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税金が庶民の生活を悪化させるまで

こんにちは
函館減税会です
全ての増税に反対し、減税を実現するための活動をしています。

これまでのnoteでは、主に函館市や北海道における税金について書いてきました。前回、前々回では、函館市及び北海道の法人住民税の超過課税について扱いました。法人住民税は企業に対する税金ですから、企業誘致への悪影響は容易に想像できます。一方で、我々庶民、すなわち労働者にとってはどのような影響があるのでしょうか。直観的には、労働者に対する影響はあまりないとする人もいるのではないでしょうか。

人によっては、法人に対する課税はむしろ社会保障のためにやったほうが良いのではないかと考えるかもしれません。実際に、政党の中には、消費税を廃止するために法人税を上げろと主張しているところもあります。しかし、そのような直観とは反する事実が存在します。

今回のnotedでは、少し俯瞰して、税金がどのようにして我々庶民の生活を悪化させ、街を衰退させるのかについて書いていこうと思います。


人口の増減に関わる要素と企業活動の関係

都市の人口の増減について、まずは状況を整理しましょう。人口の増加量を次の式で表すことにします。(もちろんモデルはいつも間違っています)

$$
人口の増加量 = (転入人口 - 転出人口) + (出生数 - 死亡者数)
$$

なんだ当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、確実な事実を確認していくことが肝要です。人口は、人々の移住による要因と、出生・死亡による要因で変化します。今回のnoteでは詳細を省きますが、政府施策によって出生数を増加させられるエビデンスはありません。また死亡数についても、詳細は省きますが、現代では医療などの発達により加齢に伴う病気で亡くなる方がほとんどです。そのため、こちらもある程度受け入れるしかありません。出生数より死亡者数のほうが多いので、転入と転出が等しく起こっても人口は減っていきます。これは一旦受け入れることにしましょう。

市政でどうにかなるかもしれない要素だけ考えることにします。
そこで今回は転入・転出による人口変化に注目します

転入・転出はどういった理由で生じるのでしょうか?
典型的な例としては以下のような理由が挙げられるでしょう。

  • 仕事で会社都合の転勤

  • 進学

  • より快適な暮らしを求めて

  • リタイア・セミリタイアに伴うセカンドライフプランとして

一つ目の例はまさに企業活動に関係しています。二つ目の進学については、再びその都市に住む要因を増やすかもしれませんが、基本的には数年在学して転出していくので、人口の変化に及ぼす影響は極めて少ないと言っていいでしょう。三つ目と四つ目の理由は、個人の生活に対する価値観や計画によるものです。若年層であれば、より高い給与民間・公共のサービスを求めて都市部に移住しようと考えるかもしれません。例えば、映画館や繁華街がない市町村もありますから、そうしたところから都市部に行きたいと考える人は少なくないでしょう。また中高年層であれば、静かで穏やかに暮らしたい、物価が低いところで暮らしたいなどと考えるかもしれません。例えば、以前は老後を物価の安い東南アジアで過ごそうというようなテレビ番組の特集がされていたこともありました。

まとめると、以下の要素が人口に関係していそうです

  • 企業活動

  • 給与

  • 民間サービス

  • 公共サービス

若年層は上三つの比重が大きく、中高年層では下二つの比重が大きいでしょう。これらは実は相互に関係しています。以下の図を見てください。

家計・企業・行政の関係図

家計とは、要するに我々庶民のことです。労働者や、退職済みの人などが含まれます。重要なのは、行政が提供する公共サービスは家計と企業が納める税金で成り立っているということです。また家計が納める税金の原資は企業から支払われる給与です。そのため、企業活動が豊かでなければ、都市に対するあらゆる需要が満たされなくなります

つまり、企業活動とそれによってもたらされる労働者の賃金によって都市は金銭的にも人口の面でも支えられているのです。

企業の活動はどのように成立しているのか

話を簡単にするために、株式会社を前提とします。
企業はモノを売ったりサービスを提供したりすることで、売り上げを得ます。売上から人件費や材料費などの経費及び税金を差し引いた利益を最大化するのが企業の目的です。利益をたくさん出せば、社長などの役員はより多くの報酬を得られます。

企業は事業を拡大することでさらなる利益を生み出せます。そんなとき、先んじて資本を投入する必要があります。資本を集めるために株式会社は銀行からお金を借りたり株を買ってもらうなどができます。株を買う人は、企業が利益から出す配当金を第一の目的とします。将来にわたって得られる配当金よりも株が安いと思えば、株は誰かに買われます。

企業の活動によって、将来得られる利益が拡大しより多い配当金が得られるとすれば、より高い金額でも株が買われます。これが株価の上昇です。基本的には創業者をはじめとした役員も株を保有していますから、株価の上昇は彼らにとってもうれしいし、今株を持っている人にとってもうれしいことです。

では基本に立ち戻って、そもそも企業が提供する民間サービスはどのような条件で人々に買ってもらえるのでしょうか。それは次のような状況です。

企業の供給する民間サービスと消費者の購買行動が均衡する状況

今売られているものが、買う人にとって100円の価値しかなければ、その商品は100円より高く売ることはできません。反対に、商品を作るのに(税金も含めて)100円のコストがかかっていれば100円未満で売ることはできません(過去にそのような商売を行った有名企業もありますが大変なことになりました)。

