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お金のためではなく、自分のために働くべき

怠け者な仕事人

小学校低学年のとき、『ゲゲゲの鬼太郎』にハマっていた。

テレビでアニメが放送されていて、休日になると必ず『ゲゲゲの鬼太郎』を見ていた。

『ゲゲゲの鬼太郎』に描かれている妖怪は、おどろおどろしいのに、どこかコミカル。
実に様々な種類の妖怪が登場していていて、面白かった。

なんといっても、印象的なのが、アニメのオープニングの歌詞。

朝は寝床で グーグーグー 
たのしいな たのしいな
おばけにゃ学校もしけんもなんにもない

このフレーズを聴きながら、お化けっていいなあと子供ながらに思っていた。

https://lineup.toei-anim.co.jp/ja/tv/kitaro/

『ゲゲゲの鬼太郎』のオープニングの歌詞は、原作者である水木しげる氏本人が考えたものらしい。

『ゲゲゲの鬼太郎』の歌詞は、子供時代の水木氏を謡っているのだとか。

では、水木氏は怠け者だったのかというと、全く違う。

大変な仕事人で、「私は片腕がなくても他人の3倍は仕事をしてきた。もし両腕があったら、他人の6倍は働けただろう」と言ったエピソードがあるらしい。

実は、師匠も「自分は怠け者」だというわりには「アーティストは人の5倍やってちょうどだ」といって、日々おぞましい仕事量をこなしている。

水木氏と師匠は、どことなく似ているところがある気がする。

地獄をみた人

水木しげる氏は、幼いときから、すごくマイペースだったという。
学校があるのにずっと寝ていて、満腹になるまで飯を食わないと気が済まなかったそうだ。

学校の成績はよくなかったが、画の才能は秀でていた。

高等小学校卒業後、画家を目指して大阪で働きながら学んでいたが、1943年、水木氏は召集され、大日本帝国陸軍軍人として第二次世界大戦下のニューギニア戦線・ラバウルに出征することになる。

そして、過酷な戦況のなか、水木氏は左腕を失ってしまう。

ただ、水木氏は日本のポツダム宣言受諾を受けたとき、軍内では落胆の声が広がるなか、水木氏は「生き延びた!」と思い喜んだという。

戦後、「画で食っていく」というかねてからの夢を実現するため、極貧生活を経験しながらも、40歳をすぎてから、ようやく妖怪を扱った作品により人気作家となった。

なかでも大ヒットとなった『ゲゲゲの鬼太郎』は1968年より6度テレビアニメ化されている。

https://www.youtube.com/watch?v=i4fMyDsnV_c

「好きなことをやりなさい」

水木氏は、戦争を通して"本当の地獄"を見たうえで、自分のやりたいことで身を立てた人だ。

そんな水木氏は「好きなことをやるべき」といった。

水木氏が世界中を旅して幸福な人、不幸な人を観察してきた体験から見つけ出した「幸福の七カ条」のなかに、このような言葉がある。

「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない」

「しないではいられないことをし続けなさい」

「他人との比較ではない、あくまでも自分の楽しさを追求すべし」

「好きなこと」「やりたいこと」をやるべきだ、という水木氏の考えは、師匠にも共通している。

画を描く師匠

ただ、私は師匠について2年半、「やりたいことをやる」ことの大変さを味わってきた。

それも、私が選び取ったのは「現代アート」。
簡単な分野ではない。

来る日も来る日も、がむしゃらに手を動かしているのに、思うような結果がでないことが多かった。

しかも、世の中の大半の人は「やりたいことをやって生きよう」とする私のことが気にくわないらしい。

たくさんの理不尽な態度や言葉を受けて、地獄みたいな気持ちも味わってきた。

しかし、師匠は、私よりももっと辛い経験をされてきたはずだ。

師匠は16歳のときから、独り立ちをしてきた分、世の中の理不尽さを若いときから目の当たりにしてきている。

https://lineup.toei-anim.co.jp/ja/tv/hakaba/

そんな師匠は、私に「やりたいことをやりなさい」という。

私よりもはるかに過酷な「地獄」をあじわってきた水木氏や師匠が、「すきなこと」「やりたいこと」やるべきだと説いているのは感慨深い。

お金のためではなく、自分のために働くべき

また、師匠は、こんなことも言った。

師匠「親父が会社に勤めていたんだけど、こう言ってたんだよ。
"俺は会社のために働いているんじゃない、自分のために働いているんだ"と。」

だから、師匠は「お金のためではなく、自分のために働くべき」だと言った。

師匠いわく、「お金のためではなく、自分のために働く」というのは、精神的な面だけでなく、現実的にみても、"理にかなっている"という。

というのも、世の中のありとあらゆる投資のなかで、最も確実なのが「自己投資」だからだ。

「投資」は最初は必ずコストがかかってしまうが、きちんと投資を積みあげていけば、いずれ損益分岐点がきて、利益が出てくる。

そして、投資対象が「自分」ならば、かならず投資した分は、すべてが自分に返ってくる。


師匠「大半のひとは、損益分岐点がくるまえにやめちゃうんだよね。でも、ちゃんと自己投資を堅実にやっていれば、かならず利益が出るから。」

そう言って、師匠は今日まで私がやりたいことをやる環境を整えてくれた。

「I gaze at you」

2年半、やりたいことをやらせていただいて、思ったような結果にならなかったこともたくさんある。

しかし、自分が一生懸命に取り組んだことは、突然、ひょいと自分を救ってくれたりする。

確かに、「好きなこと」「やりたいこと」はすべて「自分のため」にやることだ。

そして、「自分のため」だからこそ、一生懸命になれるということなのだろう。

命短し、恋せよ乙女

先日、その話を師匠にしたら、師匠はポロッと「人生なにがあるか分からないからね」と言った。

人生なにがあるか分からない…

師匠の一言が、グサーっと自分の胸に突き刺さった。

人一倍の苦労をして、酸いも甘いも味わいきってきた人がいうからこそ、重みがある。

また、腐るほど働いた水木氏は言う。

「自分のためだから、やり続けることができたんです。」

師匠の作品

水木氏と師匠が言うように、人生は何がおこるか分からない。

そして、過ぎた時間は取り戻せない。

まして、自分の人生は、自分しか責任をとることができない。

だからこそ、「自分のために生きるべき」なのだろう。

私もまだまだ若いと思って、あぐらをかいていたら、すぐに時間は去ってしまう。

命短し、恋せよ乙女。

未来の可能性に胸を焦がしながら、自分のために邁進し続けたい。

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