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治療家としての道のり2

※表示について
イ)=インタビュアー
高)=山田高廣
智)=山田智子
博厚堂 夫婦で漢方と鍼の併用治療を実践。中医学の考えに基づき顧客ニーズに個別対応 で応える総合的な治療を提供している。


智)  多くの漢方医や鍼師が陰陽の理論をベースに治療していないので、なかなか治 癒率があがらないのです。  
陰陽論をしっかり勉強していないと治癒率は上がりにくい。鍼師も、もっと基本的な事を勉強して治療すべきなんです。正確に鍼を打てない鍼師というのは、 あん摩マッサージを重視して治療していないからだと私は思っています。つまり、 あん摩がプロ級にできれば良い鍼を打てるはずです。

高)  人間の身体には、気血水が流れている経絡というものが張り巡らされていて、そ こにはツボという場所がある。
経絡を押したり揉んだりマッサージして細かく診ていると、何千人も身体にふれて診てきた人にはその違いが分かるんだけども、それがわからないと、効果があるといわれているツボを確認して鍼を打つだけになってしまいます。
 例えば肩が凝るという症状であっても、肩こりに効くというツボに打つだけでは なく、本当の原因はどこにあるのか探る必要がある。本当の原因は肝臓であった り、消化器であったり、身体をさわれば経絡の異常な場所がわかるはずなんです。 だから診断力は治療に大きく関連してきます。

イ)  経絡をさわって分かるというのは、どのような感覚なのでしょうか?

智)  言葉にすれば、腫れている、固い、熱を帯びてい るとか冷たい、などになりますが、言葉で表現でき ない微妙な感覚です。長い経験からさわって瞬時に感じ取れるようにならないと、効果的な鍼は打てな いのです。
 ですから、按摩を徹底的にやればそれがとてもよく分かります。その感覚は、本当に指が変形するくらい取り組まないと会得できないものなのです。  とにかく鍼師は
『1.あん摩をしっかりとやるこ と』
『2.漢方理論をしっかり勉強すること』
この二つが できれば、症状が改善しないと悩んで いる人をもっと治せるはずなんです。

  私は、2001年からボランティア活動でミャンマーに行ったことがすごく良かった と思います。現地の大学で鍼・指圧の普及をする活動なのですが、朝病院に行くとミャ ンマーの要人や地元の人たちがずらっと並んでいて、10分とか15分とかで治さなけ ればならない。短時間で結果を出さなければならないという環境で、毎日毎日そこで治療していたことがすごく役に立ったと思います。

高)  漢方医の場合も、この道を目指して20年くらいはなかなか治せないです。私自身 も漢方の勉強し始めて、治せるようになったのは40歳を過ぎてからです。
 いま、大学を卒業した人が漢方薬局で薬を出していますけど、大変だなと思います。きちんと合った漢方を選べるまでは相当な訓練が必要です。


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