これが成立条件です。経済活動は、関わる両者の利害が均衡しなければ成立しません。この天秤は常に重要です。

ではこれを踏まえて、株主から見た天秤を考えてみましょう。次のようになります。

株主が株を買う状況

この天秤の皿の上に載っているのは、企業が先ほどの消費者との経済活動で手に入れた売り上げを、目的別に分解したものです。右側は、企業が経済活動を行うためのコスト、左側は、将来に渡って期待される配当金を表しています。(厳密には、将来分が含まれるので左のほうが重くなるはずです)

ここで重要なのは、ほかにも企業が存在するということです。もし期待される配当金が少ない(=株価が低い)のであれば、さっさと株を売ってしまって別の企業に投資を始めてしまいます(機会損失が生じるため)。ですから、この天秤が均衡していないと企業は資金の獲得に失敗してしまうのです。

天秤の右側をさらに細かく見ていきましょう。赤い部分は税金です。青い部分は労働者の取り分、オレンジ色の部分は社長などの役員の取り分です。重要なのは、雇用コストは事業コストの一つであるという点です。この後の図の都合上分けていますが、雇用コストは事業コストの一部であり、その内訳が書かれていると解釈してください。企業は売り上げから事業コストを引いた利潤を最大化するわけなので、法人税などの税金も雇用コストを圧迫します。その機序は次のようになっています。

  1. 法人税の負担が増える

  2. 事業コストの総量が売り上げの増加を伴わずに増加する

  3. 予想される利潤が減る

  4. 企業活動を維持するためにコストを削減する

  5. 役員報酬や、労働者の福利厚生を減らす

  6. 労働者の新規雇用を減らす

  7. 労働者の退職を促す

4でコストを削減する必要があるのは、税金が売り上げを増加させずに事業コストを増やすからです。
5では、まだ労働者の賃金は減らされません。これは、労働者のモラルハザードを防ぐためです。給与が自分の働きと関係なく減らされたら仕事へのモチベーションが著しく低下しますよね?
6について、まず退職を促す前に新規雇用を減らします。これは、既存事業をいったん維持するためです。しかし、時間がたつと当然必要な人員が足りなくなってきますから困ることになります。
最後に退職を募るフェーズです。事業をぎりぎり回せるだけの人員を残して退職を促し、企業の存続を図ります。ちなみにこれをやらないでいると会社そのものが潰れるので、残るはずだった人たちも丸ごと失業してしまいます。

このように、企業に対する税金も侮ることはできません。
確実に労働者の立場を危うくする要因になっているのです。
ちなみに株主を無視して配当金を減らすなどで対応してしまうと、企業は将来にわたって必要な資金を調達できなくなるので、これまた企業ごと全員失業になってしまいます。

労働者の雇用はどのようにして成立するのか

先ほどは大きなスケールで見たので、次はもっと小さく、我々庶民が労働者として雇用される状況を考えてみましょう。法人税などによって雇用が圧迫されると書きましたが、どのような人から影響を受けるのでしょうか。
まずは次の図を見てください。

労働者の雇用が成立する状況

企業は事業を実現するために労働者を雇っています。労働者を雇うことによって実現した事業から企業は利益を得ます。その内訳が左の図です。右側は、一人の人間を雇用するのに要するコストです。一人雇うごとに必要なものはすべて雇用のコストになります。図に書かれている通り、税金や社会保険料、国民年金は雇用コストを圧迫します。企業は労働者の給与をすぐには下げられませんから、増減させるためのバッファーとして福利厚生やボーナスを用意しています。

税金や社会保険料が増えて雇用コストが増加したらどうなるでしょうか。天秤が右に傾かないように、雇用によって得られる利益を増加させる必要があります。企業もいろいろ頑張るでしょうが、労働者が供給できる労働力、そしてそこから生み出される利益には限界や違いが存在します。時間給で考えれば、時給500円分の仕事しかこなせない人と時給1000円分の仕事ができる人の間では倍異なります。すると、仕事の能率が悪い人や、ハンディを持っている人の雇用が先に失われていきます。

税金や社会保険料は福祉政策に使われていると謳う一方で、それらが真っ先に襲い掛かるのは弱者なのです。また、同じ給与で仕事がよりきつくなっていけばその企業から労働者がいずれ辞めてしまいます。町全体がそうなると人々は別の町に転出してしまうのです。

まとめ

よく労働者と資本家の対立構造を訴える人がいます。しかし実態として、労働者が働く会社の資本は資本家の投資を軸に成立しています。また、労働者の雇用は事業全体の中で利益とコストの双方を生み、税金はコストのみを生み出します。そのため、資本家に課税したり、企業に課税すると次の人々がすべて害を被ります。

  • 事業を行う企業

  • 企業の民間サービスを受ける人々

  • 企業に労働力を提供する人々(給与

  • 企業や労働者から税金を徴収する行政

  • 行政から公共サービスを受ける人々

これらはすべて人口の変動要因となるものでしたね。
また函館市の市長を含め多くの政治家は、社会福祉を拡充することを人口減少対策だと謳っています。まずそんなエビデンスはありませんし、仮に社会福祉の拡充をしたいと考えたとしても、増税すると元も子もないというわけです。

以上のような現実が存在するので、函館減税会をはじめとする全国の減税会では、政府の歳出削減と減税を訴えています。そして、有権者の数こそが政治家を動かす原動力になります。活動にご賛同いただける方は、メールアドレスと市内外の居住状況だけを入力項目としておりますので、ご登録ください。


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