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味噌の製造方法 -発酵の基本知識-㉞

味噌はそれぞれの種類によって製造方法が異なります。

味噌の熟成や発酵中に起こる微生物の働きもそれぞれに違ってきます。


米味噌の製造方法

大豆を浸漬し、蒸煮した大豆に塩切りした米麹、種水を混ぜ、空気を抜き、樽に仕込み、発酵熟成させます。

熟成期間は5日から1年までと味噌の種類によって大きく異なります。

一般的な手前味噌で作られる味噌は、8か月~10か月程度が平均となっています。


麦味噌の製造方法

米味噌と同様で大豆を浸漬し、蒸煮した大豆に塩切りした麦麹、種水を混ぜ、空気を抜き、樽に仕込み、発酵熟成させます。

熟成期間は5日から1年までと味噌の種類によって大きく異なります。

米味噌との違いは麹の種類が異なることのみでほぼ米味噌と同様となります。


豆味噌の製造方法

豆味噌は、大豆以外に米や麦などの麹を使用しません。

大豆そのものに麹菌を繁殖させたものを麹として使用し、食塩水と混ぜ仕込まれます。

このことを「全麹仕込み」といいます。

大豆のみを使用するために甘みが少なく、その分タンパク質を分解されるのでうまみが強くなります。


豆味噌と赤だし、八丁味噌の違い

豆味噌と八丁味噌の原料は同じです。違いは熟成期間と原料の配合、水分が異なります。

豆味噌には熟成を早めるために加熱をする速醸法が行われることがありますが、八丁味噌にはその行程はありません。八丁味噌の熟成期間は長く2年程かかります。

八丁味噌の製造蔵は愛知県内にわずか2件のみ残っているだけとなっています。

赤だしは赤味噌、または八丁味噌に昆布や鰹の出し汁を加えた物をさします。


塩切り麹とは

米麹にあらかじめ塩を混ぜ混んでおくことを「塩切り麹」といいます。

この作業をすることにより、麹菌の活動を抑え、麹の保存性が増します。

また、麹の発熱によるムレ臭の発生を防ぎ、食塩耐性の弱い雑菌を減少させる効果があります。


味噌の表示

2022年3月、これまで味噌には制定されていなかったJAS規格が味噌に制定されました。
これにより、海外などで日本の味噌として販売られていた味噌に似て非なるものは味噌と名乗ることができなくなりました。

麹菌は日本の国菌であるニホンコウジカビ (Aspergillus oryzae)を使用することや使用する麹の種類、管理方法などが義務付けられています。


天然醸造味噌

「味噌品質表示基準」の規定により、原料の大豆や麦、(または米)を微生物の作用のみで発酵・熟成させて醸造した味噌であり、かつ、醸造を促進するための酵素や食品添加物を使用しないものにだけ「天然醸造」の表示をすることができます。


手前味噌の天地返し

自宅などで自家製味噌、手前味噌を作るにあたり、天地返しが必要との記載をよく見かけます。天地返しとは、梅雨明けから8月の上旬にかけて行い、容器に仕込んだ味噌の上部と底部を入れかれるための作業の事をいいます。

目的としては、味噌の中の酵母の繁殖とアルコール発酵を促します。それにより、香り成分が引き出され、味噌の芳香が豊かになります。

また、発酵ムラをなくす効果があります。

手前味噌でも仕込み量が多ければその効果はありますが、2kg程度など少量の仕込みであれば必ずしも行う必要はありません。


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