で、おまえら血の収穫読んだの?(半ギレ)

早川が血の収穫を復刊して数か月が経った。創元が復刊してからも一か月が経った。

さて、それでは一体どれだけの人が血の収穫を読んだのだろうか?少なくとも私のTLでは、読んだ人は一人もいないように見えるのだが……

なんで?(半ギレ)

東西ミステリー100の海外編で38位の作品ですよ?こんな体たらくでいいんか?いいわけないんですよ。

というわけで、今から血の収穫の魅力を出来る限り伝えていこうと思う。長い文章を書くのが本当に久しぶりであるし、構成とか気にせずにアドリブで適当に書き散らすつもりなので、まとまりが無い文章になる恐れがかなりあるが、そこはまあ、優しい目で見守ってほしい。ていうかnoteの使い方もよくわかっていないので(勢いで登録したので)ちゃんと読めるしろものになるかどうかも定かではないが、気にしてはいけない。

それではいきますよ(・x・)

↑BGMです。

一ついい忘れていた。血の収穫は原題が”RED HARVEST”であるので、赤い収穫というふうに訳す訳者もいるのだけれど、今回は血の収穫で統一する。直近で出た創元社の訳が血の収穫だったからだ。検索で引っかかる可能性が高くなり、結果的に読んでくれる人の数が多くなるのではないかという非情な選択である。では今度こそ本題に入ろう。


血の収穫と聞いてどんな作品を思い浮かべるだろうか。ちょっとwikipediaの概要を一部引用してみよう。あ、wikipediaのあらすじは見ちゃだめですよ。ネタバレの宝庫ですので。では以下引用。

『コンティネンタル探偵社サンフランシスコ支局員のコンチネンタル・オプ(本名は作中語られず不明である)が、とある鉱山町「パースンヴィル」俗称“ポイズンヴィル”にはこびる暴力に対し、毒をもって毒を制すのやり方で、それらを粉砕していく。 』

……なんというか、これだけ読むと、汚物は消毒的な作品を思い浮かべてしまうのは私だけだろうか。

いや完全に間違ってるわけではないよ?機関銃で家をめちゃくちゃにしたり、ダイナマイトで建物をぶっとばすシーンがあったり、結果的に死人が多く出てしまうなどのバイオレンスな要素を含む作品であるから、すっかり間違いとはいえない。しかし、それは血の収穫という作品の一側面を写し取ったものにすぎない。では、血の収穫はバイオレンスな要素以外にどんな側面を持っているのだろう?驚かれるかもしれないが、血の収穫という作品は、極めて”知的”な側面を持つ作品なのである。

先ほどwikipediaから引用した文中に「毒をもって毒を制すのやり方で、それらを粉砕していく。」と書いてあったことを覚えているだろうか。ここに書かれている毒をもって毒を制すのやり方というのは、世紀末覇者的なやり口ではない。”策略”をめぐらせることによって敵対したギャングたちをつぶし合わせるというやり口なのだ。実際に読んでみると、主人公自身はほとんど手を下さないことに驚かされるだろう。主人公は情報を操ることで相手を騙し、互いを非情に殺し合わせる。このあたりに注目して読むと、コンゲーム的な知的さをこの作品が内包していることに気づくだろう。

ところで、血の収穫は、依頼人を殺害した犯人を探偵である主人公が探すところから始まる物語だ。誤解を恐れずにいえば、かなり本格ミステリー的な始まり方をする。そして実際に読んでもらえればわかるのだが、この事件は思ったよりもまともに解決されるのである。というか、この作品では殺人事件に対する解決を主人公が四回ほどするのだけれど、そのどれもが以外にも(割と)論理的に解決される。いやそりゃクイーンとかほどじゃないよ?でもハードボイルドって謎解きは微妙みたいな空気ある気がするんです。でも14章で行われる推理とかどうですか?かなり単純だけれど、案外素直に騙される人も多いんじゃないでしょうか。自分は普通に騙されました。アホなので。

さて、血の収穫がコンゲームや本格ミステリ的な要素を持っていることをうっすらと理解した上で19章に焦点を当ててみよう。個人的にここが最も書きたいことなのでよく聞いていただきたい。19章で、主人公はギャングたちを集めてそこで殺人事件の推理を行う。ここでなされる主人公の推理は、なんというか、想像に依る部分がかなり大きい推理だ。あてずっぽうに近いといってもいい。しかしこの推理はあてずっぽうでも構わないのである。なぜなら、この推理は周囲にいる人間を納得させることさえできれば問題がない推理――外れていても構わない推理だからだ。おっと、外れても構わない推理とかそういう言葉を聞くと何か思い出すんじゃないですか?自分はこのシーンをみてインシテミルなどの作品を思い浮かべてしまった。ハメットは現代でもてはやされているミステリ的な要素を先駆けて作品に組み込んでいたのだとかいうとほめすぎだろうか。話はそれだけでは終わらない。主人公はこの場面で自分の推理に意図的に嘘を忍び込ませ、対立をさらに激化させることで、登場人物の一人を退場に追い込むという離れ業をやってのける。主人公の非情な策略家ぶりが最も発揮されるシーンといっていいだろう。コンゲーム的な要素とミステリ的な要素が組み合わさる感動的なシーンだ。この作品が知的でないのならどんな作品を知的といえばいい?と自分は思ってしまう。

どうだろうか。ハードボイルドとか専門外な人も、意外と興味を引き立てられたのではないだろうか。かなり雑な文章で申し訳ない。もう推敲する気もおきませ~ん。この文章を読んだ人が一人でも血の収穫を読んでくれればいいなと思う。本当は血の収穫が後の作品に与えた影響とかも語る予定だったけどもう無理。眠すぎる。まあその辺は解説にも書いてあるし、別にいいだろ。それじゃあみなさん、ハメットを読んで下さいね。よろしくお願いしましたよ。











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