギャングランド / チャック・ホーガン

ドン・ウィンズロウが引退した。 彼はわたしを犯罪小説の世界へと導いてくれた作家の一人だった。あっという間にわたしはウィンズロウロスに陥った。 彼の作品の中でも、「犬の力」から始まる麻薬戦争三部作が特に好きだった。史実を元にしつつも時に大きく史実から飛躍し、読者を釘付けにする筆力に圧倒された。 ウィンズロウの最後の作品になった「終の市」を読み終え、これから次に何を読もうかとわたしは考えた。本屋の翻訳小説のコーナーをうろつき、いい作品はないかと探した。その時わたしの目をひいた

    • ザ・カルテルの感想

      ついに読み終わった。長かった。上下巻あわせて1200ページくらいある。前作の犬の力よりも長いことになる。とても長い。 しかし無駄に長くなったわけではもちろんない。今作も犬の力と同じく、麻薬戦争を取り扱った作品となっているが、あらゆる面でスケールが大きくなっている。 警察、ジャーナリスト、軍隊、そして政治といった部分まで今作は扱っている。登場人物の数は前作よりも明らかに多いのではないか。多くの登場人物が複雑に絡まり合い、騙し合い、殺し合う様はまさしく麻薬戦争版ゲーム・オブ・

      • 「地下道の少女」の感想

        アンデシュ・ルースルンド とベリエ・ヘルストレム の共作による「地下道の少女」を読んだので、感想を書いておこうと思う。 今作は、今までの彼らの作品と同じように、スウェーデンの社会的な問題とエンターテイメントを組み合わせた作品となっている。 今回はストリートチルドレンという社会問題に焦点が当てられてる。ストリートチルドレンそのものも社会的な問題だが、彼らの存在そのものを認めようとしないスウェーデン政府や、彼らへの対応を民間企業へ丸投げしてしまう自由主義的な経済システムにも、

        • で、おまえら血の収穫読んだの?(半ギレ)

          早川が血の収穫を復刊して数か月が経った。創元が復刊してからも一か月が経った。 さて、それでは一体どれだけの人が血の収穫を読んだのだろうか?少なくとも私のTLでは、読んだ人は一人もいないように見えるのだが…… なんで?(半ギレ) 東西ミステリー100の海外編で38位の作品ですよ?こんな体たらくでいいんか?いいわけないんですよ。 というわけで、今から血の収穫の魅力を出来る限り伝えていこうと思う。長い文章を書くのが本当に久しぶりであるし、構成とか気にせずにアドリブで適当に書

        ギャングランド / チャック・ホーガン